勉強会主催の みなみ です。
『自己評価メソッド』を通して、不安や恐れなどの生きづらさを解消するにはどうすればいいのか、そのための自己評価の高め方について、続けてご紹介しています。
今回はその50回目です。
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後悔と上手に付き合っていくには?
『自己評価メソッド』は、フランスで人気の精神科医 クリストフ・アンドレ氏によって書かれました。
こちらの記事では、『自己評価メソッド』で紹介されている、自己評価をよくする方法を以下の4つのパートに分けてお話ししています。
- 自分を受け入れる
- 自分との関係を改善する
- 他人との関係を改善する
- 行動の仕方を改善する
前回は、4番目の「行動の仕方を改善する」の中の、<後悔の心理学>についてお話ししました。
失敗や成功と密接な関わりがあり、自己評価とも結びついている感情が<後悔>です。
後悔によって行動ができなくなり、自己評価に悪影響が出ることがあります。
“する”のと“しない”のと、どちらが後悔するか
何かをして失敗したときに抱く感情が、後悔の基本的な形です。
しかし何かをしなかったときも「ああしておけばよかった」と、後悔することがあります。
失敗した直後は、何かをしたときの後悔のほうが大きいことが実験でわかっています。
それは、何かで失敗したときに、後悔をして、その経験を次につなげるようにしたほうが 生き残る確率が高かったから、と説明されています。
一方で、人生に関わる重要な決断に関しては、何かをしなかったときの後悔のほうが大きくなります。
それは、時間の経過とともに、何かをしたときの後悔は消化されて小さくなっていきます。
それに対して、しなかった場合は「あのときにああしていたら、どうなっていただろう」という気持ちが強くなっていき、これは納得のしようがなく、気持ちのくすぶりがなくならないからです。
また、何かをして失敗した直後に感じる後悔は、怒り・恥ずかしい・罪悪感などの激しくホットな感情、
行動をとらないことで感じる後悔は、悲しみ・あきらめ・むなしさなどの静かでメランコリックな感情が中心である、といわれています。
後悔の感情と、自己評価との関係
よい自己評価の人は、失敗と適切に向き合っているために、失敗もよい形で記憶されるので、後悔の感情がついて回ることはありません。
それに対して、悪い自己評価の人は失敗と向き合えていないため、失敗が悪い形で記憶されており、後悔の感情がついて回る、といわれています。
後悔と上手に付き合うための実践法
成功や失敗という結果が出ていないときに後悔と上手に付き合っていくには、
「<正しい選択>などないと知る」
ことです。
私達は、「これを選ばべ後悔しない」という<正しい選択>があると思い込み、それを選ばなかったという思いから後悔が生じる、といわれています。
しかし、「これを選ばべ後悔しない」という<正しい選択>というものはありませんね。
「これは失敗だった」と思った行動が成功につながる場合もありますし、「こうしてよかった」と思っていた行動が思わぬ失敗を招く、ということもあるからです。
大切なことは、選択をした後で努力をして、その選択を「正しいものにできた」と思えることです。
正しい選択かどうかにこだわっていては、何もできずじまいとなってしまいます。それこそが問題です。
絶対に正しい選択はないとわかれば、選択を正しいものにしていこうという意欲が湧いてくるでしょう。
そうなれば、どんな選択をしたとしても、後悔を引きずって何もできなくなることはないのですね。
前回の詳細はこちら
今回は、行動することにはどんなよいこと・メリットがあるのか、
その<行動の利点>をご紹介していきます。
行動することで自分も他人も社会さえも変えられる!行動の4つの利点
行動することの利点として、4つが紹介されています。
利点① 行動は私達を変える
『自己評価メソッド』は、自己評価をよくしていくことを目的として書かれています。
「自己評価をよくする」というのは、別の言い方をすると、「人間として成長する」ということ、といわれています。
自己評価がよくなれば、
- ほどよい自信が持てる
- 広い視野が持てる
- 他人に過度に依存しない
- 他人を一方的に責めたり、非難したりしたい。優しく接する
などができるようになるのであり、ひと言でいえば、まさに「自己成長」と言い換えることができますね。
では、自己成長するにはどうすればいいのでしょうか。
それには、さまざまなことを経験して、そこから学ぶことが大切ですね。そのためには自分にとって必要だと思ったことをやってみる-すなわち、行動することがいちばんいいのです。
結果を恐れて行動しなければ、何も得ることはできないでしょう。
それでは、行動はどのように私達を「人間として成長させる」のでしょうか。
人間の成長 と 行動 との関係が、比喩で教えられています。
人間の成長 と 行動 との関係
人間として成長することは、自分という人間に対する「職人」になることだ、といわれています。
職人といえば、その道のプロを師匠として仰ぎ、その素晴らしい仕事をお手本にして技術を磨いていく人ですね。
ときには師匠や先輩からフィードバックをもらえることもあり、それに耳を傾けて、自分の腕をあげていく、自分を鍛えていきます。
同様に、人間として自分を成長させるとは、自分という人間に対しての職人になること、
つまり、素晴らしい人の自己評価の仕方・考え方・生き方をお手本として、ときにはフィードバックを受けながら、自らの人生で学び得たことを実践し、自分を鍛えていく、ということです。
そして、このときに使う道具が<行動>であるのです。
木彫りの職人がノミをふるって腕をあげていくように、
私達は行動というノミをふるって自分を変えていき、新しい自分を彫りあげていくのですね。
利点② 行動は私達の物の見方を変える
<行動>によって自分が変わってくれば、<世界に対する見方>も変わってきます。
なぜなら、これまでとは違った自分になるということは、今までよりも高く、広い視野を持つようになった、ということだからです。
視野が広がれば、違った世界が開けてきます。
