勉強会主催の みなみ です。
『自己評価メソッド』を通して、不安や恐れなどの生きづらさを解消するにはどうすればいいのか、そのための自己評価の高め方について、続けてご紹介しています。
今回はその39回目です。
記事の内容を動画でもご紹介しています
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<比較>や<競争>が自己評価に与える影響
『自己評価メソッド』は、フランスで人気の精神科医 クリストフ・アンドレ氏によって書かれました。
こちらの記事では、『自己評価メソッド』で紹介されている、自己評価をよくする方法を以下の4つのパートに分けてお話ししています。
- 自分を受け入れる
- 自分との関係を改善する
- 他人との関係を改善する
- 行動の仕方を改善する
前回は、<比較>や<競争>がもたらす自己評価への影響についてお話ししました。
自己評価に問題のある人は、そうでない人よりも、つい自分と他人とを比較したくなる傾向にあります。
その比較は競争とも結びつきやすいのですが、
比較も競争も自己評価にはあまりよい影響をもたらさない、といわれています。
その比較と競争に関して、まずは比較と自己評価との関係をお話ししました。
比較をしたくなる状況と、自己評価にもたらす影響
人は、以下の3つの状況のときに特に比較をしやすくなる、といわれています。
- 自分のことで悩み、自分にこだわっているとき
- 失敗したとき
- 困難な状況にあるとき
この3つの状況からわかるように、自分が悩み、苦しんでいるときこそ比較しがちになることがわかります。
<不幸>と<他人との比較>には相関関係があるとも指摘されています。
しかし自分よりも優れた人と比較すればつらくなったり悲しくなったりし、自己評価が傷ついてしまいますね。
では、自分よりも不幸な人と比較すればどうなるのかというと、一時的な慰めを得ることはできますが、その比較はやがては競争へと変わります。
競争がもたらす悪い事態、自己評価への影響
人より優れていることを証明するためには競争は必要ですが、
競争心を燃やしすぎてしまうと、かえって悪い結果を招く、といわれています。
また、勝ち負けにこだわるあまり、「相手を引きずり降ろしてでも勝たねばならない」と考え、相手にも自分にも悪い事態を生じさせることもあります。
さらに、仮に競争に勝って、<自分には能力があるという気持ち>を得ることができたとしても、同時に対人関係は損なってしまうので、<人から愛されているという気持ち>への確信が持てなくなります。
<人から愛されているという気持ち>のほうが<自分には能力があるという気持ち>よりも2倍も自己評価を高めることもわかっていることから、競争によって自己評価は高まるといえず、むしろ自己評価には悪影響が出るのですね。
前回の詳細はこちら
そこで今回は、やってしまいがちな比較や競争をしすぎないための実践法をご紹介していきます。
比較や競争をしすぎないための4つの実践法
① よい比較をする
人と比較をするのは、決して悪いことばかりではない、といわれています。
比較は必要であり、役に立つこともあるのです。
そのメリットの1つ目は、「他の人のやることを見て、社会の規範から外れないようにすること」、
2つ目が、「優れた人を見て手本にし、学習・成長する(あるいは、問題のある人を見て、反面教師にする)」ことです。
自分と人とを比較して、規範から外れないための<社会的学習>をしたり、個人的な成長へとつながったりする比較は、よい比較といえるのですね。
実際に行動を起こしてみたり、人から言われたりするだけでなく、他人を観察することで私たちは多くの学びを得ています。
それゆえ比較は役立つ面も大いにあるといえるでしょう。
ただ、自己評価の低い人は、お手本に目を向け「自分もそうなりたい」と考える(成長優先)より、
反面教師に目を向けて「自分はああはなりたくない」と考える(予防優先)傾向にある、といわれています。
そのため、自己評価の低い人は、もっと意識的にお手本に目を向けることが勧められています。
② 悪い比較や競争をしない
比較は「社会の規範を学び、お手本や反面教師を通じて自己成長につながる」のに有効です。
ここで重要なのが、
「何を社会の規範にするか」
「何をお手本や反面教師にするか」
です。
たとえば、
「美しくなくてはならない」
「物質的に豊かでなくてはならない」
という“企業の広告”を社会規範と思い込み、それらと比較すれば「私はその基準に達していない」と、自己評価を下げることになります。
仮に「自分は基準よりも優れている」と思えても、広告は絶えず私達のコンプレックスを刺激してくるため、自己評価は安定しません。
企業の広告を規範と思うことなく、悪い比較をしないことが大切です。
③ 人は競争に動機づけられやすいと知る
自己評価への悪影響に結びつきやすい競争ですが、すべての競争が悪い、というわけではありません。
競争は社会の発展ももたらします。
ただ、現代の社会はあまりにも競争・勝ち負けに高い価値が置かれていること、
また、私達は簡単に競争をさせられやすい動物であることが懸念されています。
いかに私達は競争をしやすくなってしまうかについて、このような実験が紹介されていました。
被験者を2つのグループに分け、それぞれゲームをしてもらいます。
最初のグループには、ゲームが始まる前に
「勝つぞ」
「戦いだ」
のように<競争>に関係する言葉を10個、言わせました。
その結果は当然ではありますが、ゲームをするときには競争的な雰囲気ができあがりました。
後のグループには、
「協力しよう」
「一緒にがんばろう」
という言葉を言わせました。
するとゲームをするときでは協力的な雰囲気ができあがったことがわかったのです。
このように人間は言葉で簡単に競争が動機づけられるのですね。
競争があおられれば、人間はもともと競争にさせられやすいので、激しく競争するようになります。
しかしあまりに激しい競争は、やがては自己評価が傷つくことにつながるので、個人にとって不幸です。
どうしても必要な競争以外では、むしろ人と協力をしていく姿勢が望ましいのですね。
協力的な態度になる方法は、何かをするときに
「協力、協力」
とつぶやけばいいのです。
④ 人ではなく自分と比較する
自己成長にもつながり、自己評価にもよいのが、人ではなく<自分>との比較です。
「1週間前の自分と比べて、自分は成長したのか?」
「5年前、あるいは10年前の自分と比べてはどうだろうか?」
と、どうせ比較をするなら、昔の自分と比べればいいのですね。
昔の自分によかったところがあれば それをお手本にして、悪かったところがあれば反面教師にしましょう。
以上が、やってしまいがちな比較や競争をしすぎないための実践法でした。
次回は、比較や競争によってわきあがる感情<羨望>と<嫉妬>についてお話ししていきます。
まとめ
比較や競争をしすぎないための実践法として、以下の4つをご紹介しました
- よい比較をする-
比較は悪いことばかりではなく、人を観察することで規範から外れないための<社会的学習>ができたり、優れた人をお手本にして自己成長につながったりするなど、役立つ面もあります。そのような「よい比較」をしていくようにしましょう - 悪い比較や競争をしない-
企業の広告を比較の基準にすれば、自己評価を下げたり、自己評価が安定しなくなったりします。企業の広告を規範にした比較はやめましょう - 人は競争に動機づけられやすいと知る-
人は言葉によって簡単に競争が動機づけられます。必要な競争以外は、人と接するときには「協力、協力」とつぶやき、協力的な態度で臨むことが勧められています - 人ではなく自分と比較する-
自己評価によいのが「自分との比較」です。過去の自分のよかったところはお手本にし、悪かったところは反面教師にしましょう
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