勉強会主催の みなみ です。
『幸福優位 7つの法則』を通して、心理学の新しい分野である「ポジティブ心理学」とは何か、
ポジティブ感情を高めて幸福になるにはどうすればいいかについて、続けてご紹介しています。
今回はその14回目です。
幸福優位7つの法則 仕事も人生も充実させるハーバード式最新成功理論
記事の内容を動画でもご紹介しています
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どこを見てもアレに見えてしまう?「テトリス効果」が生じる仕組み
『幸福優位 7つの法則』は、ハーバード大学のポジティブ心理学者 ショーン・エイカー氏によって書かれました。
エイカー氏のポジティブ心理学の研究により、人は喜びをはじめとするポジティブな感情を多く抱いているほど、成長が促され、能力も十二分に発揮されて、結果的にものごとがうまくいくこと-幸福優位性(ハピネス・アドバンテージ)-が発見されました。
ではその幸福優位性の恩恵を最大限 得るには、どうすればいいのでしょうか。
エイカー氏はそのための法則を7つにまとめて教えられています。

前回から、3番目の法則「テトリス効果」についてお話ししています。
テトリスといえば、落ちものパズルゲームの代名詞です。異なる形のブロックが上部から落ちてきて、それを動かしたり、回転させたりして、下のブロックへとはめ込んでいく。
途切れのない水平な面ができれば、その線から下が消え、爽快な気分を味わうことができます。
一度やり始めると熱中し、なかなかやめられなくなった方もいるのではないしょうか。
そのテトリスには驚くほどの中毒性があるとともに、「テトリス効果」という現象が起こることが、ハーバード・メディカルスクールの研究でわかりました。
テトリス効果とは、長時間テトリスをプレイした後で周囲を見ると、あらゆるものがテトリスのブロックの形に見えてしまうことをいいます。
これは、実際に脳の中の配線が変化し、新しい認識パターンがつくられたため、といわれています。
そしてこのテトリス効果はビデオゲームに限ったことではなく、職場や家庭でも1つのネガティブな認識パターンに支配され、ストレスを増やしたり、モチベーションが低下したり、周囲との関係が悪化したりする可能性があるのです。
前回は、職場での「負のテトリス効果」がもたらす悪影響についてお話ししました。
前回の記事はこちら

家庭に持ち込まれる「負のテトリス効果」の悪影響
家庭に「負のテトリス効果」を特にもたらしやすい職業として、エイカー氏は税理士と弁護士を挙げています。


税理士の方は、毎日何時間も、税金の書類に目を通して、間違いを探すということをされていますね。
その間に、脳には「間違いを探す配線」ができあがります。
それによって仕事は非常によくできるようになるものの、誤りや過ちを探すという習慣が、生活の他の部分にも影響し始めてくるのです。
テトリスをやり過ぎて、どこを見てもテトリスのブロックに見えてしまうように、仕事以外のところでも悪い箇所ばかりが目につくようになります。
家に帰れば、たとえば
- 子供の成績表のCばかりに目が行き、Aは目に入らない
- ステーキが完璧な焼き具合であることには気づかず、野菜が固いことだけが気になる
- パートナーの心遣いに気づかず、できていないところばかりを問題にする
といったことが起こります。これでは気分はいつまでもよくなりませんし、人間関係も悪化させてしまいますね。
弁護士の方もまた同じです。
議論や証言の中に間違いはないかと注意し、さまざまな事例に矛盾点はないかと探すことに熟練しているゆえ、家庭においても相手の誤りを見つけ、批判をしがちになってしまいます。
このような欠点ばかりを探すマインドセットでは、抑うつやストレスが生じやすくなり、健康も害してしまいかねません。
実際に、弁護士がうつ病にかかる割合は、他の職業に比べて3.6倍も高いことがわかっており、この「負のテトリス効果」が理由の1つと見られています。
誤りや問題点を見つける能力・習慣は、仕事を成功させるために欠かせない能力であり、必要なものです。
しかしそれが仕事以外の領域でも発揮されてしまうと、悪影響が広がり、人間関係も蝕まれてしまいます。
このような現象は税理士や弁護士に限らず、どんな職業でもいえることですね。ついつい欠点やできていないところばかりに目が行き、相手に感謝を伝えるどころか、責めたり、皮肉を言ったりしたことは誰しもにある経験でしょう。
これが「負のテトリス効果」の本質、といわれています。
ポジティブ面を探すように脳を変えることもできる!テトリス効果の利点
ここまで聞かれると、テトリス効果はなんて悪い現象なんだ、と思われるかもしれません。
しかしテトリス効果は必ずしも不都合なわけではありません。
人生のポジティブな面を探すように脳の配線を変化させることも可能です。それができれば、さまざまな可能性が見えてきて、気力がわき、優れた業績を挙げたり、人間関係を良好にしたりすることもできるのです。
そのための第一歩して紹介されているのが、脳の構造・メカニズムの理解することです。
私達は日々、絶え間なく多くのことに関心を払うことを要求されている、といわれています。意識はしていなくても、脳は非常に多くの情報に注目しているそうです。
しかし脳が処理すべきことはあまりにも多いため、脳には情報処理のためのフィルターがついており、適切な情報だけが通るようになっています(「選択的注意」といわれています)。
ちょうど、スパムメールのみをブロックするフィルターと同じようなものです。
悪意あるメールや不要なメールはゴミ箱へ分類、もしくは削除され、私達は適切なメールだけにアクセスできるように、脳の中でも入ってくる情報が自動で分類されているのですね。

科学者によると、私達は入ってくる情報のうち、およそ100分の1しか覚えていない、といわれています。残りはなかったものとされるのです。
すべての情報は処理できないゆえ、脳のフィルターは欠かせないものですが、この脳の機能は完全には信用できないともいわれています。
それは、仮にポジティブな情報が無視されるような設定となれば、機会損失となるからです。
実際に、目の前の見えているはずのものも、フィルターの設定次第で、あたかもなかったように認識してしまうことがあるのです。
次回は、脳の「見ようと思うものしか目に入らない」メカニズムと、物事のポジティブな面に注目することで得られる恩恵をご紹介していきます。
まとめ
- 1つのパターンでしか物事を認識できない現象は「テトリス効果」と呼ばれています。特に間違いばかりを探してしまう認識パターンは「負のテトリス効果」といわれ、それが家庭に持ち込まれると、人間関係の悪化を招いてしまいます
- 特に「負のテトリス効果」が家庭に持ち込まれやすいのが税理士・弁護士の方です。しかしそれはどの職業にも共通しています
- テトリス効果は不都合なものではなく、ポジティブな面を探すように脳の配線を変化させることも可能であり、そうなれば気力がわいて業績も上がり、相手の心遣いにも気づけるようになります
続きの記事はこちら

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