勉強会主催の みなみ です。
『自己評価メソッド』を通して、不安や恐れなどの生きづらさを解消するにはどうすればいいのか、そのための自己評価の高め方について、続けてご紹介しています。
今回はその37回目です。
記事の内容を動画でもご紹介しています:
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「恥ずかしい」という感情と、自己評価との関係
『自己評価メソッド』は、フランスで人気の精神科医 クリストフ・アンドレ氏によって書かれました。
こちらの記事では、『自己評価メソッド』で紹介されている、自己評価をよくする方法を以下の4つのパートに分けてお話ししています。
- 自分を受け入れる
- 自分との関係を改善する
- 他人との関係を改善する
- 行動の仕方を改善する
前回は、「恥ずかしいという気持ち」と自己評価との関係についてをご紹介しました。
「恥ずかしい」という気持ちは<自意識の感情>
「恥ずかしい」という気持ちは<自意識の感情>といわれています。
自意識の感情とは、特定の状況だけからその感情は生まれるのではなく、「その状況を自分がどう感じるか」によって生まれてくるもの、ということです。
仮に、危険な場所に身をおけば、ほとんどの人は恐怖の感情を持つでしょう。このような感情は、自意識の感情とはいわれません。
しかし、「恥ずかしい」という気持ちに関しては、特定の状況下で誰もがそれを抱くかというと、そうではありませんね。
ある人は特に恥ずかしいとは思わないことでも、別の人はとても恥ずかしいと思う状況(例えば、満員電車から降りる際に「降ります」と言うときなど)があります。
このような感情が自意識の感情といわれます。
その<自意識の感情>には、以下の3つの特徴があります。
- (恐怖や怒り、悲しみなどの感情と比較して)外からは読み取りにくい
- 普遍的な原因を持たない(「恥ずかしい」という気持ちを持つかどうかは、その状況をどう解釈するかに大きく依存しています)
- 他人の視線と関わりがある(他人に見られていると思うと、恥の感情は倍加します)
恥ずかしさと自己評価との関係
私達は、「他人からの評価が下がったと思う」と感じたとき、恥の感情を持ちます。
<他人からの評価(他人から自分はどう思われていると感じているか)>も<自己評価>に入るため、恥の感情は自己評価を傷つけるといえます。
また、恥の感情は、自分という存在そのものを恥ずかしく思う、自分への否定的な感情でもあるため、自己評価に悪影響が出るのですね。
前回の詳細はこちら
今回は、自己評価が傷つくのを防ぐための、恥の感情のコントロール法をご紹介していきます。
恥ずかしいという気持ちをコントロールする実践法
恥ずかしいという感情にはきちんとした役割がある、といわれています。
それは、「グループの成員を規範から逸脱させないようにする」ことです。
人間は社会的な動物であり、一人で生きていくことはできません。家族、職場、学校などの組織・グループに所属していますね。
それらには、共存していくための守るべきルールがあります。
そのルール・規範から逸脱したときに「恥ずかしい」と感じるように感情がプログラムされているのです。
恥ずかしいと感じれば、「もう、それはやらないようにしよう」という抑止となります。
このように恥の感情は、グループから仲間外れにされないための警報装置として役割があるのです。
しかし、何事も行き過ぎはよくなく、それは「恥ずかしい」という気持ちも同じです。
恥の感情が過剰になれば、自己評価が傷つき、精神に重大な影響が及ぼされてしまいかねません。
そこで、「恥ずかしい」という気持ちの行き過ぎを抑えて、コントロールするための実践法が2つ、紹介されています。
実践法① 恥ずかしいと思わない訓練をする
「恥ずかしい」と感じるのは、<状況>そのもののせいではなく、その状況を「恥ずかしいと思う」からである、ということはこれまでお話ししていました(<自意識の感情>といわれてます)。
これについて、特に自己評価に問題がある人は、そうではない人に比べて、さまざまな状況で「恥ずかしいと思う」ことが多い、といわれています。
