1/24(水)レポート そもそも悩みなんてない?悩みの目的とは-アドラー心理学に学ぶ 人間関係の悩み解消の3ステップ1

勉強会主催の みなみ です。

本日の勉強会には初めての方2名を含む、4名の方にご参加いただきました^^

心理学と仏教の組み合わせが面白そうと思われて、参加された方がいました。

仏教では人間の心についてとても詳しく教えられていて、心理学との関連性、親和性は非常に高いと感じています。

仏教と心理学、合わせて学ばれることで相互理解が図れます。ぜひこの勉強会で学びを深めていただければ嬉しいです。

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ブームを巻き起こしたアドラー心理学、その教えの内容とは?

今回は、
アドラーとブッダに学ぶ“人間関係の悩み解消の3ステップ”
というテーマでお話ししました。

はじめに、アドラー心理学といえば、『嫌われる勇気』が発刊されてから話題になりましたね。

嫌われる勇気―――自己啓発の源流「アドラー」の教え

アドラーブームが巻き起こり、『嫌われる勇気』とその続編の『幸せになる勇気』をはじめ、アドラー心理学の関連書籍も店頭に並べられました。

2017年にはドラマ化もされ、再注目を集めましたね。

『嫌われる勇気』の発刊から4年以上経ちますが、今でもアドラー心理学に関する本が店頭にある書店も多いでしょう。

そんな根強い人気を誇るアドラー心理学には、具体的にどんなことが教えられているのでしょうか?

アルフレッド・アドラーは「人間の悩み」についてこう語っています。

人間の悩みはすべて対人関係の悩みである

私達はさまざまなことで悩みを抱えています。その悩みには必ず他者の存在があるので、すべての悩みは対人関係の悩み、をいわれているのですね。

アドラーの語るように、人間関係の悩みがない人はいないのではないでしょうか?

会社に行けば同僚の成功や出世に嫉妬心が起きたり、
上司に物のように扱われ気落ちしたり、
後輩の指導に手を焼いたり…。

会社から帰れば夫婦間でのトラブルがあったり、
子供が言うことを聞かなくて困惑したりと、

対人関係の悩みは絶えませんよね。

どうすれば対人関係の悩みを少しでも解消し、幸せに生きていけるのか。

人間の本質を踏まえて、その悩みの解消法を教えているのがアドラー心理学なのです

「人間には悩みなんかない」アドラー心理学のパイオニアの驚きの発言

その悩みの解消法を「3ステップ」で分かりやすく教えている方に、野田俊作さんがいます。

野田さんはアドラー心理学の第一人者といわれ、『嫌われる勇気』の著者である岸見一郎さんにアドラー心理学を伝えた人です。

その野田さんの著書『グループと瞑想(アドラー心理学を語る2)』を通して悩み解消法を紹介します。

グループと瞑想 (アドラー心理学を語る2)

まず野田さんは、人間の悩みとはそもそも何か?についてこう語っています。

そもそも人間には本当は悩みなんかないんですよ

「人間に悩みがない」とは、いったいどういうことでしょうか?
問題意識を根底から覆すような、驚くべき発言ですよね。

それについて野田さんはさらにこう言われています。

悩むと便利だから悩んでいるにすぎない

自分の目的を達成するために悩みを使っているんです

便利だから悩んでいる、目的を達成するために悩んでいる…。

これはどういう意味でしょうか?私達が悩みを使って達成しようとしている目的とは何なのでしょか?

悩むのは便利だから?悩みの目的とは?

話がやや抽象的ですので、具体例を見てみましょう。

たとえば、子供の非行で悩んでいるお母さんがいたとします。

子供が他人に迷惑をかける行為ばかりをしている。そのことに常に頭を抱えているお母さん。

こんなお母さんを見ると、「かわいそう。気の毒に」と思いますよね。

ところがこのお母さんはある目的があって悩んでいるのです。便利だから悩んでいる、とアドラー心理学の観点からはいえるのです。

このお母さんの悩んでいる目的は何だと思いますか?

