勉強会主催の みなみ です。
『自己評価メソッド』を通して、不安や恐れなどの生きづらさを解消するにはどうすればいいのか、そのための自己評価の高め方について、続けてご紹介しています。
今回はその44回目です。
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人を批判せずに、受け入れるための実践法
『自己評価メソッド』は、フランスで人気の精神科医 クリストフ・アンドレ氏によって書かれました。
こちらの記事では、『自己評価メソッド』で紹介されている、自己評価をよくする方法を以下の4つのパートに分けてお話ししています。
- 自分を受け入れる
- 自分との関係を改善する
- 他人との関係を改善する
- 行動の仕方を改善する
前回は、3番目の「他人との関係を改善する」の中の、他人を受け入れるための実践法をご紹介しました。
人を受け入れられずに批判してしまう理由
私達はなかなか人を受け入れられずに、むしろ相手を批判してしまうことがあります。
その理由として、他人のなかに<自分の欠点>を見ることが挙げられています。自分の欠点にこだわるあまり、他人にもその欠点を投影しやすいのです。
また、すべてを<自分のやり方>をもとに判断することも挙げられています。私達は自分のやり方が一番と思っているため、自分と違ったやり方をしている人を見ると批判的になるのですね。
特に自己評価に問題のある人ほど、自分の欠点や やり方へのこだわりが特に強いので、批判的になりやすいといわれています。
人を受け入れることの利点
反対に、自分の欠点や やり方へのこだわりをやめる(自己評価をよくすることで、こだわりは和らいでいきます)ことができれば、人を受け入れやすくなります。
人を受け入れることができれば、相手からも受け入れられやすくなります。相手から受け入れられれば、「自分は愛されている、認められている」という気持ちが持てて、自己評価はさらになっていきます。
また、人を受け入れること自体、私の幸せにつながります。幸せな気持ちになれば、さらに人を受け入れやすくなって…、と、好循環に入っていけるのですね。
人を受け入れるための3つの実践法
では、人を受け入れるところから始めるには、具体的にどうすればいいのでしょうか。そのための実践法を3つ、ご紹介しました。
①批判するのではなく、理解して共感する
「あの人はこんな人だ」とひと言で片づけたり、人格を批判したりするのではなく、
- その人の何が良くて何が悪いかを細かく分ける
- 人格ではなく行動を批判する
- 一般化ではなく個別化する
などの実行が勧められています。
これらを実行することで、まず相手を理解することができ、それが共感につながることもあります。
②ひそかに敵意を燃やすのではなく、話してみる
気に入らないと思っている相手を避けて ひそかに敵意を燃やすのではなく、実際に話をしてみることが勧められています。
実際に話をしてみることで、多くの場合、相手はずっと人間らしい弱さを持っていたり、優しいところがあったりするのに気づいて、相手に対する誤った思い込みを正すことができます。
そうなれば、相手をより受け入れやすい状態になりますね。
③小説を読んだり映画を観たりする
小説を読んだり、映画を観たりすることで、さまざまな人物描写に触れることができ、「人間とはどういうものか、どんな人がいるのか」を学ぶ手助けとなります。
それを現実に結びつける(「この人は、あの映画の〇〇という登場人物と似ているな」など)ことで、相手を理解し、共感しやすくなります。
前回の詳細はこちら
今回は、人に好意的になるための実践法をご紹介していきます。
人に好意的になるための4つの方法
他人との関係を改善することができれば、「他人から愛されている、認められている」と感じることができて、自己評価をよくすることができます。
それについてはまず、人から受け入れられなかったときの対処法、
また、「人から認められたい」という承認欲求との適切な向き合い方をご紹介してきました。
これらはどちらというと、相手に主導権がある受動的な関わり方であるといわれています。
一方で、人を信頼するための実践法や
前回ご紹介した他人を受け入れる実践法は、人との能動的な(そうするかどうかは自分で決める)関わり方ですね。
今回の「人に好意的になるための実践法」は、そこからさらに進んだ、より能動的な関わり方であるといわれています。
「人に好意的になる」とは、具体的に
- 人に優しくする
- 人に寛大になる
- 人に感謝する
- 人を称賛する
ことに分けられています。
今回はこのうち、人に優しくすること・寛大になることについて、それらの実行が「自己評価をよくする」ためにどれほど大切か、またそれらの実践法をご紹介していきます。
はじめは、「人に優しくする」ことについてです。
①人に優しくする
人に優しくすることの利点
優しさとは「人に対して示す無条件の好意」といわれています。
相手に要求されたかどうか、
相手がそれにふさわしいかどうかは関係なく、相手が知らない人であっても示せるのが優しさですね。
その人に優しくすることの利点として、相手が知っている人の場合は、その人との関係がよくなります。
自然と優しくしてくれる人を悪く思う人はいないですよね。
また、相手が知らない人の場合は、自分の気分がよくなり、幸せな気持ちになります。このような気持ちは自己評価をよくすることにもつながりますね。
人に優しくすることと自己評価との関係
このように、どのような相手にも優しくすることは利点があり、大切なことですが、実行するとなると簡単ではありませんね。