それは、自己評価に問題があれば、「自分はきっと、他人からみっともないと思われているだろう」と、<他人の評価(他人からどう思われていると感じているのか)>に意識過剰であるからです。
ゆえに「恥ずかしく思ってしまう」ことが多くなるのですね。
そこで、まず思い切って
他人からどう思われているかは気にしない。人がどう思ってもかまわない
と開き直り、「こんなことをしたら恥ずかしい」と思うことをやってみることが勧められています。
いきなり大きなことをやろうとしてもできずに、行動を回避して、ますます自己評価を傷つけてしまう可能性があるため、まず、できそうなことから始めてみましょう。
できそうなところから始めてみると、以下の3つのことがわかるといわれています。
1 やってみる前のほうが恥ずかしい
「恥ずかしい」と思うことは、実際にやるより、やってみる前のほうが恥ずかしい、といわれています。
これはあなたも、経験があるでしょう。
やってみる前はとても恥ずかしくても、やってみれば、「考えていたより、そんなに恥ずかしいことではなかった。考えすぎだった」ということがありますよね。
たとえば、通行人に話しかける・誰かに意見や気持ちを伝える・プレゼンテーションをする・初めてのイベントに参加するなど。
行動を回避していれば、いつまでも「やってみる前」の状態が続き、恥の感情はあり続けます。
行動することで、やってみる前の恥の感情は想像・幻想にすぎないことがわかってくるのですね。
2 人はそれほど自分に注意を払っていない
行動してみると、ほかの人は自分が思っているよりはずっと自分に注目していないとわかります。
それがわかれば、他人の評価も過剰に気になることはなくなってきます。
3 やればやるほど恥ずかしくなくなっている
恥ずかしいと思われることをやり続けていくと、次第に恥ずかしくなくなってくるものです。
さらには「こんなこともできるんだ」と解放感に包まれ、充実感を覚えることもあるほどです。
実践法② 自分ひとりで悩まない
「恥ずかしい」という気持ちは、他人からの評価が下がったときに抱く感情ゆえ、人にはなかなか言えない感情です。
そのため「恥ずかしい」と思うと、自分のなかに閉じこもりがちになってしまいます。
しかしそういうときこそ、自分が「恥ずかしい」と思っていることを人に話すことが勧められています。
人から見れば、それは恥ずかしいことではないかもしれません。
相手の目線で感じることを言ってもらえると、あなたの視野が広がり、「恥ずかしい」と思う気持ちは相対化されるでしょう。
また、もしかしたら相手も同じように「恥ずかしい」と感じていることを話してくれるかもしれません。
それを聞けば、「私だけではないんだ」と思えて、安心できますね。
恥の感情を抱え続けていると、何かのことでそのことを思い出しては辛い思いをすることになってしまいます。
それを防ぐためにも、「恥ずかしい」という気持ちを持ったなら、その感情は早めに誰か信頼できる人に話しておいたほうがいいのですね。
以上が、恥ずかしいという気持ちをコントロールする実践法でした。
次回は、<比較>や<競争>がもたらす自己評価への影響についてお話ししていきます。
まとめ
- 私達は、ルール・規範から逸脱したときに「恥ずかしい」と感じるようにプログラムされています。恥ずかしいと感じることで、ルールから逸脱することの抑止となります。このような役割が恥の感情にはあるのですが、過剰になれば、精神に悪影響が出てしまいます
- 恥の感情をコントロールする実践法として、以下の2つをご紹介しました
- 恥ずかしいと思わない訓練をする-
「他人からどう思われるかは気にしない」と割り切り、「こんなことをしたら恥ずかしい」と思うことで、できることからやってみましょう - 自分ひとりで悩まない-
恥ずかしいと思うことを人に話すことで、恥の感情は相対化されていきます。早く誰かに話しをして恥の感情を手放せば、恥ずかしい体験を思い出しては辛い思いをするのを防げるでしょう
- 恥ずかしいと思わない訓練をする-
続きの記事はこちら
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