それは、悩んでいることで、皆さんも先程されたように“同情してもらえる”ことです。

悩んでいれば、その人を責めることはできません。
むしろ、「お母さんはこんなに悩んでいるのに、お子さんはお母さんの苦しみがわからないのね」と慰めてもらえるでしょう。

それとは反対に、もしお母さんが悩まずに、街に行って、ルンルン気分で買い物をしているのを他の人が見たら、どう思うでしょうか?

「息子が他人様に迷惑をかけているのに、よくもまぁ、あんな元気でいられるわね」と、お母さん自身が標的になってしまうのですね。

悩んでいれば、特別な行動を起こす必要はなくなるし、周りからも同情してもらえるその目的のためにお母さんは悩みを使っているのです

野田さんは悩んでいる人の心をこのように指摘されています。

悩みをつくりだすものは、悩んでいる人自身のエゴイズムでありファシズムであり幻想なのです。

悩んでいるほうが周囲の社会からの受けがいいし、すべての責任を自分以外の人に押しつけることができるし、さらには他人に復讐する快感さえ味わえるし、また自分を許すことができるのです

社会からの受けの良さを得るために、責任転嫁をするために、自己正当化をするために悩みを使っているのですね。

悩んでいる人の本音

カウンセリングに来る人の心境をひと言で表したのが

悪いあなたかわいそうな私

です。

悩み続けて、でも結局、自分から行動を起こさない人の心は、

  • 自分のことを棚に上げて相手を責めているか
  • 自己を正当化して同情を集めようとしているか

このどちらかで揺れ動いているといわれるのです。

このように相手を責めていれば、自己正当化していれば、一見、楽なような気もします。

しかし、悩み続けて行動しない人が周りにいたら、あなたならどう思うでしょうか?

はじめのうちは同情するかもしれませんが、やがてはうとましく感じてしまうでしょう。今度は自分が標的にされてしまいかねない、という気持ちさえ出てくるかもしれません。

悩んでいる人はいずれ、周りから誰もいなくなり、孤独になってしまうのですね。

そんな悩みの状態から抜け出し、幸せに生きるにはどうすればいいのか。

その3ステップが以下のものです。

  1. 課題の分離
  2. 結末を予測する
  3. 代替案(オルタナティブ・ウェイ)を考え、実行する

次回から悩み解消の3ステップを1つ1つ、詳しく紹介していきます。

まとめ

  • アドラー心理学では、「人間の悩みはすべて対人関係の悩みである」と教えられています。対人関係をなくすことはできず悩みは絶えませんが、そのなか、人間の本質を踏まえた悩みの解消法、幸せに生きる方法もまた教えられています
  • アドラー心理学の第一人者である野田俊作さんは、人間にはそもそも悩みはなく、私たちは便利だから悩んでいるにすぎない、といわれています。悩むことによって同情してもらえる、自分の顔を立てられるから、その目的のために悩みを使っているのです
  • 悩んでいる人の心境をひと言でいえば「悪いあなた、かわいそうな私」、相手を責めているか、自分を正当化しているかのどちらかです。しかしこのように周囲を責め、責任転嫁していては、周りの人はうとましく思って離れていき、やがては孤独になってしまうでしょう

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ブッダとアドラー心理学コンテンツレポート
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この記事を書いた人
南 雄一郎

2011年 金沢大学工学部 卒業

大学では機械工学を専攻するなか、悩み解消のヒントや生きる指針を教える仏教に強い関心を持ち、仏教講演会に多数参加しました。

また大学卒業後は仏教と親和性のある心理学にも興味を持ち、独学で学びました。

現在は東京都内でライターをしながら、対人関係の悩みを解消し、自立した生き方の実現を目的とした 仏教×心理学のワークショップを開催しています。

自主開催のワークショップは累計750回以上。

2018年 新潟県キャリアセンター様主催 キャリアコンサルタント フォローアップセミナーにて講師をつとめました。

NPC法人HMC協会 認定心理カウンセラー(セルフ資格) 。

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