勉強会主催の みなみ です。
『幸福優位 7つの法則』を通して、心理学の新しい分野である「ポジティブ心理学」とは何か、
ポジティブ感情を高めて幸福になるにはどうすればいいかについて、続けてご紹介しています。
今回はその7回目です。
幸福優位7つの法則 仕事も人生も充実させるハーバード式最新成功理論
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ポジティブ心理学研究で新たにわかった、成功と幸福との意外な関係
『幸福優位 7つの法則』は、ポジティブ心理学者のショーン・エイカー氏によって書かれたものです。
エイカー氏は、ハーバード大学で講師を勤め、人気講師第1位にも選ばれたことがありました。
現在は、コンサルティング会社を立ち上げられ、世界有数の企業でコンサルティング、講演をされています。
そのエイカー氏の研究で明らかになった、幸福に関する新しい事実が「幸福優位性(ハピネス・アドバンテージ)」です。
幸福優位性とは、人は何かに成功して幸せになるのではなく、幸福であるからこそ、持ちうるさまざまな能力が発揮され、自己成長も促進され、結果的にものごとがうまくいく、
幸福が中心にあって、成功はその周りを回っている、ということです。
それまで持たれていた「成功して初めて幸福になる。成功の前の幸福は甘えだ、せいたく品だ。成功するには、歯を食いしばって苦しみに耐えなければならない」というのは誤った信条であり、真実はその正反対だったのです。
ではその幸福優位性を最大限生かすには、どうすればいいのでしょうか。エイカー氏はそのための法則を7つにまとめて教えられています。
- 幸福優位 7つの法則
- ハピネス・アドバンテージ
- 心のレバレッジ化
- テトリス効果
- 再起力
- ゾロ・サークル
- 20秒ルール
- ソーシャルへの投資
前回から、2番目の法則「心のレバレッジ化」についてお話ししています。
レバレッジとは“てこの作用によって生み出させる力”のこと、
てこを長くして支点をずらすことで、てこが生み出す力を高めることが可能となります。
実は人間の脳も、この てこの原理と同じであるといわれています。
支点はマインドセット(=物の見方、考え方)、
てこの長さは、潜在能力・可能性、
レバレッジは現実を変える力と見ると、
マインドセットをポジティブに変える(支点を動かす)ことで、現実を変える力が高まり、実際に変化を起こすことができる(レバレッジが高まり、物を持ち上げることができる)のです。
マインドセットをポジティブなものに変えることで、現実の認識が変わり、幸福感が高まって能力が発揮され、現実にもポジティブな変化が生じる、
これが心のレバレッジ化です。
てこの作用とマインドセットの関係の詳細はこちら
単にマインドセットを変えただけで、本当に現実にもポジティブな変化が生じるのでしょうか。今回は、その具体例をご紹介していきます。
マインドセットを変えれば時間も巻き戻る?心の状態が及ぼす大きな力
はじめにご紹介したいのが、ハーバード大学 心理学教授 エレン・ランガー氏(エイカー氏がメンターとしている人物です)が行った実験です。
対象となったのは75歳の男性のグループで、実験は1週間かけて行われました。
男性たちには実験の目的は教えられておらず、単に1週間合宿所で暮らす、ということしか伝えられていませんでした(ただ、1959年以降の写真や新聞、雑誌、書籍などは持ってくることが禁止されていました)。
到着した男性たちには、
これから1週間、いまが1959年であると思ってください。
と、告げられたのです(実験した年は1979年でした)。
いまが20年前、1959年であるというシナリオを強化するために、
- 当時の服が用意され、その頃のようにふるまうように言われた
- 全員にその人の50代の頃の写真の入った身分証明カードが配られた
- その時代に起きたことを話すよう指示された
- テーブルの上には、1959年当時の雑誌や新聞が置かれた
などの設定がされました。
ランガー教授の目的は、75歳の男性たちのマインドセットを変える(支点を動かす)ことで、年齢という客観的な現実を変えることができるかどうか、調べることでした。
実験の結果、参加者は体力・姿勢・視力・認知能力・短期記憶で改善が見られたのです(合宿に参加する前にそれらのテストが行われており、合宿の終わりに再びテストをして、その結果が比較されました)。
身体の柔軟性が明らかに増し、視力・記憶力も平均して10%良くなり、半分以上の参加者の知的レベルが向上していたのでした(その頃の常識では、思春期を過ぎてから知的レベルが向上することはありえないと思われていました)。
さらには外見さえも変わっていたのです。
合宿の前と後で、無作為に選んだ人たちに、男性たちの写真を見せて年齢を当ててもらったところ、平均して3歳若く見られることがわかったのでした。
ランガー教授の狙い通り、「自分はいま、55歳だ」というマインドセットによって現実の認識が変わり、それまでの常識では考えられなかった心身のポジティブな変化が実際に生じたのですね。
エイカー氏はこの実験結果を受けて、「心の状態が及ぼす力がいかに大きいかを示す画期的な発見と言える」と指摘されています。
「現実」は私達の見方に大きく依存しており、私たちの多くが思っているより、はるかに融通の利くもの、心の持ちようを変えれば現実をコントロールする力は飛躍的に大きくなり、実際に常識では難しいとされる変化さえも起こるのですね。
ではなぜこのようにマインドセットを変えるだけで、幸福感が高まって健康になり、見た目さえも若くなるのでしょうか。
それは偶然の重なり合い、例外的に起こったというわけでなく、神経科学の面から実際にその効果が認められているのです。
それはどのような効果なのでしょうか、どのようなメカニズムなのでしょうか。
次回は、神経科学者 マーセル・キンズボーン博士が説明している「期待効果」について詳しくご紹介していきます。
まとめ
- ポジティブ心理学の研究で明らかになったのが幸福優位性です。幸福であるからこそ能力が最大限発揮されて、ものごとがうまくいき、成功することが可能となるのです
- マインドセット(物事の見方・考え方)を変えれば、現実の認識が変わり、実際に変化が生じます。エレン・ランガー教授の実験により、ポジティブなマインドセットを持てば、起こり得ないと考えられてきた心身のポジティブな変化が起こり、さらには外見さえも変わることがわかりました。心の状態が現実に及ぼす力は非常に大きいのです
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