勉強会主催の みなみ です。
『自己評価メソッド』を通して、不安や恐れなどの生きづらさを解消するにはどうす ればいいのか、そのための自己評価の高め方について、続けてご紹介しています。
今回はその22回目です。
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自己主張ができるための実践法
『自己評価メソッド』は、フランスで人気の精神科医 クリストフ・アンドレ氏によっ て書かれました。
こちらの記事では、『自己評価メソッド』で紹介されている、自己評価をよくする方 法を以下の4つのパートに分けてお話ししています。
- 自分を受け入れる
- 自分との関係を改善する
- 他人との関係を改善する
- 行動の仕方を改善する
前回は、「自分との関係を改善する」の中の<自己主張>について、自己主張ができるようになるための実践法をご紹介しました。
自己主張の実践法-自分を大切にする(自分の欲求を叶えるために努力する)
自己主張するには、まず自分がどんな感情や欲求を持っているのかを知ること、心の声に耳を傾けることが大切です。
そしてそれがわかったら、次は、その欲求をできる限り叶えるために努力することです。
はじめから欲求を認めず、否定していては、自分への見方も変えることができず、自己評価がよい方向へといくことはありませんね。
では自らの欲求を叶えるには具体的にどうすればいいのでしょうか。実際に心理セラピーで行われている、自分の欲求を叶える3つのステップも教えられています。
- 自分の欲求を叶える3ステップ
- 自分の感情や欲求を<個人の権利>として認める
- 自己主張ができない状況を書いてリスト化する
- 実際に行動に移す
自己主張の実践法-自己主張と対人関係は両立できると知る
自分の欲求を伝える = 相手の関係が壊れる
という思いから、自己主張を躊躇してしまうという方は多いと思います。
しかし相手が何かを依頼してきたならば、思いやりの気持ちを持ってそれにできる限り応えようとするのが、普通の人間関係です。
自己主張と対人関係は両立できるのですね。
もし相手との関係が悪くなるようなことがあれば、それは“伝え方”に問題があります。
相手の事情を配慮しない身勝手な要求、攻撃的な態度で欲求を伝えれば、当然、関係は悪化していきますね。
相手のことを配慮しつつ、自分の思いを丁寧に伝える、
また相手の欲求にも応えられるようにできる限りサポートする。
そのようにすれば、相手と良好な関係を保ったまま、自らの欲求を叶えられ、自己評価はよりよくなっていくでしょう。
自己主張の実践法の詳細はこちら(前回の記事)
今回は、「劣っている勇気を持ち、不完全なまま生きる」ことを通して、よい自己評価を持てるようになるための方法をご紹介していきます。
不完全なまま生きる-劣っている勇気を持つ
「自分は劣った人間だ」という感覚の原因
特別に精神疾患をわずらっていない人でも、そのうちの15%が「自分は劣った人間だ」と思っている、という調査結果が出ているそうです。
そうだとすると、「ある特定の状況で 一時的に『自分は劣っている』と感じる人はもっと多いだろう」とアンドレ氏はいわれています。
「自分は人より劣っている」という感覚あれば、自分の価値を感じられず、<自己評価>に悪い影響が及ぼされますね。
ではこの「自分は劣った人間だ」という感覚は、どこからもたらされるのでしょうか。
それは、「自分は完全でなくてはならない」という思い込みからきている、と指摘されています。
「完全でなくてはならない」という思い込みがあれば、完璧に事が進まなかったときに(そういうときがほとんどですが)、「自分は劣った人間だ。これでは人からバカにされ、受け入れてもらえない」と思って、自己評価が下がってしまいますね。
アンドレ氏のクリニックに相談に来たある教師は、「生徒からの質問が怖い」と語ったそうです。
その不安は「先生ならば、生徒に質問されたことに完璧に答えなければならない。それができないなら、自分は劣った教師だ」という思い込みからきている、といえますね。
私達は「劣っていない“ふり”」「できている“ふり”」をする
この「これができない自分はバカにされるのではないか」という不安を解消しようと、私達は「できている“ふり”」をしがちである、とも指摘されています。
しかし“ふり”をすることには2つの問題があるのです。
問題点① ふりがばれたとき、いっそう恥ずかしい状況に置かれる
本当は持っていないものを持っているとウソをついたり、未経験のことをあたかも経験したかのように語ったりしたあとに、実はふりであったことがばれれば、どうなるでしょうか。
周りの人は失望したり、呆れたり、不快な思いをしたりして、ふりをした人のことを信用できなくなるでしょう。
ふりをした人は、自分のことを「本当はできていない上に、それを認めなかった恥ずかしい人間」と思ってしまいますね。
問題点② ばれたら困ると思って、いつでもひやひやしていなければならない
たとえふりしていることがばれなかったとしても、「いつか秘密が漏らされたならどうしよう」という不安がつきまってしまいますね。
さらにその不安は、「自分の能力を思うように発揮できなくさせる」ことも実験でわかっているそうです。
このように、ふりをしたとしても、「私は劣っている」という思いへの根本的な解決にはならず、むしろ弊害のほうが多いといえるのですね。
「自分は劣った人間だ」という感覚を和らげ、自己評価をよくする出発点
それでは、「自分は劣った人間だ」という感覚を和らげ、よい自己評価を持つにはどうすればいいのでしょうか。
それには、「人は完全でなくてもよい」という思いを持つこと、そこを出発点にしよう、といわれています。
「自分が不完全であることを受け入れ、劣っている勇気を持つこと」こそ、根本的な解決策となるのですね。
「完全でなければならない」と思い込んで、できていない自分を受け入れられずに、できている“ふり”をしても、先に見たように、自己評価はよくなりません。
反対に「完全でなくてもよい。完全でなくても、人は自分を受け入れてくれる」という思いが持てれば、できていないことの怖れもなくなり、“ふり”をする必要はなくなります。
その上で、<不完全な部分>を<完全>な方向にほんの少しでも近づけるための努力をしていけばいいのです。
そうすれば、自己評価は着実によくなっていくでしょう。
では自分が不完全であることを受け入れるにはどうすればいいのでしょうか。
次回はそのための4つの実践法をご紹介していきます。
まとめ
- 「自分は劣っている」と思えば、自己評価に悪い影響が出てしまいます。その思いは、「私は完全でなくてはならない」という思い込みからきている、といわれています。その思い込みによって不安になり、できている“ふり”をするようになるのです
- ふりをしても、劣っているという思いへの根本的な解決にはならず、むしろ「ばれたときにいっそう恥ずかしい思いをする」、「ばれないかとひやひやし、能力を思うように発揮できなくなる」という問題が生じます
- 「自分は劣っている」という思いを和らげ、自己評価をよくするには、「自分は不完全である」と受け入れることです。「完全でなくてもよい」と思い、自分を受け入れれば、ふりをする必要もなくなります
続きの記事はこちら
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