勉強会主催の みなみ です。
『自己評価メソッド』を通して、不安や恐れなどの生きづらさを解消するにはどうすればいいのか、そのための自己評価の高め方について、続けてご紹介しています。
今回はその41回目です。
記事の内容を動画でもご紹介しています
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<羨望>と<嫉妬>の感情の特徴、その違い
『自己評価メソッド』は、フランスで人気の精神科医 クリストフ・アンドレ氏によって書かれました。
こちらの記事では、『自己評価メソッド』で紹介されている、自己評価をよくする方法を以下の4つのパートに分けてお話ししています。
- 自分を受け入れる
- 自分との関係を改善する
- 他人との関係を改善する
- 行動の仕方を改善する
前回は、比較や競争によってわきあがる感情<羨望>と<嫉妬>をご紹介しました。
羨望と嫉妬の違い
羨望は、<自分がほしいと思っているのに持っていないもの(お金やもの、地位や名誉、幸福など)>を誰かが持っていると知ったときに抱く感情であり、比較と結びついている、といわれています。
いっぽうで嫉妬は、<自分が持っているもの>を人に奪われるのではないかと恐れたときに抱く感情であり、競争と結びついている、と説明されています。
羨望と自己評価との関係
羨望の気持ちは、「相手が持っているいいものを、自分は手に入れる能力がない」と感じるときに生じます。
すると、「能力のない私はダメな人間だ」と、自己評価が傷ついてしまうのですね。
自己評価が傷つくと、人と比較をしたくなるのが私達であり、さらに人と比較をすることで、またもや羨望を抱き、自己評価を下げる…、という悪循環に入っていくのです。
嫉妬と自己評価との関係
嫉妬は<問題のある自己評価>と結びついています。
問題のある自己評価の人は自分に自信が持てず、自分の大切な人やものが誰かに奪われるのではないかと心配し、その大切な人の行動を制限します。
そのように行動を制限すれば相手は当然 不審を抱きますし、そうやっても自分の自己評価が上がるわけではありません。
結果として その大切な人との関係が悪化して自己評価を下げる、という負の連鎖を招くのです。
前回の詳細はこちら
このように、羨望も嫉妬も、自己評価を傷つけること、自己評価を下げることと非常に結びつきやすいです。
ではその羨望・嫉妬と上手に付き合い、自己評価を下げないようにするにはどうすればいいのでしょうか。
今回は、そのための実践法をご紹介していきます。
羨望・嫉妬と上手に付き合うための実践法
羨望との上手な付き合い方
①よい羨望を持つ
アンドレ氏は、羨望には3つのタイプがある、といわれています。
それは、
- 敵意のこもった羨望
- 抑うつ的羨望
- 驚嘆の混じった羨望
の3つです。
敵意のこもった羨望
「どうしてあんな才能のないやつが成功を収めたんだ」というように、羨望から怒りを覚えるもの。
抑うつ的羨望
「あの人が持っているものを自分が持てないのは、自分がダメな人間だからだ」と悲しみを抱くもの。
驚嘆の混じった羨望
「あの人は素晴らしい。自分もそうなりたい」と努力しようという気持ちになるもの。
このうち、羨望を抱くなら、3つ目の<驚嘆の混じった羨望>を抱くようにしたい、といわれています。
羨望は、「自分は相手が持っているものを手に入れる能力がない」という気持ちがさらに上乗せされたときに自己評価が傷つく、というものです。
しかし、
「今はまだ能力がなくても、努力することによって、その能力を身につけられる。自分も、あの人のようになれる可能性がある」
と思えれば、羨望によって自己評価が下げることはないのですね。
②羨望を無関心に変える
羨望の気持ちが湧き上がってくることは、自然なことです。
ただ、過剰になれば自己評価に悪影響が出てくるため、羨望の気持ちが出てきてら、まず、「自分は羨望にとらわれている」と素直に認めることです。
そこからさらに自己評価をよくするためには、誰かの才能や成功、幸運に対して、
「人は人、自分は自分」
と無関心になることが勧められています。
自分よりも優れたものを持っている人を見ても、「うらやましい」と思わなければ、自己評価は傷つかないのですね。
