勉強会主催の みなみ です。
『自己評価メソッド』を通して、不安や恐れなどの生きづらさを解消するにはどうすればいいのか、そのための自己評価の高め方について、続けてご紹介しています。
今回はその43回目です。
スポンサーリンク
羨望・嫉妬と上手に付き合うための実践法
『自己評価メソッド』は、フランスで人気の精神科医 クリストフ・アンドレ氏によって書かれました。
こちらの記事では、『自己評価メソッド』で紹介されている、自己評価をよくする方法を以下の4つのパートに分けてお話ししています。
- 自分を受け入れる
- 自分との関係を改善する
- 他人との関係を改善する
- 行動の仕方を改善する
前回は、3番目の「他人との関係を改善する」の中の、<信頼>と<自己評価>との関係、また他人を信頼するための実践法をご紹介しました。
信頼と自己評価との関係
「人を信頼する」能力は、それまでの経験と深く結びついていますが、中でも
- 信頼できる両親がいること
- あまりひどい裏切りを経験していないこと
が2つの柱になっているといわれています。
信頼できる両親がいて、ひどい裏切りを経験していない人は<よい自己評価>を持っている傾向にあります。
ゆえに<よい自己評価>を持っている人ほど<人を信頼する能力>が高い、といえるのです。
反対に問題のある自己評価の人は 人を信頼することが難しいともいえますね。
人を信頼できない4つのタイプ
人を信頼できないタイプとして、以下の4つのタイプがあります。
- 自己評価が低い-
過去に人に裏切られたり、利用されたりしたことで、人を警戒するようになったタイプです。 - 自己評価が高くてもろい-
一見すると強そうですが、内心は自信がなく、人を警戒するタイプです。 - ネガティブな感情が強い-
<悲しみ>や<不安>といったネガティブな感情を持ちやすいタイプです。研究でも、悲しみや不安のような感情は信頼する力を損なわせることがわかっています。 - 親や過去の経験から、人への警戒を身につけてしまった-
親から人を警戒するように教えられたり、これまでにひどい裏切りにあったりしたことで、人への警戒が身についてしまったタイプです。
人を警戒することの悪い点・信頼することの利点
人を警戒することの悪い点
人を警戒すれば、相手の観察や見張りに時間や労力を使わなければならなくなり、精神的にも肉体的にも疲れてしまいますね。
警戒することにエネルギーを使っていれば、その分、人生の楽しみが失われて、自己評価にはマイナスになります。
人を信頼することの利点
人を信頼すれば、警戒するための時間・労力はなくなり、その分 好きなことに時間を使えます。そうして人生から楽しみが引き出されれば、自己評価にはプラスになりますね。
また、相手を信頼することで相手からも信頼される可能性も上がり、<交際の質>も高まっていきます。
人を信頼するための3つの実践法
人を信頼するための実践法をとして、以下の3つをご紹介しました。
- 信頼するところから始める-
最初はともかく信頼するところから始めましょう。そして、相手の態度に応じて今後の付き合い方を変える(信頼する目盛りを7から5に落とす、など)ことが勧められています。 - 裏切られたときの対処法を身につける-
裏切られた直後は、感情的になって偏った判断をくださない、
裏切った相手に対して、いきなり非難をしない、
裏切られた後は、裏切られた経験を一般化しないようにする、など、裏切られたときの対処法を身につけましょう。 - 信頼を高める薬は使わない-
人から信頼されるには、自分から信頼することが一番、と心得ましょう。
前回の詳細はこちら
今回は、他人を受け入れるための実践法をご紹介していきます。
人を受け入れること・批判することと、自己評価との関係
私達はなかなか人を受け入れられず、むしろ他人を批判しがちである、といわれています。
なぜ人を批判してしまうのでしょうか。
人を受け入れられずに、批判する2つの理由
①他人のなかに<自分の欠点>を見る
他人を批判してしまう理由の1つが、他人のなかに<自分の欠点>を見ることです。
特に自己評価の低い人は、自分の欠点で悩み、自分に欠点にこだわっているため、その自分の欠点を他人にも投影しやすいです(例として、自分勝手な人は、他の人もそうだと思うから、相手の自分勝手が目につきやすい、といわれています)。
