勉強会主催の みなみ です。
『自己評価メソッド』を通して、不安や恐れなどの生きづらさを解消するにはどうすればいいのか、そのための自己評価の高め方について、続けてご紹介しています。
今回はその40回目です。
記事の内容を動画でもご紹介しています
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<比較>や<競争>が自己評価に与える影響
『自己評価メソッド』は、フランスで人気の精神科医 クリストフ・アンドレ氏によって書かれました。
こちらの記事では、『自己評価メソッド』で紹介されている、自己評価をよくする方法を以下の4つのパートに分けてお話ししています。
- 自分を受け入れる
- 自分との関係を改善する
- 他人との関係を改善する
- 行動の仕方を改善する
前回は、自己評価を傷つけることにつながる<比較>や<競争>ををしすぎないための実践法をご紹介しました。
比較や競争をしすぎないための実践法
①よい比較をする
比較は悪いことばかりではなく、役立つ面もあります。
それは、人を観察することで規範から外れないための<社会的学習>ができたり、優れた人をお手本にする(あるいは問題のある人を見て、反面教師にする)ことで個人的な成長につながったりすることです。
そのような“よい比較”をすることが勧められています。
②悪い比較や競争をしない
よい比較をしようとするときに大事なのが、何を社会規範とするか・お手本にするか、ということです。
「美しくなくてはならない・豊かでなくてはならない」などの企業の広告を比較の基準にすれば、自己評価を下げたり、自己評価が安定しなくなったりします。
あくまでそれは企業の広告であり、社会的な規範やお手本にすべきものではない、と考えましょう。
③人は競争に動機づけられやすいと知る
人は言葉によって(「勝つぞ」「戦いだ」などの言葉よって)、簡単に競争が動機づけられることが実験でわかっています。
競争も社会の発展のために必要なときもありますが、現代はあまりに競争があおられすぎていて、もともと動機づけられやすい私達は競争に巻き込まれやすい、と指摘されています。
そのため、どうしても必要な競争以外では、「協力、協力」といった言葉をつぶやき、協力的な態度で臨むことが勧められています。
④人ではなく自分と比較する
自己評価によいのが「自分との比較」です。過去の自分のよかったところはお手本にし、悪かったところは反面教師にすることが促されています。
前回の詳細はこちら
今回は、比較や競争によってわきあがる感情<羨望>と<嫉妬>についてお話しします。
<羨望>と<嫉妬>の感情の特徴、その違いとは?
人と比較をして相手のほうが優れているとわかったり、競争して破れたりすると、わきあがってくる感情が<羨望>と<嫉妬>です。
この2つの感情はともに「自分は劣っている」と思い知らせ、自己評価を傷つける感情です。
では、2つの感情の違いはどんなものなのでしょうか。
羨望と嫉妬の違い
羨望の特徴
<羨望>は、<自分がほしいと思っているのに持っていないもの>を誰かが持っていると知ったときに抱く感情です。
ほしいものとはお金や物に限らず、地位や名誉、幸福など、何でも当てはまります。
これは人と比べたときに感じるものでなので、<比較>に結びついた感情といわれています。
嫉妬の特徴
いっぽうで<嫉妬>は、<自分が持っているもの>を人に奪われるのではないかと恐れたときに抱く感情です。
その結果、持っているものを守ろうとして、奪おうとする人の動きに注意深くなります。
これは、奪おうとする人との戦いともいえるので、<競争>に結びついた感情といわれています。
羨望と嫉妬は同時に感じる場合もある
兄弟が自分よりもいいプレゼントをもらった子供は、うらやましく思う(=羨望)と同時に、兄弟が自分よりも愛されているのではないか、自分の立場が危うくなるのではないかと考えます(=嫉妬)。
このように、羨望と嫉妬はひとつの状況で同時に感じることもあるのですね。
羨望と自己評価との関係
羨望の気持ちを抱くときとは、
「自分と比べて相手がいいものを持っている」と思うと同時に、
「自分はそれと同じものを手に入れる能力がない」と思っています(自分にそれを手に入れる能力があるなら、手にしてしまえばいいので、羨望は生じないですね)。
ほしいものを手に入れる能力がないと思うから、「こんな私はダメだ」と自己評価が下がってしまうのです。
そうして自己評価が下がれば、人はつい他人と比較したくなります(「不幸」と「比較すること」には相関関係がありました)。
そこでまた、相手は自分には手にできないものを持っていると思うと、またもや羨望がわき起こってきて、自己評価を下げる…、という<羨望>と<悪い自己評価>との悪循環の円環関係ができあがってしまうのですね。
また、羨望の気持ちにとらわれていると、相手の悪口を言ったり、世の中に対しての不満を言うようになったりする、ともいわれています。
それがエスカレートしていけば、その自分の悪い態度に気づいたとき、かえって自己評価を下げることになるのです。
このように、羨望を抱いていれば、自己評価はだんだんと傷ついてしまうことがわかります。
嫉妬と自己評価との関係
いっぽうで嫉妬はというと、羨望よりもさらに<問題のある自己評価>に結びついている、と指摘されています。
自己評価に問題のある人は、自分に自信がないため、絶えず誰かに大切なものが奪われるのではないか、と心配しています。
しかもこの心配には現実の裏づけはなく、思い込みの可能性が高いです。
そこで、自己評価に問題のある人は、自分の大切な人に誰かが近づかないよう、その大切な人を見張ったり、行動を制限したりもします。
しかしそんなことをしても、自己評価は上がることはなく、大切な人自身も不審を感じるようになるでしょう。
相手が不審を抱き、関係は悪くなれば、自己評価はますます下がって、より嫉妬深くなってしまうのですね。
こうして<嫉妬>と<悪い自己評価>との悪循環に陥っていくのです。
これまで見てきましたように、羨望も嫉妬も、悪い自己評価と非常に結びつきやすいことがわかります。
その羨望や嫉妬と上手に付き合い、自己評価を下げないようにするにはどうすればいいのでしょうか。
次回はその、羨望や嫉妬と上手に付き合うための実践法をご紹介します。
まとめ
- 比較や競争によってわきあがる感情が<羨望>と<嫉妬>です。羨望と嫉妬の違いについて、
- 羨望は、<自分がほしいと思っているのに持っていないもの>を誰かが持っていると知ったときに抱く感情であり、比較と結びついている
- 嫉妬は、<自分が持っているもの>を人に奪われるのではないかと恐れたときに抱く感情であり、競争と結びついている
という特徴があります
- 羨望の気持ちは、「相手が持っているいいものを、自分は手に入れる能力がない」と感じるときに生じるのであり、自己評価が傷つきます。そこからさらに人と比較をすることで、またもや羨望を抱き、自己評価を下げる…、という悪循環に入っていくのです
- 嫉妬は<問題のある自己評価>と結びついています。問題のある自己評価の人は自分に自信が持てず、自分の大切なものが誰かに奪われるのではないかと心配し、その大切な人の行動を制限します。結果として 関係が悪化して自己評価を下げる、という負の連鎖を招くのです
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