承認欲求とどう向き合えばいいの?自分の存在を認められることの重要性と、認められないことの問題点-生きづらさを解消する 自己評価メソッド32

勉強会主催の みなみ です。

『自己評価メソッド』を通して、不安や恐れなどの生きづらさを解消するにはどうすればいいのか、そのための自己評価の高め方について、続けてご紹介しています。

今回はその32回目です。

自己評価メソッド―自分とうまくつきあうための心理学

記事の内容を動画でもご紹介しています

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人から受け入れられない恐怖と戦う、3つの実践法

『自己評価メソッド』は、フランスで人気の精神科医 クリストフ・アンドレ氏によって書かれました。

こちらの記事では、『自己評価メソッド』で紹介されている、自己評価をよくする方法を以下の4つのパートに分けてお話ししています。

  1. 自分を受け入れる
  2. 自分との関係を改善する
  3. 他人との関係を改善する
  4. 行動の仕方を改善する

前回は、「他人との関係を改善する」パートの中の「人から受け入れられない恐怖と戦う実践法」についてお話ししました。

私達は、実際に人から受け入れられない経験をしたときだけでなく、
「受け入れられない」ことへの不安や恐怖によっても自己評価が傷ついてしまう、といわれています。

本当は嫌われていないのに、嫌われていると思い込んで、自らを追い込んでしまうのです。

そのような不安や思い込みを持ったままでは、自己評価を高めることはできません。

そこで、人から受け入れられない恐怖と戦うための、3つの実践法をご紹介しました。

人から受け入れられない恐怖と戦う、3つの実践法

①「人から受け入れられていない」というのは思い込みに過ぎないことを知る

人から受け入れられないことへの恐怖を和らげる出発点は、「受け入れられていない」というのは多くの場合、思い込みであるので、その思い込みに気づくことです。

そのときには、「そんなに小さくならないで。あなたはそんなに大きくないのだから」という言葉を思い出してみましょう。

②思い込みが顔を出しそうになったときに気づく

自分がどういうときに「人から受け入れられていない」不安を持つかをあらかじめ知っておけば、思い込みが顔を出したときに、それに気づきやすくなり、立ち止まることができるようになります。

一度、立ち止まったら、「これは私の思い込みではないか」と自問自答をしてみましょう。

③とりあえず行動し、その結果を受け入れる

不安を抱いたら、まず実際に行動することが勧められています。

思い込みかどうかを確かめる行動をすることで、大抵の場合は思い込みに過ぎないことがわかって、不安が和らぎます。

思い込みではなく、本当に人から受け入れられていなかった場合は、その結果を受け入れた上で、相手との関係を改善していく努力をしていきましょう。

前回の詳細はこちら

今回は、「人から受け入れられない」恐怖の底にある気持ち「存在を認められたい」ということについてお話ししていきます。

自分の存在を認められることの重要性・問題点

「人から存在を認められる」ことは幸福な生活に欠かせない

「人から受け入れられない」ことと並んで私達が恐怖を抱くのは、「人から存在を認められない」ことであるといわれています。

「人から存在を認められる」というのは、「人から受け入れられる」ことの前提となるもの、先立つものですね。

「人から存在を認められる」ことは言い換えれば、「ひとりの人間として認められ、接してもらう」ということであり、「『こんにちは』と挨拶をされ、名前を呼ばれ、おしゃべりをする」などのことといえます。

こういったことはいわば当たり前のことであり、生活のなかで特に大きな喜びがもたらされることはありません。

しかし幸せな毎日を送るためには欠かせないものでもあります。

もし自分の存在が認められなかったら、存在を無視されることがあれば、私達の自己評価は傷つき、幸福な生活はおびやかされてしまいます

人から認められることは、例えるなら、空気のようなものです。

空気はあって当たり前であり、それ自体が喜びをもたらすものではないですが、もしなくなることがあれば大変なことになってしまいます。

存在を認められることがなくなっていけば、私達の生活は少しずつ、静かにむしばまれていくのです。

存在を認められないことが、いちばん辛い

自分の存在が認められないとどうなるのかについて、アンドレ氏が行った、パリ交通公団に勤めるバス運転手のストレスに関する調査が紹介されていました。

バス運転手にとって、いちばんのストレスになることは何だったのでしょうか。

アンドレ氏は、おそらくパリの交通渋滞が最大のストレスだろう、と予測していましたが、結果は異なっていました。

実際の調査によって、ほとんどの運転手が

いちばん辛いのは「存在を認められないこと」だ

と言っていたのです。

  • バスに乗ってくるとき、お客さん達は挨拶もしない。こちらを見もしない
  • 知らん顔でそばを通り抜けていかれる

ということが起こったとき、まるで自分はロボットであるかのように感じたり、取り替え可能なバスの部品になったみたいに思ったりし、自分の価値を実感することができなくなる、と言われていたのでした。

無視されるくらいなら、嫌われるほうがいい

この「存在を認められたい」という気持ちが高まっていくと、人は

たとえ否定的な認められ方でもかまわないから、自分を見てほしい

とさえ思うようになります。

たとえば、親からあまりかまわれない子供はわざと悪いことをしたり、駄々をこねたりして親の注意を引こうとしますが、これはその典型ですね。

子供に限らず、私達もまた、無視されることを最も辛く感じ、嫌われてもいいからあえて気を引こうと、相手にとって嫌なことをしてしまうこともあるでしょう。

それほど強い欲求が、存在を認められたいという気持ちなのですね(心理学では承認欲承認欲求ともいわれます)。

しかし他人から嫌われるようなことをして相手の気を引いたとしても、それは一時的な満足であり、自己評価が根底からよくなることはありません

人から存在を認められなければ、自分に価値がないと感じ、そんな価値がないと感じる自分を高く評価することもできませんね。

では「人から存在を認められたい」という気持ちとどう向き合い、どう考えれば、自己評価をよくすることができるのでしょうか。

次回は、「人から存在を認められたい」という気持ちに関する実践法をご紹介します。

まとめ

  • 「人から受け入れられる」ことに先立つのが「人から存在を認められる」ことです。存在を認められることはいわば当たり前のことですが、これがなければ幸せな生活はおびやかされ、自己評価が傷ついてしまいます
  • バスの運転手へのストレスに関する調査で、最も辛く感じることは「存在を認められないこと」だとわかりました。それほど存在を認められないことは私達の自己評価を傷つける、といえるでしょう
  • 私達の承認欲求は非常に強く、「無視されるくらいなら、たとえ否定的な認められ方をされたり、嫌われたりしてもいい」とさえ思い、あえて嫌われるような行動をとることもあります。しかしそれでは根底から自己評価をよくすることはできません

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この記事を書いた人
南 雄一郎

2011年 金沢大学工学部 卒業

大学では機械工学を専攻するなか、悩み解消のヒントや生きる指針を教える仏教に強い関心を持ち、仏教講演会に多数参加しました。

また大学卒業後は仏教と親和性のある心理学にも興味を持ち、独学で学びました。

現在は東京都内でライターをしながら、対人関係の悩みを解消し、自立した生き方の実現を目的とした 仏教×心理学のワークショップを開催しています。

自主開催のワークショップは累計750回以上。

2018年 新潟県キャリアセンター様主催 キャリアコンサルタント フォローアップセミナーにて講師をつとめました。

NPC法人HMC協会 認定心理カウンセラー(セルフ資格) 。

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