②すべてを<自分のやり方>をもとに判断しようとする
他人を批判しがちなもう1つの理由が、すべてを<自分のやり方>をもとに判断していることにあります。
私達は自分のやり方が一番だと思っているため、自分とは違ったやり方をした人を見ると、自分のやり方に自信が持てなくなったり、違ったやり方をしている相手に批判的になったりしてしまうのですね(これも、自己評価に問題のある人ほど、相手に批判的になりやすくなるといわれています)。
人を受け入れることと自己評価との関係
では、批判することとは反対に、人を受け入れることと自己評価にはどのような関係があるのでしょうか。
人を受け入れることと、自分との関係
先でも、自己評価に問題のある人は、
自分の欠点にこだわって 他人に自分の欠点を見たり、自分のやり方が一番だと思って 他人のやり方が許せずにいたりして「人を受け入れる」ことができない、ということをお話ししました。
しかしそのような人が自分の欠点を受け入れ、自分のやり方への固執をやめたら、どうなるでしょうか。
その場合は、相手を受け入れることがグッとしやすくなりますね。
つまり、人を受け入れるには、まず<自分を受け入れる>ことが大切といえます。それは「自己評価をよくする」ということでもありますね。
自己評価をよくすれば、それだけ人を受け入れることができる、ということです。
人を受け入れることと、他人との関係
そのよい自己評価をもとに人を受け入れられるようになったら、どうでしょうか。
こちらが相手を受け入れれば、相手もまた自分を受け入れてくれるようになります。
そうなれば、「自分は相手から認められている、愛されている」という気持ちを持つことができ、自己評価はさらによくなるのですね。
また、人を受け入れると、自分自身も幸せな気持ちになる、といわれています。幸せな気持ちになれば、さらに人を受け入れやすくなり、自己評価が上がる…と、
人を受け入れることと自己評価との関係は、ひとたび良い方向に動き出すと、好循環に入っていくのです。
人を受け入れることでもうひとつ、得られる利点
もうひとつ、自己評価がよくなって人を受け入れることができれば、人と自分を比較したり、人を批判したりせずに、相手を観察して「人から学ぶ」ことができる、といわれています。
相手から学ぶことができれば、人生のさまざまな場面で学んだことを役立てることもでき、それはさらに自己評価をよくすることにつながるのですね。
人を受け入れるための3つの実践法
自己評価がよくなれば、それだけ相手を受け入れることができるとわかりました。
それでは、人を受け入れることから始めるには、具体的にどうすればいいのでしょうか。そのための実践方法が3つ、紹介されています。
①批判するのではなく、理解して共感する
人を受け入れたい、と思ったら、相手を批判するのではなく、
相手を「理解する」こと、さらに進んで「共感する」ことが大切です。
「共感する」というのは「相手の立場になって考える」ということです。
では、批判したいという気持ちを抑えて、共感するにはどうすればいいのでしょうか。
そのための方法が4つ、アドバイスされています。
相手を理解して共感する4つのポイント
①相手に対する判断を細かく分ける
人を批判するときは、
「あの人はダメだ」
「あの人はよくない」
と、ひと言で片づけてしまいやすいです。
しかしそのようにレッテルを貼ってしまえば、それ以上、相手を理解して共感することはできません。
そこで、まず自分にとってその人の何が良くて、何が気に入らないのか、細かく分けてみること、
そして、気に入らない部分は、どのくらい気に入らないのかという程度を考えてみることが勧められています。
そうすれば、相手のことを一方的に批判するのではなく、冷静に見ることができますね。
②人格では行動を批判する
人を批判するときは、
「あいつは自惚れ屋だ」
と、人格そのものを批判しがちになってしまいます。これもまた、それ以上相手を理解するのは難しくなりますね。
そこで、「あいつは昨日の夜は自慢していた(だからといって彼が自惚れ屋とは限らない)」と行動を批判するようにすることが勧められています。
③一般化するのではなく個別化する