行動してみたことで、「やってみればできるんだ」とわかり、そうなれば「自分もこの世の中で、自信を持って生きられる可能性は十分にある。世界は希望に満ちている」という世界観を持つこともあるでしょう。
それとは反対に、行動を回避すれば、いつまでも怒りや悲しみ、羨望や嫉妬、羞恥や後悔などのネガティブな感情を抱えて続けてしまうこともあります。
そうなれば、「世の中は悪意に満ちている」と思えてくるでしょう。
そのように行動を回避するのではなく、思い切って行動を起こしてみて自分が変わったならば、ネガティブな感情をとらわれることなく、そういった感情と上手に付き合えるようになることもあります。
そうすると、人生はもっと明るく、楽しい場所だということに気づけるでしょう。
すべては「行動する」ことから始まるのですね。
利点③ 行動は他の人達を変える
行動で変えられるのは、<自分>や<自分の物の見方>だけではありません。
その結果として、他の人達にも影響を及ぼすのです。
それに関して、感情がまわりに与える影響についての研究が紹介されていました。
自分の気分がまわりに影響を与える
ある研究によると、感情はネガティブなものも、ポジティブなものも、「社会的に伝染する」といわれています。
つまり、職場や家庭で誰かが不機嫌な顔をしていると、その不機嫌が他の人にも伝染する(まわりもだんだんと不機嫌になってくる)のです。
これは上機嫌の場合も同じであり、上機嫌な顔をしていると、まわりにもそれが伝わって、他の人の気分も徐々によくなってくる、ということですね。
そしてこれまで、行動と自己評価には密接な関係があり、自己評価と気分(感情)にもまた相関関係があることをお話ししてきました。
自己評価と気分との関係についての詳細はこちら
行動は自己評価の酸素であり、行動をすることで自己評価はよくなっていきます。また、自己評価がよくなれば気分もよくなります。
よって、行動は感情によい影響を与えるのであり、行動によって自分が上機嫌になれば、まわりの気分もよくなっていきますね。
このように、行動することで他の人達の気分もよくする、他の人達をいい状態にできることがわかります。
自分がお手本になれば、他の人達にいい影響を与える
また、行動によって自己評価がよくなれば、まわりの人のお手本になることもできる、といわれています。
これは、自分のまわりの人がお手本のような存在だったらどうかを考えると、その影響の大きさがよりわかります。
もし自分のまわりに、
よい自己評価を持っていて、自分がしなければならないと思ったことは、失敗を恐れずに行動し、たとえ失敗しても、その結果を冷静に受け入れられる
ような人がいたら、どう思うでしょうか。
間違いなくその人からよい影響を受けることができますね。
「あの人のように自分もなりたい。そのためには、あの人のこういう考え方・行動の仕方を自分も取り入れよう」と学べて、行動に踏み出す勇気も得られるでしょう。
行動によって相手に対する見方が変わり、相手の態度も変わる
さらに、行動をすることで相手に対する見方も変わります(話しかける前は相手を恐れていたが、話しかけてみると寛大に対応してもらって、相手への印象が変わった、など)。
そのように相手に対する見方が変われば、相手の態度も変わってきますね。
利点④ 行動は社会を変える
ある人物の行動によって、社会のあり方さえも変わることがあります。
それは、もともと偉大な人物が起こした行動によって社会が変わる、ということもありえますが、それに限りません。
<よい自己評価>との好循環のなかで行動を起こしたことによって社会が変わり、行動を起こした人が偉大な人物になった、ということもありますね。
そう考えると、行動を起こして社会を変えることは誰にでもできるといえるのです。
私たちは<行動>を通じて社会を変えることができるのだ
とアンドレ氏はいわれています。
社会と聞くと、あまりにも壮大で、そんな社会を変えることは さすがに自分にはできない、と思われるかもしれません。
確かに社会全体であれば、そのあり方を変えるのは並大抵のことではありませんが、もっと範囲を狭めていったとしても、それは社会ですね。
自分が所属している会社やコミュニティ、家族もまた社会といえるでしょう。
そのなかで行動を起こすことによって、その社会をお互いにとってよりよいものに変えていくことは誰にでも可能であり、それは必要なことですね。
自分が行動することで、小さな範囲でも、よい方向に変えられることはないだろうか、という視点をもって、行動に踏み出していきたいものです。
最後に…行動に関する注意点
ここまで見てきましたように、行動は大切なものであるとわかります。
しかしそれは、あくまで自発的に、自由な選択のもとに行われたものでなければならない、と忠告されています。
自発的ではなく、強制的に、強迫的に行動に駆り立てられることは利点があるどころか、精神的に健康な生活から引き離されてしまいます。
自発的な行動が大事であることを意識していきましょう。
以上が、行動することで得られる4つの利点でした。
次回は、「自分を忘れる」ということについてお話をしていきます。
まとめ
- 行動することの利点として、以下の4つが紹介されています。
- 行動は私達を変える-
自己評価をよくするということは、言い換えれば「人間として成長する」ということです。それにはさまざまなことを経験し、そこから学ぶことが大切ですが、そのために一番いいのは行動すること、といわれています - 行動は私達の物の見方を変える-
行動によって自分が変われば、世界に対する見方もまた変わります。行動したことで「世界は希望に満ちている」という世界観を持つこともできます - 行動は他の人達を変える-
私達の感情はまわりに伝染していきます。行動によって自己評価がよくなり、気分がよくなれば、他の人の気分もよくすることができるのです - 行動は社会を変える-
よい自己評価との好循環で行動を起こすことによって社会が変わる、ということもあります。社会全体とまではいかなくても、小さな範囲の社会で行動を起こし、お互いにとってよりよい環境にしていくことは必要なことです
- 行動は私達を変える-
続きの記事はこちら
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