アドラー心理学とブッダから学ぶ、ギスギスした人間関係を変える必須条件

他者と言い争いになったり、口には出さなくてもギスギスした関係になったりして悩むことはないでしょうか?

そんな人間関係のあり方を変える方法を、アドラー心理学と仏教の観点から紹介します。

キーワードは「権力争い」、「『私は正しい』の思いの棚上げ」です。

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不毛な関係を強いられる「権力争い」

職場や家庭で口論となったとき、あなたはどんな思いを抱えているでしょうか?

端的にいえば「私は正しい。間違っているのは相手だ」という思いのはずです。

もし「間違っているのは私かもしれない」と思えば、相手を責めてケンカになることはありませんね。

では「私は正しい」という思いを持った自分の主張を貫くことで、果たして口論はおさまるでしょうか?相手は非を認めて、謝罪するでしょうか?

『困った時のアドラー心理学』には、このように語られています。

自分が正しいと思うと他の人と権力争いになります。

この状態はエネルギーがいる不毛なものです。

もしも対人関係のあり方を変えたいのであれば、「私は正しい」という思いは棚上げしなければなりません

正しいことを証明できたとしても、周囲に誰もいなくなったというのでは意味がありません。

(『困った時のアドラー心理学』より引用)

権力争いとは「戦いに勝利することによって、自らの『力』を誇示しようとする。特権的な地位を得ようとする」ことです。

口論の際に相手を打ち負かすことで、相手より優位を築こうとすることですね。

では権力争いに勝利するれば平穏な人間関係が訪れるかというと、そうではなく、むしろ反対に状況は悪化してしまうでしょう。

なぜなら、権力争いに敗れた相手は素直に自分の非を認めるどころか、復讐しようと企むからです。すると、相手の脅威に備えなければならず、常に不安がつきまといます。これでは精神的に疲れてしまいますね。

権力争いはエネルギーがいる不毛なものです」と指摘されている通りです。

仮に復讐されることはないとしても、権力争いに敗れた相手は決して従おうとはせず、あなたの元から去っていきます。「周囲に誰もいなくなった」状態になってしまうのですね。

対人関係のあり方を変える条件-「私は正しい」という思いは棚上げする

それでは、争いを解決し、良好な人間関係を築くにはどうすればいいのでしょうか?

それには「『私は正しい』という思いは棚上げすること」と書かれてありましたね。

「私が正しい。欠点をあげつらって、相手を責めたい」という気持ちは当然あるのですが、その思いを表面に出しては「権力争い」という不毛な戦いになってしまいます。

自分にも非がなかっただろうか。相手の言っていることもあながち、間違いではないのではないか
相手を責めていて、果たして何かプラスになるのだろうか。お互いに損をするだけではないか

という見方をしてみてはどうでしょうか。

そのように思考を巡らせたなら、自分が置かれている状況や相手への見方も今までとは変わってくるはずです。

急な質問ですが、この人は誰かご存知ですか?

両脇にいる子供ではなく、中央の人ですね。

知らない人はほとんどいないであろう、聖徳太子です。聖徳太子といえば、日本に仏教を広めたことでも有名ですね。

聖徳太子の作成した十七条憲法の中に、このような条文があります。

忿を絶ち瞋を棄て、人の違うを怒らざれ

人みな心あり、心おのおの執るところあり。

彼是とすれば則ちわれは非とす。われ是とすれば則ち彼は非とす。

われ必ず聖なるにあらず。彼必ず愚なるにあらず。共にこれ凡夫のみ

(第十条から抜粋)

現代語にすると、以下のようになります。

(わかりやすいように「人みな心あり、心おのおの執るところあり」から訳し、「忿を絶ち瞋を棄て、人の違うを怒らざれ」を最後に訳しています)

人にはそれぞれ「これこそ正しい」という考えがある。

相手が正しいと思っていることを私は良くないと思い、私が正しいと思っていることを相手は間違いだとする。

私が常に正しいとも限らず、相手が常に誤っているとも限らない。ともに間違いだらけの凡人だからだ

だから、心の中の怒りをなくし、怒りの表情を浮かべることもやめ、相手の考えが自分と違っていても怒ってはならない。

約1500年も前に、権力争いの愚かさと、その解決方法を教えていることに驚かされます。

他人と争いになったときは、まずは「私は正しい」の思いを棚上げし、相手の事情もよく知り、Win-Winの関係になれる方法を見つけていきたいですね。

まとめ

  • 職場や家庭で相手と言い争いになるときは「私は正しい、間違っているのは相手」という考えを持っています。この「私は正しい」という思いは、権力争い(相手に勝利して、特権的な地位を得ようとすること)につながります
  • 権力争いに勝利しても、相手は復讐心を抱き、相手との関係は悪化します。相手の脅威に備えなければならず、精神がすり減らされてしまうでしょう
  • 対人関係のあり方を変える必須条件は、「私は正しい」の考えを棚上げすることです。「自分に非はなかっただろうか。相手はもしかしたら間違っていないのではないか」と自問することで、自分の考え・振る舞いを変えることができます

引用した書籍

困った時のアドラー心理学 (中公新書ラクレ)

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この記事を書いた人
南 雄一郎

2011年 金沢大学工学部 卒業

大学では機械工学を専攻するなか、悩み解消のヒントや生きる指針を教える仏教に強い関心を持ち、仏教講演会に多数参加しました。

また大学卒業後は仏教と親和性のある心理学にも興味を持ち、独学で学びました。

現在は東京都内でライターをしながら、対人関係の悩みを解消し、自立した生き方の実現を目的とした 仏教×心理学のワークショップを開催しています。

自主開催のワークショップは累計500回以上。

2018年 新潟県キャリアセンター様主催 キャリアコンサルタント フォローアップセミナーにて講師をつとめました。

NPC法人HMC協会 認定心理カウンセラー(セルフ資格) 。

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