比較するほどつらくなる?<比較>や<競争>が自己評価にもたらす影響-生きづらさを解消する 自己評価メソッド38

勉強会主催の みなみ です。

『自己評価メソッド』を通して、不安や恐れなどの生きづらさを解消するにはどうすればいいのか、そのための自己評価の高め方について、続けてご紹介しています。

今回はその38回目です。

自己評価メソッド―自分とうまくつきあうための心理学

記事の内容を動画でもご紹介しています

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自己評価が傷つくのを防ぐ!恥の感情のコントロール法

『自己評価メソッド』は、フランスで人気の精神科医 クリストフ・アンドレ氏によって書かれました。

こちらの記事では、『自己評価メソッド』で紹介されている、自己評価をよくする方法を以下の4つのパートに分けてお話ししています。

  1. 自分を受け入れる
  2. 自分との関係を改善する
  3. 他人との関係を改善する
  4. 行動の仕方を改善する

前回は、自己評価が傷つくのを防ぐための、恥の感情のコントロール法をご紹介しました。

「恥ずかしい」という感情にもきちんとした役割があります。
それは、「自分が所属するグループから逸脱させないようにすること」です。

私達は、ルールや規範から逸脱したときに「恥ずかしい」と感じるようにプログラムされています。

恥ずかしいと感じることで、「もうこんな思いはしたくない。だから、それはやらないようにしよう」と、ルールから逸脱することの抑止となるのですね。

ただ、恥の感情が過剰になれば、精神に悪影響が出て、自己評価も傷ついてしまいます

そこで、恥の感情をコントロールする実践法として、以下の2つをご紹介しました。

①恥ずかしいと思わない訓練をする

恥ずかしいと感じるのは、その状況を「恥ずかしいと思うかどうか」にあります。

それについて、特に自己評価に問題がある人は、さまざまな状況で「恥ずかしい」と思いやすい傾向にあるのです。

そこでまず、「他人からどう思われるかは気にしない」と割り切り、「こんなことをしたら恥ずかしい」と思うことで、できることからやってみましょう、と勧められています。

できそうなところから始めると、

  • やってみる前のほうが恥ずかしいのであり、行動すれば、やってみる前の感情は想像・幻想にすぎない
  • 行動してみると、ほかの人はそれほど自分に注目していない
  • やれがやるほど気持ちが慣れて、恥ずかしいと思わなくなってくる

ことがわかるといわれています。

②自分ひとりで悩まない

「恥ずかしい」という気持ちは人にはなかなか言えない感情ですが、
言わなければ、恥の感情はますます大きくなってしまいます。

そういうときは、むしろ、恥ずかしいと思うことを人に話すことです人に話すことで自分の状況を俯瞰的に見ることができ、恥の感情は相対化されていく、といわれています。

恥の感情を持ち続けるのではなく、早く誰かに話しをして恥の感情を手放せば、恥ずかしい体験を思い出しては辛い思いをする、ということを防げるのですね。

前回の詳細はこちら

恥ずかしいという気持ち・恥の感情をコントロールする2つの実践法-生きづらさを解消する 自己評価メソッド37
勉強会主催の みなみ です。 『自己評価メソッド』を通して、不安や恐れなどの生きづらさを解消するにはどうすればいいのか、そのための自己評価の高め方について、続け...

今回は、<比較>や<競争>がもたらす自己評価への影響についてお話ししていきます。

<比較>や<競争>が自己評価にもたらす影響

自己評価が低かったり、あるいは高くてもろい状態であったりすると、人はつい自分と他人とを<比較>したくなる傾向にあります。

また、その比較は<競争>とも結びつきやすいです。

しかし比較も競争も自己評価にはあまりよい影響をもたらさないと指摘されています。

では、比較や競争は自己評価にどのような影響をもたらすのか、
また比較や競争をしすぎないための実践法をご紹介していきます。

人はどんなときに比較をするのか?

はじめにお話ししたいのが、人はどんなときに比較をしやすくなるのか、についてです。
その主な状況として3つあるといわれています。

①自分にこだわっているとき

自分のことを考え、自分のことで悩んでいると、どうしても人と比べたくなるのが私達です。

特に自己評価に問題のある人は、今の自分のことばかり考えがちであるので、つい人と比較をしてしまいます

その結果、「あの人はこう(成功している、容姿が優れている、周りから好かれているなど)なのに、私はそうなっていないからダメだ」と自分を責め、さらに自己評価を傷つけてしまうのですね。

