勉強会主催の みなみ です。
『ポジティブな人だけがうまくいく“3:1の法則”』を通して、心理学の新しい分野である「ポジティブ心理学」について続けてお話ししています。
今回はその9回目です。
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ポジティブ心理学の新事実-ポジティブとネガティブの理想的な比率は?
『ポジティブな人だけがうまくいく“3:1の法則”』は、バーバラ・フレドリクソン氏(ノースカロライナ大学教授)によって書かれた、ポジティブ心理学における新事実が述べられている本です。
それは、ポジティブ感情(=ポジティビティ)のネガティブ感情(=ネガティビティ)の比(P/N)が3を超えるとき、
個人でもチームでも、知的・社会的・身体的なリソースが形成され、視野も広がり、生産性も向上し、周囲との関係も良くなる、というものです。
感覚的な言葉でいえば、「いろいろとうまくいく」状態になるということですね。
しかしほとんどの人のポジティビティ比は3を下回ってしまうため、ポジティビティの恩恵を受けるには、それを高める努力が必要になります。
ポジティビティ比を高める方法として、
分母を下げる(過剰なネガティビティを減らす)方法(=認知行動療法)、
分子を上げる(ポジティビティを増やす)代表的な方法(=恵まれた点を数える、親切を意識して行う)
をご紹介してきました。
前回(分子を上げる代表的な方法)の記事はこちら

今回は、代表的なもの以外で、より簡単にポジティビティ比を高める方法をお話ししていきます。
簡単にできる!ポジティビティ比を高める いろいろな方法
ポジティビティ比を高める方法① メディア・ダイエット
まず、ネガティビティを減らす方法として、「メディア・ダイエット」です。
それは、テレビやSNSなどのメディアを見る時間を減らす、というものです。
ある調査で、「テレビを見る時間が長いほど、世界は暴力で満ちていると考えている」ことがわかっています。
テレビを見るほど、「世界は危険なところ、恐ろしいところ」というネガティブなイメージが大きくなってしまうのですね。
さらに、2000人近くを対象にしたSNSのアンケートで、「利用時間が短い人と比べ、1日中SNSを利用していると答えた人は、うつ病になるリスクが1.7倍だった」こと、
また「Facebookの利用が増えれば増えるほど、幸福感は低下した」ことがわかったのです。
メディアがネガティビティを増幅させたり、ポジティブな感情を低下させたりするのは、なぜなのでしょうか?
メディアは、家庭や学校が教えるよりはるかに強力に、何を期待するべきか、何が「ふつう」なのかを人々に教えようとします。
とくに若者は、「自分はその立場に達していない」などと簡単に思い込んでしまいます。
これが恥の感情を作り出し、仲間との交流を困難にし、日々の楽しみを奪うのです。
(『ポジティブな人だけがうまくいく“3:1の法則”』より引用)
メディアは、「これがふつう」「こうあるべき」「遅れてはいけない」というイメージを植えつけようとします(商品を買わせたり、サービスを利用させたり、ある種の思想を持たせたり、という目的のため)。
すると、周囲からどう見られているかに特に敏感な若い人は、そのイメージとのギャップを感じ、「こうでなければならない。それなのに自分は…」と、焦りや自己嫌悪で苦しんでしまうのですね。
そこで、メディアが生み出す「ふつう」は「ふつうではない」と割り切り、過剰にその影響を受けないことで、自己信頼感が損なわれるのを防ぐことができるのです。
ポジティビティ比を高める方法② 自然とのつながりを持つ
割と簡単にポジティブ感情を上げる方法として、自然と触れる、自然とつながりを持つ、という方法があります。
ある実験で、天候のよいときに20分以上、戸外で過ごした人にはポジティビティの上昇が見られた、ということがわかりました。
天気の良い日は、積極的に外に出て気分転換をしたほうが、その後の仕事や話し合いでも良い結果を得ることができるのですね。
ポジティビティ比を高める方法③ ポジティビティ・ポートフォリオ(作品集)をつくる
ほかにも、それを見てポジティブな気持ちになるようなポートフォリオ(作品集)をつくることが勧められています。
実際にフレドリクソン教授もポートフォリオを作成し、その中には
- 2人の幼い息子と夫の写真
- 20世紀初めのフランスの作家 マルセル・プルーストの言葉を書いた紙
- 家族が親密なときを過ごす居間のソファの写真
- チンパンジーのカップルがお互いに毛づくろいをしている写真
が入っているそうです。
このポートフォリオから効果について、フレドリクソン教授はこう語っています。
このポートフォリオを見るたびに、
「もっと休みをとろう」
「職場や出張先からもっと家に電話をしよう」
「家族をもっと抱きしめよう」と思うのです。
そして心が広がる感覚を覚え、さらに充実した生き方をしようと力がわいてきます。
(『ポジティブな人だけがうまくいく“3:1の法則”』より引用)
作品集を見るたびに大切なことを思い出し、心が広がり、より充実した生き方につながるのですね。
ポイントは、ポートフォリオは固定せず、更新していくことです。
同じものを見ていては、どうしてもマンネリ化してしまい、効果がどんどん薄らいでしまいます。
1カ月に1度などの割合でなど、頻度を無理のない範囲で決めていただければと思います。
今回は、より簡単にできるポジティビティ比を高める方法をお話ししました。
最後となる次回は、私たちの根本に関わる恒常的なポジティビティ比の高め方をご紹介します。
まとめ
- より簡単にできるポジティビティ比を高める方法には、以下の3つがあります
- テレビやSNSなどのメディアを見る時間を減らす「メディア・ダイエット」(メディアを見るほど、それらが期待するイメージと自分とのギャップを感じて、焦りや自己嫌悪が生まれる)
- 天気のいい日には外に出て時間を過ごす「自然とのつながりを持つ」
- それを見ると幸せな気分になれる「ポジティビティ・ポートフォリオ(作品集)をつくる」
続きの記事はこちら

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