私達は相手を「“いつでも” “何についても”相手はこうする」と評価してしまいがちです。
しかし相手はいつでも、何についても気に入らないことをするとは限りませんね。
「あの人はこんなとき、これについては〇〇をする」と、状況を個別化すべきといわれています。
④理解して共感する
これまでの3つのポイントを踏まえ、ある程度「批判を抑える」ことができたら、次は「相手を理解する」努力をすることが勧められています。
相手が自分の気に入らないことをしたり、好ましくない態度をとったりしたときに、
「なぜ相手はそんなことをするのだろうか。何か理由、事情があるかもしれない。それはなんだろうか」と考えてみることです。
相手の事情がわかれば、相手の立場にたって相手を理解すること、共感することにもつながります。
②ひそかに敵意を燃やすのではなく、話してみる
人を受け入れることは、「どんな人でも無理矢理に好きになる」ということではありません。
人を受け入れるとは、相手に対する間違った思い込みを改めること、
思い込みからくる誤った態度を直して、関係を悪化させないようにすることです。
そこで、気に入らないと思っている人にも、相手を避けて ひそかに敵意を燃やすのではなく、相手と話をしてみることが勧められています。
実際に話をしてみると、多くの場合、自分が思っているよりも、相手はずっと人間らしい弱さを持っていたり、優しいところがあったりするのに気づくものです。
私達が想像するほど、人間はひどいものでもないのですね。
ただ、相手の弱さや長所に気づいたからといって、それで相手の欠点がなくなることはなく、すんなり相手を受け入れられるとは限りません。
しかし話をする前よりはずっと相手を受け入れやすくなっていると思いますし、少なくとも相手への間違った思い込みは正され、相手に対する態度もよいものに変化していくでしょう。
③小説を読んだり映画を観たりする
人を受け入れるには、他者に「共感する」ことが大切です。
では、その共感する能力を高めていくにはどうすればいいのでしょうか。
簡単で効果がある方法として勧められているのが、小説を読んだり、映画を観たりして、さまざまな人間のタイプに触れていくことです。
フィクションではあるものの、小説や映画の人物描写は「人間というものはどういうものであるか」を理解する大きな助けとなります。
そうして人間にはさまざまなタイプ・行動パターンがあることを学んでおけば、自分とはまったく違う考えや行動をする人に出会っても、
「この人はあの小説に出てくる〇〇と似ている」
という形で、相手を理解して共感することに結びつくのですね。
以上が、人を受け入れることと自己評価との関係、また人を受け入れるための実践法でした。
次回は、人に好意的になるための実践法をご紹介していきます。
まとめ
- 人を受け入れることができず、むしろ批判をしてしまう理由として、他人のなかに<自分の欠点>を見ること、すべてを<自分のやり方>をもとに判断することが挙げられています。特に自己評価に問題のある人は、自分の欠点や やり方にこだわるため、その傾向がより見られます
- 自分の欠点や やり方へのこだわりをやめる(自己評価をよくする)ことができれば、人を受け入れやすくなります。人を受け入れれば幸せになり、また人からも受けられやすくなるため、自己評価が上がって、さらに人を受け入れられる…という好循環に入っていけます
- まず、人を受け入れるところから始めるときの実践法を3つ、ご紹介しました
- 批判するのではなく、理解して共感する-
「あの人はこんな人だ」とひと言で片づけたり、人格を批判したりするのではなく、その人の何が良くて何が悪いかを細かく分ける、行動を批判する、一般化ではなく個別化する、などを実行してみましょう - ひそかに敵意を燃やすのではなく、話してみる-
実際に話をしてみることで、相手はずっと人間らしいことや優しいことがわかって、相手に対する誤った思い込みを正すことができます - 小説を読んだり映画を観たりする-
小説や映画の人物描写から「人間とはどういうものか、どんな人がいるのか」を学ぶことができ、それを現実に結びつけることで相手を受け入れやすくなります
- 批判するのではなく、理解して共感する-
続きの記事はこちら
スポンサーリンク