勉強会主催の みなみ です。
『自己評価メソッド』を通して、不安や恐れなどの生きづらさを解消するにはどうすればいいのか、そのための自己評価の高め方について、続けてご紹介しています。
今回はその33回目です。
記事の内容を動画でもご紹介しています
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人から認められることの重要性、認められないことの問題点
『自己評価メソッド』は、フランスで人気の精神科医 クリストフ・アンドレ氏によって書かれました。
こちらの記事では、『自己評価メソッド』で紹介されている、自己評価をよくする方法を以下の4つのパートに分けてお話ししています。
- 自分を受け入れる
- 自分との関係を改善する
- 他人との関係を改善する
- 行動の仕方を改善する
前回は、「他人との関係を改善する」パートの中の「『存在を認められたい』気持ち」についてお話ししました。
人から認められることは幸せな生活に不可欠
「人から受け入れられる」ことに先立つのが「人から存在を認められる」ことです。
自分の存在を認められることは いわば当たり前のことですが、
人から存在を認められなければ、自分の存在が無視されるようなことがあれば、幸せな生活はおびやかされ、自己評価が大きく傷ついてしまいます。
空気のように当たり前でありながら、幸せな生活に欠かせないものが「認められる」ことなのですね。
認められないほど辛いことはない
自分の存在が認められないとどうなるかについて、アンドレ氏の行った、バスの運転手へのストレスに関する調査が紹介されていました。
バスの運転手が最も辛く感じることは、交通渋滞などではなく、「存在を認められないこと」だったのです。
存在を認められなければ、自分の価値を感じることができず、精神的にかなり苦しくなるのですね。
認められないくらいなら、嫌われてもいい
人から認められないことはそれほど辛いことなので、私達は時として
「無視されるくらいなら、たとえ否定的な認められ方をされたり、嫌われたりしてもいい」
とさえ思い、あえて嫌われるような行動をとることもあります。
しかしそれでは、一時的には相手の気を引くことができたとしても、自己評価を根底からよくすることはできません。
前回の記事はこちら
では「人から存在を認められたい」という気持ち(承認欲、承認欲求ともいいます)とどう向き合い、どう考えれば、自己評価が傷つくのを防げるのでしょうか。
今回は、「人から存在を認められたい」という気持ちに関する実践法をご紹介します。
人から認められるためにしている2つのこと
人から存在を認められるために私達がしていることには2つある、とアンドレ氏は語っています。
1つは「人と同じことをする」こと、
そしてもう1つが「人とちがうことをする」ことです。
人と同じことをしていれば、少なくとも「無視される」ことはなく、受け入れてもらえます。
一方で、人とちがうことをすれば、周囲から受け入れられない可能性は高まります。しかし反感を買いながらも、存在自体は認められますね。
自己評価のタイプと絡めれば、「人と同じことをする」のは<低い自己評価>の人でしょう。
対して「人とちがうことをする」のは、<高くてもろい自己評価>の人といえます。
人と同じことをするのは<低い自己評価>の人
自己評価の低い人は、まわりから無視されること、仲間はずれにされることを恐れます。
そのため、目立たなくてもいいから(そもそも自分は周囲からの注目を集めることはできないと思っているから)、まわりに合わせて最低限の居場所を確保しようとするのです。
しかしそれが行き過ぎてしまうと、まわりに合わせ過ぎて自分の意見が言えなくなり、自己評価をさらに下げることにもなりかねません。
人とちがうことをするのは<高くてもろい自己評価>の人
一方で、高くてもろい自己評価の人が恐れていることは、“その他大勢”の中に埋没してしまうことです。
自分は人より優れている(あるいは優れていなければならない)という意識が高いため、単に受け入れられたほどでは「存在を認められた」という実感が持てません。
そこで、周囲からの反感を買ってでも、人とちがったことをしようとするのですね。
しかしこれも行き過ぎると、まわりの人と無用な摩擦を起こし、関係が悪化してしまいかねません。周囲との関係が悪化すれば、なおさら弱い自分を見せてはならないと、虚勢を張ってしまいます。
