勉強会主催の みなみ です。
『幸福優位 7つの法則』を通して、心理学の新しい分野である「ポジティブ心理学」とは何か、 ポジティブ感情を高めて幸福になるにはどうすればいいかについて、続けてご紹介しています。
今回はその16回目です。
幸福優位7つの法則 仕事も人生も充実させるハーバード式最新成功理論
記事の内容を動画でもご紹介しています
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「テトリス効果」がもたらす悪影響・得られる恩恵
『幸福優位 7つの法則』は、ハーバード大学のポジティブ心理学者 ショーン・エイカー氏によって書かれました。
エイカー氏のポジティブ心理学に関する研究により、人は幸福感が高いほど、能力が十二分に発揮されて、自己成長も促され、結果的にものごとがうまくいくこと-幸福優位性(ハピネス・アドバンテージ)-が発見されました。
ではその幸福優位性の恩恵を十分に得るにはどうすればいいのでしょうか。 エイカー氏はそのための法則を7つにまとめて教えられています。
3番目の法則「テトリス効果」について、続けてお話ししています。
テトリス効果とは、落ちものパズルゲームの代名詞「テトリス」を長時間やり続けていると、周囲のものがテトリスのブロックに見えてしまう現象のことです。
これは、長時間のプレイによって脳の中の配線が変化し、新しい認識パターンがつくられたため、と説明されています。
この現象はゲームに限ったことではなく、家庭や職場でも「テトリス効果」が生じています。
それは、物事や相手の悪い面、ネガティブな面しか目に入らなくなる、というものです。
この「負のテトリス効果」が起これば、人間関係は蝕まれ、ストレスや抑うつを感じやすくなってしまうのです。
では、この「負のテトリス効果」を克服し、テトリス効果からむしろ恩恵を得るにはどうすればいいのでしょうか。
それには、どんな状況であっても、常にポジティブな面を拾い上げる訓練をすることです。訓練を重ねることで、自然と物事の良い面に注目できるようになります。
脳がポジティブな面に注目できるようになると、
- 幸福感が高まって仕事の成果が上がり、周囲との関係もうまくいく
- 感謝の気持ちを持てるようになり、より活発になり、感情のコントロールもしやすくなって、抑うつ的にもなりにくくなる
- 楽観的になって、目標の達成に多くの努力を注ぎ込み、障害も比較的簡単に乗り越えられるようになる
ことがわかっています。
ポジティブな面を見ることの恩恵を詳しくご紹介した、前回の記事はこちら
今回は、脳がポジティブな面に注目できるようになるにはどうすればいいのか、具体的な手法をお話ししていきます。
テトリス効果を取り込み、幸福感・楽観性を高める方法
ビデオゲームをマスターするには、これまでできなかったプレイが自然とできるようになるには、何日も集中して練習する必要がありますね。一朝一夕にはうまくはなりません。
それと同じように、もっと物事のポジティブな面を見られるようになるには、もっとチャンスに気づけるようになるには、ポジティブなことに注目する反復練習が必要である、といわれています。
意識を強め、ポジティブな面を見ることを繰り返すことで、ポジティブ脳へと変化させることができるのですね。
脳をポジティブな方向へ鍛え始める際の一番の方法は、仕事や生活の中に起きたいいことを、毎日リストアップすることである、とエイカー氏は言われています。
いいことを毎日リストアップするだけなんて、単純すぎて効果はないのではないか、と思われるかもしれません。
しかしやること自体は単純ではあるものの、10年以上にわたる実験的研究によって、いいことの毎日のリストアップは人の脳の配線に重大な効果を及ぼすことが証明されている、といわれています。
「3つのよいことエクササイズ」の重大な効果
よいことのリストアップの方法として、「今日起こった3つのよいこと」を書き出すことが挙げられています。
リストアップしようとすると、脳は1日のできごとを振り返り、ポジティブと思えることを探し始めます。
すると、たとえば
- ちょっとおかしかったこと
- 大笑いしたこと
- 仕事で達成感を得られたこと
- 家族との絆が深まったこと
- 未来への希望がきざしたこと
といったことが思い返されるでしょう。
1日にたった5分間、これをすることで、脳が自己成長の可能性に気づき、自己成長の機会を見つけることができるようになる(「これをもっと頑張れば、さらにうまくいく」というものが見つかる)、といわれています。
また、人は一度に注目できる範囲に限界があるので、ポジティブなことを考えると、それまで頭を占めていた他の小さな心配やイライラは背後に追いやられたり、意識の外に押し出されたりするのです。
よいことを思い返すことで、さらなるよいことを引き出せる取り組みへとつながり、また、小さなネガティブな出来事に過剰にとらわれないようになるのですね。
さらに、この練習の効力は持続するともいわれています。
ある研究によると、1週間毎日「3つのよいこと」を書き出した人たちは、1カ月後・3カ月後・6カ月後の追跡調査でも、それをしなかった人たちより、幸福度が高く、落ち込む回数が少なかったことがわかったそうです。
驚くべきことは、エクササイズをやめた後も、幸福度・楽観性ともに高い状態が続くことです。
身の回りのポジティブな出来事への注目が上手になると、特に努力をしなくても、どこを見てもよいことが見出だせるようになるのですね。
書き出すポジティブな内容は、先に挙げたもののように重大なことばかりではなく、ただ具体的でありさえすればいい、ともいわれています。
- 仕事から帰ると、子供が飛びついて迎えてくれた
- 優しい言葉をかけてもらえた、自分の仕事ぶりを認めてもらえた
- 夕食用にテイクアウトした料理がとてもおいしかった
など、日常のごくありふれた内容でも大丈夫です。
このように、よい面に注目できるようになると、先に紹介したように幸福感が高まり、感謝の気持ちが持てるようなって、楽観的にもなれます。
そうなれば、より有益な行動(相手の長所を称える、仕事の意義を感じられて意欲的に働く、気持ちのこもった肯定的な言葉をいう、など)も取れるようになり、お互いに幸福優位性の恩恵を得ることができるのです。
まずは1週間に1回、10分ほど時間をとり、「3つのよいことエクササイズ」を実践してみてください。
肝心なのは継続して実践することです。
同僚や友人、家族を巻き込んで実行してみたり、リストアップする時間を前もって決めておいたり、書き出すためのメモ帳やペンはすぐに取り出せるようにしておいたりすると、習慣化もしやすくなるでしょう。
次回は、「幸福優位 7つの法則」の4番目の法則である「再起力」についてご紹介していきます。
まとめ
- 物事のポジティブな面を自然と見られるようにするには、ポジティブなことに注目する反復練習が必要です。それを始める一番の方法は、毎日のよいことのリストアップ、といわれています
- 1日に5分間、今日起こったよいことを3つ書き出すことを1週間続けた人は、エクササイズをやめた後も6カ月間、幸福度・楽観性が高いことがわかりました。毎日のよいことのリストアップは、脳の配線に重大な効果を及ぼし、自然とよい面にも目を向けられるようになるのです
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