「失敗して、恥ずかしい思いはしたくない」
「失敗が恐くて挑戦できない」
などの失敗への恐怖は、どなたにでもあると思います。
しかし失敗を恐れてチャレンジしなければ、向上はありませんし、他者に貢献することもできませんね。
どうすれば失敗を恐れずに挑戦し、自己成長していけるのでしょうか?
アドラー心理学から「失敗する勇気」を学んでみましょう。
記事の内容を動画でもご紹介しています
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失敗を怖れる人、怖れない人の違いは?失敗を怖れない人の特長
失敗を怖れる人と、失敗を怖れない人。
この違いはどこにあるのでしょうか?
『アドラー心理学実践入門』には、失敗を怖れる人の特徴がこう書かれています。
失敗を怖れる人は、実際に結果を出さずに、やればできるのに、という可能性の中にだけ生きています。
評価を怖れ、それを回避するために、結果を出さないというようなことは、自分にしか関心がない人がすることです。
(『アドラー心理学実践入門』岸見一郎著 より引用)
「失敗したら周りからの評価が下がってしまう、恥をかいてしまう」と、誰もが思ってしまうでしょう。
しかしそれは、自分のことしか関心がないからなのですね。
自分の評価を落としたくないから、恥をかきたくないから、失敗を怖れ、可能性の中に生きてしまうのです。
反対に、失敗を怖れない人とはこういう人だと書かれています。
自分に与えられた課題について、それによって他者に貢献できるかどうかということだけを考えられる人は、失敗を怖れません。
「失敗したらどんな評価がされるか」などと気にすることがないからです。
(『アドラー心理学実践入門』岸見一郎著 より引用)
相手、また全体への貢献を考えられる人は、自分の評価のことは気にかけずに、失敗を恐れることなく課題へと立ち向かっていけるのですね。
つまり、失敗を怖れる人は自分にしか関心がなく、失敗を怖れない人は他者のことが考えられる人なのです。
他者に関心を持てば「失敗する勇気」が持てる
アドラーの高弟であるルドルフ・ドライカースは、
ある出来事が起こったときに、健康な人は、これはみんなにとっていったいどういうことだろうか、他者にとってどういうことだろうかと、まず考える。
不健康な人は、これは自分にとってどういうことだろうかとまず考える。
と語っています。
自分のことしか考えられない人は精神的に不健康な人であり、他者や全体へのマイナス要素をつくり出し、トラブルを引き起こしてしまいます。
反対に他者や全体のことを考えられる人は、他者や全体へ貢献をし、良好な関係を築いていけるのですね。
『アドラー心理学実践入門』にはこう書かれています。
他の人に関心がある人であれば、課題が与えられれば、できることから少しずつでも始めていきます。
アドラーはこれを「不完全である勇気」「失敗する勇気」と呼んでいます。
失敗していいといっているのではありませんが、失敗を怖れ、課題に取り組まないよりは、少しでも、課題に取り組むことのほうが重要なのです。
(『アドラー心理学実践入門』岸見一郎著 より引用)
他者に関心を持てば、他者のために少しずつでもできることをしよう、と「失敗する勇気」が湧き起こるのですね。
成功したほうがいいに越したことはありませんが、他者貢献感があれば、たとえ失敗しても「改善して、次こそはもっと人の役に立つぞ」という気持ちになれます。
向上につながるという点を考えれば、あのとき失敗していてよかった、とさえ思えるかもしれません。
失敗を怖れないためのポイント
では「失敗する勇気」を持つにはどうすればいいのでしょうか?
それは、他者の評価が絶対だ、という考えを見直してみることです。
人間には承認欲求があり、常に「他人から認められたい」という思いがあります。
他人の評価=自己評価という考えがあって、他人から認めなければ自分には価値がない、とさえ思ってしまいますよね。
ゆえに失敗をして他人からの評価を落としたくない、評価を落としてしまう可能性があるなら そもそも挑戦しないほうがいい、となってしまいます。
もちろん自分勝手に振る舞えばいいというわけでもありませんが、他人からの評価を気にし過ぎてチャンレンジを避ければ、自己成長は望めません。
「誰からも嫌われないでおきたい」という高過ぎる理想、不合理な理想が自分自身を苦しめることになると、アドラー心理学のパイオニアである野田俊作さんは指摘しています。
自己受容ができない人というのは、非現実的に高い目標を持っている場合が多いようです。
たとえば、「すべての人に好かれよう」とか、「決して失敗しないでおこう」とか、「あらゆる人よりもあらゆる点で優れた人間でいよう」とかいうような、実現不可能な、不合理な高い理想を持っていて、それを実現していない自分を感情的に責めるわけですね。
(『劣等感と人間関係 アドラー心理学を語る3』野田俊作著 より引用)
「すべての人に好かれよう」と思えば、相手から好かれるためにだけに行動し、やがて自由がきかない状態になってしまいかねません。
そんな、化けの皮が剥がれることを怖れている状態では、「失敗する勇気」を持つことはできませんね。
あなたに対して常に悪意を持っている人もいれば、失敗をしても むしろそれを優しく受け入れてくれる人もいるのです。
大切なのは他人からの評価ではなく、どれだけ他人に貢献しようと挑戦しているかであり、また失敗を教訓にして向上できているか、ですね。
他者からの評価=自己評価と考えることなく、他者貢献感を持ち、失敗を怖れずに踏み出していきたいですね。
まとめ
- 失敗を怖れる人の特徴は自分にしか関心がないこと。対して失敗を怖れない人の特徴は、他者のことが考えられることです
- 他者に関心を持ち、他者に貢献したいと思うことで、「失敗する勇気」を得ることができます
- 「すべての人に好かれよう」という非現実的な高い目標を掲げると、相手から好かれよう、評価を落とさないようしようと思うあまり、身動きが取れなくなります。他者の評価に気を取られすぎないことが大切です
引用した書籍
アドラー心理学 実践入門—「生」「老」「病」「死」との向き合い方 (ワニ文庫)
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