勉強会主催の みなみ です。
『自己評価メソッド』を通して、不安や恐れなどの生きづらさを解消するにはどうすればいいのか、そのための自己評価の高め方について、続けてご紹介しています。
今回はその27回目です。
記事の内容を動画でもご紹介しています
スポンサーリンク
<気分と自己評価との好循環>に入るための実践法
『自己評価メソッド』は、フランスで人気の精神科医 クリストフ・アンドレ氏によっ て書かれました。
こちらの記事では、『自己評価メソッド』で紹介されている、自己評価をよくする方法を以下の4つのパートに分けてお話ししています。
- 自分を受け入れる
- 自分との関係を改善する
- 他人との関係を改善する
- 行動の仕方を改善する
前回は、「自分との関係を改善する」の最後のポイント<自分と親友になる>についてお話ししました。
自己評価の問題で悩む人が一番 陥りやすい誤りは、<自己評価>と<自己賛美>とを取り違えてしまうこと、といわれています。
自己賛美とは、自分を素晴らしいと評価することです。自己評価で悩む人はそれを自己評価だと思い込んでしまい、自分は素晴らしくなければならない、そのためには他人から称賛されなければならない、と思います。
しかし何も自分を素晴らしくする必要はありません。ほんの少しよくなることで自己評価は上がっていくのです。
その自己評価をよくしていくことは「自分に友情を抱く」こと、ともいわれています。
自分と親友になることが自分との関係をよくするゴールであり、自分を親友のように接していくことで、自己評価は着実によくなっていくのですね。
親友に接するように自分と接するための訓練法として、仮に自分が失敗をしたときに、
こんな失敗をするなんて、私はなんてダメな人間なんだ。私は何をやってもうまくいかない。もう何もかもやめてしまおう。
というような言い方を
「失敗したのが親友だったら、それと同じことを言うだろうか?」と問いかけることが勧められています。
自分を責めるだけの言い方を、もっと相手を思いやった、問題解決の手助けとなるような言い方に変えることです。
たとえば、
うまくいかなかったのは辛かったね。でも、そういうこともあるよ。この経験を生かして努力をしていけば、この次はうまくいくよ。
という言い方に変えれば、相手は共感してくれたことを喜び、前向きになり、失敗から学ぼうとし、今後も挑戦を続けていけるでしょう。
このような言い方を、自分に対してしていけばいいのですね。
前回の詳細はこちら
今回からは、自己評価をよくする方法の3つ目のパート「他人との関係を改善する」についてお話ししていきます。
“人から受け入れられない、拒否・拒絶される”ことと、自己評価との関係
人間は社会的動物であり、人から受け入れられたいと思い、人から受け入れられないことを恐れています。
人から受け入れられれば安心でき、自分の価値を感じることができますが、人から受け入れられないと自己評価は悪くなってしまいます。
そのことを示す実験が紹介されていました。
その実験は、大学の心理学研究室で行われたものです。
被験者はニセの性格テストを受けたあと、実験者からこう告げられます。
残念ながら、あなたは人とうまくやっていけない性格です。晩年は孤独に生きることになるでしょう。
そして、2つ目のテストをするという名目で隣の部屋に案内されるのですが、その部屋には椅子が2つ、背中合わせに置いてあり、ひとつは壁、もうひとつは鏡に向かっています。
このときに、被験者はどちらの椅子に座るだろうか、というのが本当の実験です。
実験の結果、90%の人が鏡に背中を向けて座ったことがわかりました。
また、これと同じ実験で、実験者から
あなたは人とうまくやっていける性格です。誰からも愛されて楽しく生きていけるでしょう。
と言われたグループでは、「どちらの椅子に座るかは特別に気に留めなかった」という結果が出たのでした。
この実験から、「人から受け入れられない」と思うと、自分の姿は見たくなくなることがわかります。
そして、自己評価の低い人は
「家のなかでも鏡は見ないようにしている」
「なるべく写真には映らないようにしている」
傾向にあるともいわれています。
ゆえに、人から受け入れられないと、自己評価に悪影響がもたらされ、自己評価が低くなってしまうことがわかりますね。
人から受け入れられないことの苦しみ、その4つの悪影響
人から受け入れられないと、私達は動揺し、自己評価がいちじるしく傷つけられてしまいます。
実生活でもそのような場面は珍しくありません。
たとえば、
- 会議の席で自分の意見を聞いてもらえない
- メールやメッセージに返事が来ない
- 当然と思っていた集まりに誘われない
- 遊びの誘いを断られる
など。
さらに
- 学校や職場で仲間外れにされる
- いじめを受ける
- 差別を受ける
という深刻な状況につながることもあります。
こうした人から受け入れられないことは、私達に主に以下の4つの悪影響を与えるといわれています。
①自分を受け入れられなくなる
1つ目は、人に好きになってもらえなければ、そんな自分を好きになることはできなくなってしまうことです。
自分で自分の親友になり、つらい目にあった自分に寄り添って励ましてやらないといけないのに、人から拒絶されると、自分も自分に背を向けて、見捨ててしまうのです。
②自分に不利益な行動をとる
人から受け入れられないと、
「腹を立てて、攻撃的になる」
あるいは
「人との接触を避けて、孤立する」
などの、自分のためにはならない行動をする傾向にあります。
しかしそんなことをすれば、ますます人から受け入れられなくなる状況をつくってしまうのですね。
③頭の働きが悪くなる
3つ目の悪影響が「頭の働きが悪くなること」です。
これは、次の実験で確かめられています。
被験者に対して準備の段階で「人から受け入れられない」状況をつくり、その後で知能テストをしたところ、そうでないときと比べて、成績は明らかに下がったことがわかりました。
これは悲しみなどの感情の影響ばかりではなく、無意識の領域で起こったショックの余波で、脳の活動が鈍ったと指摘されています。
④感情に影響が出てくる
最後 4つ目の影響が、感情に影響が出てくる、ということです。
人から受け入れられないと、まず悲しみや怒りなどの強い感情が引き起こされ、次に屈辱、後悔、恨みなどのネガティブな感情が続き、自己評価に悪影響を与えます。
あるいは、悲しみの大きさのあまり「感情を鈍磨させる(マヒさせる、感じなくさせる)」という形で出てくることもあります。
感情をマヒさせることは、短期的には「悲しみのショックを和らげる」という意味で有効かもしれませんが、
長期間続けば、全体的に感情がすり減って、喜びなどのポジティブな感情も抱けなくなってしまい、無力感や空虚感へとつながり、危険な状態になりかねないのです。
人から受け入れられなかったときに、こういった危険な影響を避けるにはどうすればいいのでしょうか。
次回は、人から受け入れられなかったときに自己評価を回復させる実践法をご紹介していきます。
まとめ
- 人間は社会的動物であり、人から受け入れられたい、拒否されたくないという思いがあります。人から受け入れられないと、私達の自己評価は傷つけられ、下がってしまうのです
- 人から受け入れられないと、以下の4つの悪影響が出てくるといわれています
- 自分を受け入れられなくなる-味方であるべき自分自身が自分に背を向けてしまいます
- 自分に不利益な行動をとる-攻撃的になる・孤立に走るという行動をとり、ますます受け入れられなくなる状況をつくってしまいます
- 頭の働きが悪くなる
- 感情に影響が出てくる-まず悲しみ・怒りが引き起こり、次に屈辱・後悔・恨みなどのネガティブな感情が生まれます。あるいは感情をシャットアウトし、ショックを和らげようとしますが、それは空虚感や無力感にもつながってしまいます
続きの記事はこちら
スポンサーリンク