以上のことから、「人と同じことをする」「人とちがうことをする」、いずれも行き過ぎはさらなる自己評価の低下や、周囲との軋轢を生み出しかねないため、バランスが重要といえます。
そのことを踏まえた上で、<低い自己評価>の人、<高くてもろい自己評価>の人に共通する、承認欲求との適切な向き合い方とは、どのようなものなのでしょうか。
承認欲求と適切に向き合うための3つのポイント
「人から認められたい」という気持ちと適切に向き合うには、状況判断に気をつけることです。
自己評価に問題がある人は、誤った解釈や思い込みによって「自分は認められていない」と思い、自己評価を下げかねません。
そこで、次の3つのことに気をつけることが勧められています。これらのポイントを押さえておくことで、承認欲求が満たされずに辛い思いをすることを防げます。
ポイント① 存在を認められていることに気づく
「自分は無視されているのではないか。存在を認められていないのではないか」と思うと、実際にそうではなくても、無視されていると思い込みやすくなります。
そのため、ネガティブな思いを抱いたときにこそ、「本当にそうだろうか?」と問いかけ、目を見開き、周囲を観察することが勧められています。
そうすれば、まわりの人からの「あなたを認めているよ」の合図に気づくはずです。
ポイント② 合図を過小評価しない
<自己評価>に問題があると、たとえまわりの人が送ってくる「存在を認めているよ」の合図に気がついたとしても、それを軽く見る傾向にある、といわれています。
挨拶を交わしたり、おしゃべりをするだけでは不十分と思い、もっと大きなアクションや積極的なアプローチ(何かの招待を受けたり、プレゼントをもらったりなど)を期待し、それがないと「存在を認めてもらえない」と思ってしまうのです。
しかし、そこまでしてもらわないと不安になるというのは、やはり行き過ぎているといえます。
ちょっとした挨拶やひと時の会話でも、それらはしっかりとした認められている合図であり、それらから喜びを得ることもできます。
合図を過小評価しないよう、心がけてみましょう。
ポイント③ 存在を認められたいという気持ちと“愛されたいという気持ち”を混同しない
私達の人間関係には、学校の同級生や会社の同僚の中でも<お互いに存在は認めている関係(挨拶をしたり、おしゃべりはしても、それ以上の関係に進まないもの)>もあるでしょう。
心の距離感は人によって異なるので、それは当たり前のことですね。
そういった関係の人には、それ以上を求めないことが大切です。
誰にでも彼にでも、積極的なアプローチや自分に大きな関心を持ってもらうことを期待し、それがなければ不満に思うのは間違っているといえます。
心の距離感に応じて人と接することが、「人から認められたい」という気持ちと向き合うために大事なのです。
そういった関係の中から、お互いにより関心を持ち、深く共感できる関係へと発展していくものもあるでしょう。
以上が、承認欲求と適切に向き合うための3つのポイントでした。
次回は、「人から認められたい」という気持ちから、さらに進んだ「人から愛されたい」という気持ちについてお話ししていきます。
まとめ
- 人から存在を認められるために私達がしていることは、「人と同じこと」をする・「人とちがうこと」をする、の2つです。いずれも行き過ぎると、さらに自己評価を下げたり、周囲との軋轢が生じたりするため、バランスが重要です
- 承認欲求と適切に向き合うには、状況判断に気をつけることです。それは、誤った解釈や思い込みによって、「自分は認められていない」と思い、自己評価を下げかねないからです。その状況判断で気をつけるべき3つのポイントを紹介しました
- 存在を認められていることに気づく
-「本当に認められていないだろうか」と自問し、周囲の合図に目を向けましょう - 合図を過小評価しない
-ちょっとした挨拶やひと時の会話でも、それはしっかりとした「認められている」合図です - 存在を認められたいという気持ちと“愛されたいという気持ち”を混同しない
-誰でも彼でもに自分に大きな関心を持ってもらえるとは期待せず、心の距離感に応じて人に接するようにしましょう
- 存在を認められていることに気づく
続きの記事はこちら
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