特に自己評価に問題のある人は難しいでしょう。
自己評価の低い人の場合は、相手に優しくしすぎることがありますが、これは無条件の好意ではなく、相手から愛されること、認められることが目的となっています。
その結果、見返りがなければ旗が立ちますし、かといってそれを伝えること、自己主張することできません。
そうなれば自己評価を悪くしてしまうのですね。
その一方、自己評価の高くてもろい人の場合は、そもそも
「優しくしたら、相手につけこまれる」
「優しさは弱さの証である」
と思っているため、相手に対して冷たく不愉快な態度をとりがちです。
これでは人間関係にも問題が生じ、自己評価にはマイナスになってしまいます。
人に優しくするための実践法-できるところで、できるだけ優しくする
では、人に優しくするためにはどうすればいいのでしょうか。
その実践法が「できるところで、できるだけ優しくする」ことです。
要求されているかどうかに関係なく、また相手を選ばずに実践できるため、「人に優しくする」機会はいくらでもあります。
- 挨拶を交わす+近況を少し詳しくたずねてみる
- ひとりでいる人を見かけたら、話しかけてみて、別の人を紹介する
- 買い物をしたときにお金を渡しながら「ありがとう」と言って微笑む
など。
完璧に優しい人になる必要はなく(できないことでありますが)、できるところで、できる限りの優しさを示すことが勧められています。
近況をたずねる ひとりでいる人に話しかける |
「ありがとう」と言って微笑む |
②人に寛大になる
次の「人に寛大になる」とは、
「自分の持っているものを、相手が要求する前に、相手が期待しているよりほんの少し多く、あるいはたくさん、与えること」
といわれています。
寛大であることの利点
その利点は、人に優しくすることと同様に、
- 人との関係がよくなる
- 世界が優しくなることに貢献できる
- 自分の気分がよくなる
ことです。
ここでは、人との関係がよくなることについて、特に詳しく解説されていました。
社会心理学では、寛大さは「人間関係で誤解やトラブルが発生しないようにするための<保険>である」といわれているそうです。
仮に、自分がいつも寛大にふるまっていれば、うっかりと相手との約束に遅刻してしまった場合も、メールの返事が遅れてしまった場合も、
「あの人は故意にこんなことをする人ではない。何かやむを得ない事情があったのだろう」
と寛大に見てもらえる可能性があるのですね。
人に寛大になることと、自己評価との関係
しかし、人に優しくすることと同じように、自己評価に問題があれば、人に寛大になることは難しいといわれています。
人に裏切られることを恐れているため、相手が最初に寛大にならない限り、自分は寛大になろうとしません。
あるいは、寛大さの収支がきちんと合うように、相手の行動と自分の行動を見比べたりします。
これはとても寛大な態度とはいえないですね。
人に寛大になる2つの実践法
では、人に寛大になるにはどうすればいいのでしょうか。その実践法が2つ、紹介されています。
①寛大さとは相手が期待しているより多くを与えることだと知る
寛大さとは、収支のバランスをとることでも、自己犠牲的になることでもありません。
相手が期待しているより、少し多く与えることです。
仕事でも会話でも、ちょっとした上乗せの努力、プラスアルファの気遣いを心がけてみましょう。
また、相手がそれに値する人間かどうか、感謝されるかどうか、見返りが得られるかどうかは考えず、無償の好意として行うことが勧められています。
②ともかく寛大になって結果を見てみる
寛大になることは、見返りを求めて行うことではありませんが、寛大になれば、周りの人との関係は自然とよい方向へと変わっていきます。
情報を無償で提供する・時間を割いて協力するなど、とにかく寛大になって、その結果を見ていくようにしていきましょう。
以上が「人に優しくする」「人に寛大になる」ことでした。
次回は、人に好意的になることの、「人に感謝する」「人を称賛する」についてお話ししていきます。
まとめ
- 人に好意的になることは、自己評価をよくするための、より能動的な関わり方であるといわれています。その好意的になる方法とは具体的に、以下の4つのものです
- 人に優しくする
- 人に寛大になる
- 人に感謝する
- 人を称賛する
- 人に優しくすることで、相手が知っている人の場合はその人との関係がよくなり、知らない人である場合も、自らの気分がよくなります。しかし自己評価に問題がある人は優しくしすぎたり、そもそも優しさへの誤解があって、人に優しくすることは難しいです
-その中でも、まず、できるところで、できる限り優しくすることが勧められています - 人に寛大になることもまた、人との関係・自らの気分がよくなることにつながります。また、寛大さは、相手にも寛大な対応をしてもらえる<保険>になり得る、ともいわれています
- 寛大になるための実践法として、2つが紹介されていました
- 寛大さとは相手が期待しているより多くを与えることだと知る-
仕事でも人間関係でも、プラスアルファの気遣いを心がけてみましょう - ともかく寛大になって結果を見てみる-
寛大になれば、周囲との関係は自然とよくなっていきます。まずはともかく、寛大になってみましょう
- 寛大さとは相手が期待しているより多くを与えることだと知る-
続きの記事はこちら
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