勉強会主催の みなみ です。
『幸福優位 7つの法則』を通して、心理学の新しい分野である「ポジティブ心理学」とは何か、 ポジティブ感情を高めて幸福になるにはどうすればいいかについて、続けてご紹介しています。
今回はその15回目です。
幸福優位7つの法則 仕事も人生も充実させるハーバード式最新成功理論
記事の内容を動画でも紹介しています
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ストレス、抑うつが起こりやすくなる…家庭で生じる「負のテトリス効果」とは?
『幸福優位 7つの法則』は、ハーバード大学のポジティブ心理学者 ショーン・エイカー氏によって書かれました。
エイカー氏のポジティブ心理学に関する研究によって、人は幸福感が高いほど、能力が最大限 発揮されて、自己成長も促され、結果的にものごとがうまくいくこと-幸福優位性(ハピネス・アドバンテージ)-が発見されました。
ではその幸福優位性の恩恵を十分に得るには、どうすればいいのでしょうか。
エイカー氏はそのための法則を7つにまとめて教えられています。
3番目の法則「テトリス効果」について、続けてお話ししています。
テトリス効果とは、テトリスをやり続けると、どこを見てもテトリスのブロックに見えてしまう現象をいいます。
これは、テトリスの長時間のプレイによって脳の中の配線が変化し、新しい認識パターンがつくられたことに起因する、といわれています。
このテトリス効果はビデオゲームに限らず、家庭や職場でも起こり得ます。
家庭や職場でのテトリス効果とは、悪いところや相手の欠点ばかりが目についてしまう状態のことです。
多くの時間を書類の誤りや間違い、証言の矛盾を探すことに使っている税理士や弁護士の方が、特にこの負のテトリス効果に陥りやすい、といわれています。
誤りや問題点を見つける能力が高いほど、仕事の成功につながります。しかし仕事と家庭とを区別し、習慣が影響を及ぼさないようにする「コンパートメント」ができないと、人間関係が蝕まれ、ストレスや抑うつを感じやすくなるのです。
ただ、テトリス効果は不都合であるばかりではなく、ポジティブな面を探すように脳の配線を変えることも可能であり、それができれば気力もわき、人間関係もより良いものになっていきます。
ではどうすればテトリス効果から恩恵を得ることができるのでしょうか。そのためにまず知っておきたい脳の構造・メカニズムを、前回は紹介しました。
前回の記事はこちら
今回は、前回に加えて脳の「見ようと思うものしか目に入らない」メカニズム、そして、物事のポジティブな面を見ることで得られる恩恵をお話ししていきます。
注意しなければ見えているものも見えなくなる?「非注意性盲目」の影響
意識はしていなくても、脳は非常に多くの情報に注目している、といわれています。
しかし処理すべき情報はあまりに多いため、脳には情報処理のためのフィルターがついています。
それによって適切な情報だけが取り出され、残りの情報は見てみながらも、なかったかのように認識しているのです。
ある研究によると、実験協力者に30秒間 違う方向を向いてもらい、次にもとのとおりに向き直ったとき、こちらのシャツが違う色に変わっていても、多くの場合、気づかないことがわかったそうです。
また 別の実験では、歩行者を路上で呼び止めて道を尋ねたとき、その人がほかの方向を向いた間に、質問者が素早く別の人とに入れ替わる、ということが行われました。
入れ替わる前の人と、別の人とは特に注意をしなくてもその違いがわかるほどでしたが、多くの人はまったく気づかずに話し続けていたそうです。
このように、注意を払っていなければ目の前のものさえ見えなくなる現象は「非注意性盲目」といわれています。
私達は実に多くのものを見逃しているのですね。
この「注意をしなければ見ているものも認識しないこと」は、「何かを見ようとすると、それがあらゆるところに見えてしまう理由でもある」といわれています。
自分が購入しようかと考えていた車が、やたら路上を走っていることに気づいたり、ある歌を一度聞くと、次に入った飲食店で突然その歌が流れてくる、という経験をしたことも多いかもしれません。
これは、急にその車を使う人が増えたわけでも、その歌の選曲率が急上昇したわけでもなく、過去に見たり聞いたりしていても、それらを認識していなかった、ということですね。
「非注意性盲目」は、二人の人が、まったく同じ状況を目撃していても違うものが見える、ということを引き起こします。
それは同じ出来事を異なって解釈した、ということだけでなく、何を見ようとしていたかによって 実際に彼らの視野には別のものが映っていた、といわれているのです。
先に紹介したように、この「見ようとしたものしか見ない」脳の仕組みによってネガティブな認識パターンが形成されていれば、良い部分が見えているにもかかわらず、悪いところしか認識できなくなってしまいます。
この状態は、職場でも家庭でも有害ですね。
ネガティブな見方が身につくと、幸福も仕事の業績も台無しになりかねません。
しかしどんな状況にあっても、常にポジティブな面を拾い上げる見方を訓練することもできる、とエイカー氏はいわれています。
ポジティブな面に注目することで得られる3つの恩恵
脳がポジティブな面に注目すると、3つの恩恵を得ることができる、と指摘されています。
1つ目は幸福感が高まり、仕事の成果が上がり、周囲との関係もうまくいくことです。
2つ目は「感謝」です。ポジティブな面を見出すほど、私達は感謝の気持ちを覚えます。
感謝の気持ちを抱き、それを常に忘れない人は、より活発で、自制心が高まって感情をコントロールでき、寛容になって、抑うつ的になりにくいことが、数多くの研究で証明されているそうです。
幸せだから感謝の気持ちを抱くのではなく、感謝は幸福感を高める要因である、とも指摘されています。
その証拠として、感謝の気持ちを持つような訓練を数週間行ったところ、それをしなかった人たちに比べ、幸福感が上がり、人とのつながりも感じられるようになり、精神的にも肉体的にも健康になったこともわかっているそうです。
3つ目は「楽観的になる」です。
脳がポジティブな事柄を多く拾い上げるほど、いいことが続くと思って、ますます楽観的になることができます。
楽観的な人は悲観的な人に比べて、より多くの困難な目標を立て、その目標を達成するために多くの努力を注ぎ込み、ゆえに障害を比較的簡単に乗り越えることが実証されているそうです。
これらの能力は、厳しい状況のもとでも高い業績を上げ、良好な人間関係を維持するには不可欠といえるでしょう。
次回は、自分の脳を具体的にどのように訓練することで ポジティブな面にも注目できるようになるのか、その方法をお話ししていきます。
まとめ
- 人の脳は適切な情報だけを取り出し、残りの情報は無視されます。そのため注意をしていなければ、目の前のものさえ見ていないことになる(非注意性盲目)のです。この脳の仕組みによってネガティブな認識パターンがつくられると、有害な影響が出てきます
- 訓練次第で、常にポジティブな面を拾い上げることも可能である、といわれています。ポジティブな面を見出すことで、幸福になり、感謝の気持ちを抱けるようになり、楽観的にもなれるという、主にこの3つの恩恵が得られます
続きの記事はこちら
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