勉強会主催の みなみ です。
今回のワークショップには初めての方3名を含む、4名の方にご参加いただきました。
体調不良などで来られなかった方もいたのは残念であり、早く快復されることを念じたいと思います。
その中、初めての方と学びを深められ、みなさんからのお話をお聞きして知見が広がり、貴重な時間となりました。
お一人は仏教系の幼稚園にお勤めの方で、毎朝、園児と一緒にお経を読まれる時間があるそうで驚きましたが、小さなころから仏教に親しめるのは良いこととも感じました^^
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カウンセリングの目的は、「これからどうしたいか」に目を向けさせること
今回は、
ブッダとアドラー心理学に学ぶ「即実践的 悩みの解決法」
というテーマでお話ししました。
アドラー心理学が広まるきっかけとなったのが、ベストセラーである『嫌われる勇気』ですね。
その『嫌われる勇気』の著者である岸見一郎さんの最新作が『人生を変える勇気』です。
人生を変える勇気 – 踏み出せない時のアドラー心理学 (中公新書ラクレ)
こちらの本は青年の友人関係や夫婦関係、親と子の関係など、具体的な人間関係の悩みに対してアドラー心理学の観点から答えられており、アドラー心理学をより実践的に使うことのできる内容です。
前回は、そもそもアドラー心理学でカウンセリング、悩み相談を行う目的は何かについてお話ししました。
前回の記事はこちら
カウンセリングの目的は、相手の愚痴話を聞いて、肯定する・同調する、というように思われている方もいますが、それでは一時的な慰めは得られても、相手の人生はカウンセリングの前後では何も変わりません。
むしろ、「自分は間違っていないのだ」という思いが強化され、ますます変わりにくくなってしまいます。
もちろん、はじめのうちは相手の話に共感し、理解を示すことは欠かせません。
しかし「周囲の人を責めていても変わらない。あなた自身はこれからどうすべきか、どうしたいか」ということに目を向けさせなければならないのですね。
そのことを踏まえていただいたとして、具体的な悩みへの解決方法をお話ししていきます。
「自信がなく本心を話せない」という悩みにどう答えますか?
自己受容に関する、ある男性の悩みが紹介されました。
ボクは自分に自信がありません。
他の人からどう思われているかがいつも気になってしまい、本心を話すことができません。
遊びに誘われると、本当は家で一人でいたいのに断ることができません。
こんな性格、どうしたらいいですか。
自分に自信がなくて、ゆえに他の人からどう思われているかが気になる。
嫌われたくはないので、何かに誘われたり依頼されたりしたとき、本当はやりたくないと思っていても、本心を言うことができない…。
このような性格をどうすればいいのかという悩みに、みなさんならどう答えられるでしょうか?
アドラー心理学の観点でいうと、この男性は、
「自分はもともと自信がない。弱気な性格である」
↓
「他の人からどう思われるかが気になる。嫌われたくない」
↓
「嫌われたくなくて、本心を話せない」
という考えだと思います。
このように、トラウマや遺伝、生まれつきの性格などの変えられないものが原因で自分は苦しんでいるんだ、という考えは「原因論的な考え」といわれます。
自分が悩んでいるのは、性格や過去の失敗が原因だ、と考えるのは普通のことであり、当たり前のようにも感じます。
しかしアドラー心理学では原因論的な考えは明確に否定されているのです。
原因論の問題点、矛盾点とは?
まず原因論の問題点として、変えることのできない性格やトラウマを原因とすれば、原因がわかったことによる一時の安心はあったとしても、根本的な原因はなくならないことになります。
そうすると、やがてはまた悩みや苦しみに直面することになり、ずっと悩み続けることになってしまうのですね。
また、小さい頃は弱気で自信がなかった子でも、みんながみんな、自信のないままであるとは限りません。
むしろ自信をつけようと努力を重ね、勇気ある大人に成長した人もいるでしょう。
もともとの性格を原因とすれば、自己変革するチャンスも失ってしまうのですね。
ではアドラー心理学ではこの悩みをどう説明するかというと、
「~したくない」という目的が先にある
「この男性は自信がないから話せない」のではなく、「話したくない」という目的が先にあり、その目的を果たすために「自分の性格は良くない」と思っている、
と見るのです。
この「~したくない」という目的が先にあって、理由は後からついてくる、という考えを、原因論に対して目的論といわれます。
私たちには目的があり、その目的を果たすために行動を選択しているのです。過去の出来事に動かされているわけでないのですね。
ではなぜこの男性は本心を話したくないのかというと、本心を話して嫌われたくない、本心を話して相手から受け入れられなかったら大変だ、という恐れがあるからです。
裏を返せば、相手から嫌われることを恐れない“勇気”があれば、本心を話すことはできるのですね。
それではどうすれば本心を話す勇気を持つことができるのでしょうか。
それについては次回、詳しくお話しします。
まとめ
- カウンセリングの目的は、相手の愚痴を聞いて、その考えに同調することではありません。それでは「自分は間違っていない」という思いが強化され、自立から離れてしまいます。悩みを解決するには「周囲の人を責めるのではなく、自分自身がこれからどうすべきか」を考え、実行することです
- 本心を話せなくて悩んでいる男性は、「自分はそもそもこんな性格だ。だから本心が話せない」と思っています。これは変えられないものが原因で苦しんでいるという「原因論的な考え」です。しかし原因論はアドラー心理学では否定されています
- 原因論の問題点は、原因がわかったことによる一時的な安心感があっても、根本的な原因はなくならず、ずっと悩み続けることにあります
- アドラー心理学では、「話したくない」という目的が先にあって、その目的のために「自分は性格が良くない」と思っている、と見なします(これを目的論といいます)。私たちは目的のために行動を選択しているので、行動する勇気を持てば、実行に移すことができるのです
続きの記事はこちら
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