さらには、「素晴らしい」と相手を称賛する気持ちになれば、自己評価にはプラスにさえなるのです。
これは簡単にできることではありませんが、訓練によって、羨望を<無関心>に、あるいは<称賛>に変えることはできる、といわれれています。
羨望の気持ちが出てきて、相手に攻撃的になったり、自分を責めたりしそうなったときは、
「人は人、自分は自分」とつぶやいて無関心に変える、
あるいは、「これは(相手にとっても、自分にとっても)よかったことだ」とつぶやいて称賛に変えてみることをぜひやってみましょう。
嫉妬との上手な付き合い方
①自分が今持っているものを自分のものだと思わない
嫉妬の感情は、「<自分が持っていると思うもの>を人に奪われるのではないか」と思ったときに抱く感情でした。
ここで重要なのが、自分が持っていると“思うもの”、ということです。
アンドレ氏は、「恋人であれ、友人であれ、仕事であれ、地位であれ、それは私達が現在持っているものなのか?」という問いかけをされています。
仮に、恋愛について考えた場合、恋人はあなたのものなのか、と聞かれればどうでしょうか。
もし自分のものだと思えば、<愛>と<所有>を混同する間違った考えである、と指摘されています。
自分のものだと強く思えば、相手への尊重を欠き、関係が破壊されてしまいかねません。
そこで嫉妬の感情が湧いてきたら、
「相手は自分のものなのだろうか?」
と、つぶやいてみることが勧められています。
そうすれば、相手との関係はいい方向に変わっていくでしょう。
②人や自分との関わり方を見直してみる
人はなかなか嫉妬を抑えることはできない、といわれています。
それは、嫉妬が、子供の頃の親に対する<愛着>と結びついた感情だからです。
たとえば、赤ん坊の頃に母親から適切な愛情を受けないと、<不安定な愛着>を抱き、母親のそばから片時も離れようとしなくなります。
それが、大人になってもそのまま引き継がれ、誰かに愛情を抱くと、
「この人しかいない」と思い込んで、「絶対に離れることはできない」と考える一方、
「捨てられたらどうしよう」という不安にもなります。
そこで相手の行動を監視したり、縛ったりするようになってしまうのですね。
もし、このような子供の頃からの経験が原因で嫉妬を抱きやすくなっていると気づいたなら、<人との関わり方>を見直してみることが勧められています。
先に紹介した「大切な人は自分のものなのだろうか?」と質問して、相手への過干渉はいったんやめてみる、
思い切って相手を信頼し、相手を縛るような発言・行為はやめる
など。
その結果、自己評価がよくなり、相手との関係が少しでも良くなれば、相手を監視しなくても不安を感じないようになり、嫉妬に動かされた行動はやめられるようになれるのですね。
以上が、羨望と嫉妬、それぞれに対する感情との上手な付き合い方でした。
次回は、他人を信頼し、受け入れるための実践法をご紹介していきます。
まとめ
- 羨望・嫉妬の上手な付き合い方として、それぞれ2つをご紹介しました
- 羨望との上手な付き合い方
- よい羨望を持つ-
「あの人は素晴らしい。自分もそうなりたい」と努力しようという気持ちになる<驚嘆の混じった羨望>を抱くようにしましょう - 羨望を無関心に変える-
羨望の気持ちを抱いても、「人は人、自分は自分」と無関心になれば、自己評価は下がることはありません。さらに称賛に変えられれば、自己評価はプラスにさえなります
- よい羨望を持つ-
- 嫉妬との上手な付き合い方
- 自分が今持っているものを自分のものだと思わない-
大切な人を“自分のもの”と強く思うと、相手への尊重を欠いて、関係が破壊されてしまいかねません。「相手は自分のものだろうか?」とつぶやくことで、相手との接し方も変わっていきます - 人や自分との関わり方を見直してみる-
子供の頃、親に対して<不安定な愛着>を抱いたことで、大人になっても引き継がれ、捨てられたらどうしようと不安になり、嫉妬に動かされることがあります。それに気づくとともに、人との関わり方への見直しが勧められています
- 自分が今持っているものを自分のものだと思わない-
- 羨望との上手な付き合い方
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