3/16(土)レポート 認知を誤る原因「統覚バイアス」とは?-アドラー心理学に学ぶ“認知のゆがみ”の改善法2

勉強会主催の みなみ です。

今回のワークショップには、初めての方3名を含む6名の方にご参加いただきました^^

気温の上がり下がりが大きく、残念ながら体調不良で来られなかった方もいましたが、埼玉から長時間かけて来られた方もおられ、嬉しく思います(>_<)

ワークショップでは、認知のゆがみについてお話しし、まさに認知のゆがみで悩んでいる方も来られたのですが、
「偏った信念にどっぷりハマっていたので、本日学べて、非常にありがたかったです」
とご感想をいただき、役立てていただけて本当によかったです(^^)

認知の改善を習慣化することで思い込みも劇的に改善されますので、ぜひ継続して実践していただければと思います。

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アドラー心理学で教えられる「認知論」とは?

今回のテーマは、
ブッダとアドラー心理学に学ぶ「悪循環を断ち切る“認知のゆがみ”の改善法」
についてでした。

アドラー心理学では「認知論」ということが教えられています。

それは、

人は、客観的な世界に住んでいるのではなく、自らが意味づけをほどこした主観的な世界に住んでいる」(『嫌われる勇気』より)

ということで、たとえ同じものを見ていても、人は独自の意味づけをして見ているので、それゆえ感情や行動が変わってくる、ということですね。

物事を正しく、ありのままに見ることができたなら、あるいはプラスの意味づけをしたなら、前向きな言動へとつながっていきます。

反対に、物事を誤って(ネガティブに)受け止めると、感情や行動もネガティブなものになり、悩みや苦しみが生じやすくなってしまうのですね。

私たちは残念ながら、客観的に物事を見ることができず、認知がゆがみ、そのためネガティブな結果となってしまうことも多いです。

ではなぜ認知を誤ってしまうのでしょうか?

それは「統覚バイアス」が働くから、といわれています。

統覚バイアスとは何か?
どんな働きがあるかについてお話ししていきます。

認知を誤る原因「統覚バイアス」とは?

統覚バイアスとは、

人間は、自分の考えに一致するように外界の出来事に意味づけをする

ということです。

認知のメカニズムは、図のように

外界の出来事を認知して、その情報をもとに思考し、感情や行動がし生じているのですが、認知の前に統覚バイアスが入る、というものです。

外界の出来事をそのまま受け止めているのではなく、統覚バイアスという、いわばフィルターによって情報が制限されています。

その制限された情報は、自分の考えに一致するものであり、自分の考えに矛盾するデータは取り除かれてしまうのです。

ゆえに、客観的にみれば存在するものが、その人にはまったく見えていない、ということになるのですね。

統覚バイアスについて、アドラー心理学の第一人者である野田俊作さんは、こう言われています。

耳に心地よいおべんちゃらばかり言う大臣に囲まれた、童話の中の王様みたいなものです。

たとえ信念に反する事実が表われても、無視してしまうか曲解してしまう。こうして、性格はますます変わりにくくなる。

(『性格は変えられる』野田俊作著 より引用)

信念、自分の考えに合わない事実は取り除かれて無視されるか、都合よく解釈されるので、私たちの信念はそう簡単に変わることはなく、むしろ強化されていくのですね。

自分の考えに一致した情報しか目につかない

たとえば、

「起業して成功したい」と思いながら、
「やっぱり失敗するだろう」とも考えている人がいたとします。

相反する思いを持ち、「やっぱり失敗するだろう」という思いのほうが強かったともします。

世の中には、

起業したことで成功した、
あるいは起業したが失敗して破産した、

と、プラスの情報とマイナスの情報が錯綜していますね。

仮に、プラスとマイナスの情報を同じくらい目にする機会があったとしても、「起業しても失敗するだろう」という思いが強ければ、マイナスの情報ばかりが目についてしまうはずです。

プラスの情報も存在はしているのですが、それらはそもそも認知されづらく、その人にとっては存在しないも同然になりかねないのですね

そうなれば、「やっぱり失敗するだろうから、起業はやめとこう」という決断に至るでしょう。

起業を断念したことは良いとも悪いともいえませんが、私たちは明らかに行動したほうがいい場面であっても、それが自分の考えに一致しなければ、行動するのをやめてしまいます。

それでは現状は変わらず、ますます悪化してしまうこともあるのですね。

さらに私たちの考え、思い込みは、環境との相互作用によって安定してしまう、とも言われています。

それはいったいどういうことかについて、次回、詳しくお話しします。

まとめ

  • 人は客観的に物事を見ているのではなく、主観的な意味づけをしている、と教えられています(「認知論」といわれます)。同じものと見ていても、人によって見方は異なるのです
  • 認知がゆがんで物事をネガティブにとらえると、感情や行動もネガティブになり、悩みや苦しみが生じやすくなります。その認知のゆがみをもたらすものが「統覚バイアス」です
  • 「統覚バイアス」とは、「自分の考えに一致するように外界の出来事に意味づけをする」ことをいいます。自分の元々の信念に合わない事実は無視したり、曲解したりしてしまうため、目の前の出来事を正確に受け止められなくなります
  • 元々が誤った信念を持っていると、マイナスな情報ばかりが目につき、プラスの情報は存在はしていても、認知されづらくなります。すると、新たな決断や行動をすることにつながらず、現状は悪化してしまいかねないのです

続きの記事はこちら

7/27(土)レポート 思い込みが実現し、ますます性格が変わらなくなるメカニズムとは-アドラー心理学に学ぶ“認知のゆがみ”の改善法3
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引用した書籍

性格は変えられる (アドラー心理学を語る1)

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この記事を書いた人
南 雄一郎

2011年 金沢大学工学部 卒業

大学では機械工学を専攻するなか、悩み解消のヒントや生きる指針を教える仏教に強い関心を持ち、仏教講演会に多数参加しました。

また大学卒業後は仏教と親和性のある心理学にも興味を持ち、独学で学びました。

現在は東京都内でライターをしながら、対人関係の悩みを解消し、自立した生き方の実現を目的とした 仏教×心理学のワークショップを開催しています。

自主開催のワークショップは累計750回以上。

2018年 新潟県キャリアセンター様主催 キャリアコンサルタント フォローアップセミナーにて講師をつとめました。

NPC法人HMC協会 認定心理カウンセラー(セルフ資格) 。

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