②失敗したとき

これは自己評価のタイプに限らず、私達は失敗をしたときに、自分よりひどい失敗をした人はいないかと探し、その人と自分を比較します。そうして、自分を慰めるのですね。

ただ、高くてもろい自己評価の人は、成功した人の欠点を見つけて、その価値を引き下げようとすることもある、といわれています。

③困難な状況にあるとき

困難な状況に陥ったときも、少しでも苦しみが紛れるようにと、比較する傾向にあります。

 

上記のケースからもわかるように、<不幸>と<他人との比較>には相関関係があるともいわれています。
人は悩んでいるとき、困難な状況になったときこそ、人と比較をしたがるのですね。

しかし自分より優れている人と比較すれば、つらくなったり、悲しくなったりし、いずれの場合も、あまりよい精神状態になることはありません。

では、自分より不幸な人と比較すればどうでしょうか。

確かに、一時的には「あの人よりはましだ」と自分を慰めることはできるのですが、常に人と比較すれば、どうしても自分より優れている人と比較しては落ち込む回数も増えていきますね

さらに、比較をしていれば<競争>に巻き込まれていく、といわれています。

比較はすぐに<競争>に変わる

社会を生き抜くためには「人より優れている」ことは必要であり、それを証明するためには人と競争することは避けられませんね。

しかしあまりに競争にこだわると、どうでしょうか。

競争心を燃やしすぎて「勝ちたい」と思いすぎると、かえって悪い結果を招くことがわかっています

また、勝ち負けにこだわるあまり、

「自分が勝つためには、相手に勝たせないようにしなければならない」
さらには「相手を引きずり降ろさなければならない」と考え、

相手の幸福もおびやかされ、相手をおとしめて成功しても、自分が心からの自信を手にすることはできません。

勝ち負けで自分の価値を判断するようになれば、自己評価にとっても大きな悪影響が出てしまうでしょう

自己評価に効くのは競争の勝利ではなく、周囲とのつながり

競争では自己評価は真には上がらないことが、<自己評価の栄養源>の観点からも述べられています。

自己評価の栄養源として、アンドレ氏は、<自分には能力があるという気持ち>と、<人から愛されているという気持ち>がある、といわれています。

この2つの要素のうち、競争に勝てば<自分には能力があるという気持ち>は上がり、自己評価も高まります。

しかし同時に、競争的な態度は対人関係を損なうため、<人から愛されているという気持ち>への確信が持てなくなり、その点では自己評価は下がります

そうなると、自己評価はプラスマイナスゼロ、となりそうですが、
ある研究によれば、「人から愛される」ほうが「権力を得る」よりも、2倍も自己評価を高めることがわかっているそうです。

この研究結果を踏まえれば、競争によって自己評価が現状より高まるとはいえず、むしろ悪影響が大きいのではないかと考えられますね。

<比較>や<競争>がもたらす自己評価への影響

このように、自己評価にいい影響をもたらすとはいえない、しかしやってしまいがちな比較や競争をしすぎないためにはどうすればいいのでしょうか。

次回は、その実践法をご紹介していきます。

まとめ

  • 人は以下の3つの状況にあるときに比較をしやすくなる、といわれています。その状況からわかるように、<不幸>と<他人との比較>には相関関係があるとも指摘されています
    1. 自分のことで悩み、自分にこだわっているとき
    2. 失敗したとき
    3. 困難な状況にあるとき
  • 自分よりも優れた人と比較すればつらくなり、自己評価が傷つきます。不幸な人との比較は、一時的には慰めが得られますが、その比較はやがては競争へと変わります
  • 競争で勝てば<自分には能力があるという気持ち>は得られますが、同時に対人関係を損なって<人から愛されているという気持ち>への確信が持てなくなり、自己評価はマイナスになると考えてられているのです

続きの記事はこちら

自己評価が傷つくのを防ぐ!比較や競争をしすぎないための4つの実践法-生きづらさを解消する 自己評価メソッド39
勉強会主催の みなみ です。 『自己評価メソッド』を通して、不安や恐れなどの生きづらさを解消するにはどうすればいいのか、そのための自己評価の高め方について、続け...

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この記事を書いた人
南 雄一郎

2011年 金沢大学工学部 卒業

大学では機械工学を専攻するなか、悩み解消のヒントや生きる指針を教える仏教に強い関心を持ち、仏教講演会に多数参加しました。

また大学卒業後は仏教と親和性のある心理学にも興味を持ち、独学で学びました。

現在は東京都内でライターをしながら、対人関係の悩みを解消し、自立した生き方の実現を目的とした 仏教×心理学のワークショップを開催しています。

自主開催のワークショップは累計750回以上。

2018年 新潟県キャリアセンター様主催 キャリアコンサルタント フォローアップセミナーにて講師をつとめました。

NPC法人HMC協会 認定心理カウンセラー(セルフ資格) 。

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