勉強会主催の みなみ です。
『自己評価メソッド』を通して、不安や恐れなどの生きづらさを解消するにはどうすればいいのか、そのための自己評価の高め方について、続けてご紹介しています。
今回はその34回目です。
動画でも記事の内容をご紹介しています
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承認欲求と適切に向き合うための3つのポイント
『自己評価メソッド』は、フランスで人気の精神科医 クリストフ・アンドレ氏によって書かれました。
こちらの記事では、『自己評価メソッド』で紹介されている、自己評価をよくする方法を以下の4つのパートに分けてお話ししています。
- 自分を受け入れる
- 自分との関係を改善する
- 他人との関係を改善する
- 行動の仕方を改善する
前回は、「他人との関係を改善する」パートの中の、「『人から存在を認められたい』という気持ちに関する実践法」についてお話ししました。
人から存在を認められることは空気のようなものであり、されて当たり前のことではありますが、
もし存在を認めらずに無視されることがあれば、自己評価は著しく傷ついてしまいます。
自分の存在を認められないことほど、辛いことはないのです。
では、そんな「人から存在を認められたい」という気持ち(=承認欲・承認欲求)と、どう向き合っていけばいいのでしょうか。
人から認められるためにしている2つのこと
私達が、人から存在を認められるためにしていることには2つある、といわれています。
それが、「人と同じこと」をする・「人とちがうこと」をする、の2つです。
人と同じことをするのは<低い自己評価>の人です。人と同じことをしていれば、少なくとも無視されることはなくなります。
反対に、人とちがうことをするのは<高くてもろい自己評価>の人です。高くてもろい自己評価の人は、その他大勢に埋没してしまうことを恐れているので、反感を買ってでも人とちがったことをしようとします。
これらの2つは人から認められることとして一定の効果がありますが、いずれも行き過ぎると、さらに自己評価を下げたり、周囲との軋轢が生じたりするため、バランスが重要、といわれています。
承認欲求と適切に向き合うための3つのポイント
「人と同じことをする」「人とちがったことをする」ことのバランスの重要性を踏まえた上で、承認欲求と適切に向き合う方法として、状況判断に気をつけることが勧められています。
自己評価に問題があると、誤った解釈や思い込みによって「自分は認められていない」と感じ、自己評価を悪くしてしまいかねません。
問題のある自己評価に従って状況判断するのではなく、次の3つのポイントを踏まえて解釈をするようにしましょう。
ポイント① 存在を認められていることに気づく
「自分は無視されているのではないか」と思うと、無視されていると判断しやすくなります。
そんなときは「本当に自分は認められていないだろうか?」と自問し、まわりを見渡して、周囲の合図に目を向けましょう。
ポイント② 合図を過小評価しない
ちょっとした挨拶やひと時の会話でも、それはしっかりとした「認められている」合図です。
「もっと自分に関心を持ってほしい」と過度に期待しないことが、自己評価を守るために大切です。
ポイント③ 存在を認められたいという気持ちと“愛されたいという気持ち”を混同しない
誰でも彼でもに自分に大きな関心を持ってもらえるとは期待せず、心の距離感に応じて人に接するようにしましょう。
前回の詳細はこちら
今回は、「人から認められたい」という気持ちから、さらに進んだ「人から愛されたい」という気持ちについてお話ししていきます。
「愛されたい」という気持ちと自己評価との関係
「愛されたい気持ち」は、人間の根源的な欲求
「愛される」ということは、人間にとって特別な意味を持っている、といわれています。
人間は一人で生きることはできません。赤ん坊は放っておいたら、1週間もしないうちに死んでしまいます。
生きていくには、まず母親から愛してもらうこと、愛情が必要になりますね。
また、大人になってからも、自分一人で生きていくことはできません。社会のメンバーからの援助が欠かせませんね。
これは今に始まったことではなく、原始時代から人間にはまわりの人の支えが必要でした。
こうした生まれてからの記憶、人間という種としての記憶が私達に「愛されたい」という気持ちを起こさせるのです。
※このゆえに、アドラー心理学でも、人間の根源的な欲求は「所属感(共同体の中で『私はここにいてもいいんだ』と思えること)」といわれています
この「人から愛されたい」という気持ちと自己評価とには、どんな関係があるのでしょうか。
アンドレ氏は、自己評価に問題があると、「愛されたい」という気持ちは歪んだ形で出てくる、といわれています。
自己評価に問題がある人に出てくる「歪んだ愛の形」
歪んだ形① 愛情を示しすぎる
相手を困惑させるほど優しい態度をとったり、過剰なプレゼントしたりする人がいます。
人に優しくするのは決して悪いことではありませんが、“それをどんな心でしているか”も重要です。
<低い自己評価>の人は、愛されたいと思う一方、自分には愛されるだけの自信がないため、相手に尽くし、優しくすることによって愛してもらおうとするのです。
<低い自己評価>の人には、何かに失敗して自信がなくなればなくなるほど、人に優しくなる傾向にある、ともいわれています。
相手に優しくすることが自然な形で出てくるのでなく、「愛されたい」「悪く思われたくない」というところだけから出てきては、相手から思うような反応が返ってこなかったときにショックを受け、自己評価が傷ついてしまいますね。
※この問題点は、次回、さらに掘り下げてお話しします
歪んだ形② 愛情を求めすぎる
自己評価に問題があると、「愛情を求めすぎる」場合もあります。
特に<見捨てられる不安が強い人>は、友人からちょっと連絡がなかったというだけで「愛情がなくなった」と不安になり、もんもんと苦しんだすえ、
「どうして連絡をくれなかったの」
といきなり相手を非難をしたり、涙ながらに訴えたりするといわれています。
その結果、相手は予想もしない激しい反応が返ってきたことにびっくりし、困惑することがあります。
また、<誰とでもすぐに親密になろうとする人>も、知り合ったばかりの人に密な友達づきあいをしてもらいたがったり、心の秘密を打ち明けてもらいたがったりします。
相手との心の距離感を無視して、愛情を受け取ろうとするのですね。
この2つのタイプはともに「愛されていない自分は価値がない」と感じ、愛情に固執し、相手から積極的に「愛情を示してくれる」のを期待します。
愛情を感じることができなければ、自己評価がさらに傷つき、相手を責めることにもつながりかねないのですね。
この「愛されたいという気持ち」と適切に向き合い、自己評価をよくしていくにはどうすればいいのでしょうか。
次回は、その実践法をご紹介していきます。
まとめ
- 人から愛されたいという気持ちは、生まれてからの記憶、人間の種としての記憶が起こさせる気持ちであり、根源的な欲求といわれています
- 愛されたいという気持ちと自己評価との関係について、自己評価に問題があると「愛されたい」という気持ちは、次の2つの歪んだ形で現れます
- 愛情を示しすぎる-
- 低い自己評価の人は、自分に愛されるための自信がないため、相手に過剰に優しくすることで愛されようとします
- 愛情を求めすぎる-
見捨てられる不安が強い人は、ちょっと連絡がなかっただけで不安になって相手を責めることがあります。また、すぐに親密になろうとする人は、知り合ったばかりでも密な友達づきあいをしてもらおうとします
※いずれも愛情を受け取らないと自分への価値を感じることができないでいるのです
続きの記事はこちら
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