勉強会主催の みなみ です。
今年も1ヶ月を切りましたね。
今回のワークショップには初めての方4名を含む、7名の方にご参加いただきました。
心理学だけでなく仏教についても関心が高い方も来られ、終了後も仏教についての質問にお答えするなど、話が盛り上がりました。
みなさんの仏教への関心が高かったことが嬉しかったとともに、私自身も気づきを得ることができ、充実した時間を過ごすことができました。
今回のワークショップを縁に、仏教に対してより理解なされ、さらにご関心が高まられることを願っています。
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悪循環を引き起こす“認知のゆがみ”とは?
今回のテーマは、
ブッダとアドラー心理学に学ぶ「悪循環を引き起こす“認知のゆがみ”の改善法」
についてでした。
心理学では、気分を良くしたり、行動の改善をしたりしていくための始まりとして、「認知のゆがみ」を矯正することが勧められています。
認知のゆがみは「バイアス」ともいわれます。物事を偏って見ることです。
物事をありのままに受け止められず、偏った見方をすると、それが誤った思考となり、気分が落ち込んだりしてしまいます。
そこから不適切な行動へとつながって相手との関係が悪くなり、相手に対していっそうネガティブな見方をしてしまう…、と悪循環に陥ってしまいかねません。
前々回は、人間には「統覚バイアス」という、自分の思い込みに合うように見方を曲解してしまうこと、
前回は、思い込みの通りに行動することで思い込みが実現し、ますます思い込みが強くなるという「環境との相互作用」についてお話ししました。
前々回「統覚バイアス」についてはこちら
前回「環境との相互作用」についてはこちら
今回は、誤った認知には具体的にどのような特徴があるのか、「誤った認知の5つの特徴」についてお話しします。
誤った信念の5つの特徴(単純化と一般化、レッテル貼り)
誤った認知には、どのような特徴があるのでしょうか?
アドラー心理学では、以下の5つの特徴があると教えられています(ベーシック・ミステイクスといわれいます)。
- 単純化
- 一般化
- 誇張
- 関係づけ
- 見落とし
今回は1番目の「単純化」、2番目の「一般化」についてお話ししていきます。
①単純化
単純化は、二分論理(全か無か)などを使って、問題の性質を過度に単純に割り切ってしまうことをいいます。
100か0か、完璧な成功か失敗か、上か下か、優れているか劣っているかなど、中立的なものの見方ができずに、片方に振り切ってしまう考え方ですね。
「オール・オア・ナッシング」ともいわれ、すべてがOKでないとOKだと見なさない、すべてがOKでなければそれはNGだ、という考えです。
常に100%を求める「完璧主義」ともいえますね。
たとえば、対人関係において
「あの人は私を好きではない。好きではないということは、嫌いだということだ」
と捉えるのは、単純化ですね。
好きではなかったとしても、嫌われているとは限りません。仮に嫌われているほうだとしても、まだまだ修復可能な状態かもしれませんね。
それを「嫌われている」と単純に割り切ってしまえば、その人との接し方も悪くなったり、その人との接触を避けたりしてしまうでしょう。
そうなれば本当に相手から嫌われてしまいかねないのですね。
あるいは、行動した結果を
「まずまずの成功はない。完璧な成功か、さもなければ失敗だ」
と考えていれば、完璧な成功以外は失敗と見なします。完璧な成功はめったにないので、たいていのことは失敗だったと割り切ってしまうのですね。
そうなれば自信を失い、行動自体を避けるようになり、ますます自信を失ってしまうでしょう。
このように物事を極度に割り切って考えると、悪循環にハマりかねないのです。
②一般化
一般化とは、部分的な問題を全体的な問題だと思い込むことです。
対人関係でいえば、「あの人が私を嫌いなように、すべての人が私を嫌いだ」と考えることですね。
仮に一人に人から嫌われたとしても、すべての人から嫌われていることはまずないでしょう。自分のことを好きでいてくれる人、支えてくれる人も必ずいます。
それなのに、一人から嫌われたからといって「すべての人が私を嫌いだ」と考えるのは思い込みであり、誤った信念なのです。
そのような信念を持てば、自己評価はガタ落ちになり、対人関係を極端に避けてしまいかねません。日常生活にも支障が出てくるでしょう。
一部の問題を広げて、全体のことだと思い込み、気持ちを後ろ向きにさせるのが一般化なのですね。
特に有害な一般化とは?
特に有害な一般化が「レッテル貼り」といわれています。
仮に、自分に
「私は怠け者だ」
「ぼくは臆病だ」
「私は社会不適合者だ」
のようなレッテルを貼ってしまうと、たとえ望ましい行動をしたとしても、「やっぱり私はダメな人間だ」と思ってしまうのです。
レッテル貼りは自己評価を傷つけ、引き下げる行為なので、特に注意をしましょう。
「私は確かに怠けてしまったり、怖くて行動に移せなかったりすることもある。だからいって、いつも怠けているわけでも、何もしないわけでもない」
と自分の考えに反論し、レッテルに囚われないことを意識してください。
これは相手にレッテルを貼る場合も有害です。レッテルを貼れば、相手への見方が偏り、せっかくの相手のよい行動も見逃してしまいかねません。
今回は単純化、そして一般化についてお話ししました。
次回は、あとの3つの特徴をお話ししていきます。
まとめ
- 物事への偏った見方を「バイアス」といいます。アドラー心理学では、人間には自分の思い込みに合うように事実を曲解する「統覚バイアス」があると教えられています。バイアスによって事実を誤って見ることで感情や考えも悪くなり、不適切な行動にもつながってしまいます
- 誤った認知を正して、考えや行動を変えるには、まず誤った信念の特徴を知ることが大切です。誤った信念の特徴は5つ、挙げられています
- 単純化
- 一般化
- 誇張
- 関係づけ
- 見落とし
- 単純化は、問題の性質を過度に単純に割り切ってしまうことです。白黒思考、オール・オア・ナッシングともいわれます。グレーな事実も「すべて黒、すべて0、すべて失敗」と受け止めると、自信を喪失し、自己評価が傷つきます
- 一般化は、部分的な問題を全体的な問題だと思い込むことです。なかでも有害な一般化が「レッテル貼り」です。自らにレッテルを貼ると、たとえ望ましい行動をしたとしても「私はレッテル通りの人間だ」と思い、自己評価が下がってしまいます
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