3/31(土)レポート 人間の“根源的な欲求”とは?-アドラー心理学に学ぶ 承認欲求との向き合い方1

勉強会主催の みなみ です。

3月31日の勉強会には初めての方5名を含む、9名の方にご参加いただきました^^

目黒川沿いは桜も散り始めていましたが、休日ということもあり大勢の見物客がいてかなり混雑していました(>_<)
その人混みをかき分けて多くの方にご参加いただき、嬉しく思います(^^)

本を読むのは好きなものの、それだけでは納得できない、腑に落ちないところがあり、話し合うことでもっと理解を深めたい、と参加された方がいました。
おっしゃる通り、自分一人で理解しようと思っても、こういう理解でいいのかどうか、モヤモヤとした気持ちになることはありますよね。

私自身も勉強会という場でお話しし、フィードバックをいただくことで、かなり理解を深められたと実感しています。

参加者同士でのディスカッションも多く取り入れ、お互いに理解を深められる場をつくっていきたいと改めて思いました^^

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アドラー心理学で教えられる「人間の悩みのすべて」の元は?

今回のテーマは、
ブッダとアドラーから学ぶ「悩みを解消する“承認欲求との向き合い方”
でした。

記事の内容を動画でもご紹介しています

ベストセラー『嫌われる勇気』によりアドラー心理学が多くの人に知られるようになったことで、“承認欲求”という言葉もより多く聞かれるようになったと思います。

承認欲求とは、「人から認められたい、ほめられたい」という欲求のことですね。

アドラー心理学では

人間の悩みはすべて対人関係の悩みである

と教えられています。

そのなかでも、「人から認められなくて苦しい」と、“承認欲求”が満たされなくて悩んでいる人は多いのではないでしょうか。

「誰からも認められない… こんな自分に価値はあるのだろうか…」と落ち込んでいる人もいれば、
「こんなにがんばっているに認められないなんて! あー、イライラする!」と怒りを感じている人もいると思います。

それらの不安、イライラの根底にあるのは承認欲求が満たされないことでしょう。

そんな承認欲求とどう向き合っていけばよいのでしょうか?

承認欲求との適切な向き合い方について、ご紹介していきます。

アドラー心理学にみる、人間の根源的な欲求とは?

まず、人間の根源的な欲求とは何か、を考えていきましょう。

食欲や物欲、自己顕示欲など、人間にはいろいろな欲求がありますが、それらの欲求の根源にあるものは何だと思いますか?

人間の根源的な欲求は、アドラー心理学では「所属感」といわれます。

所属感とは、

共同体の中で「私はここにいてもいいんだ」と思えること

をいいます。

共同体とは、広くいえば社会全体ですが、その一部である職場や学校、さらには家族や友人関係なども共同体に含まれます。

その共同体の中で「私はここにいてもいいんだ」と思えること、それが所属感です。

所属感が得られていればとても安心でき、幸せを感じられますよね。
反対に、共同体のなかで「別に居なくてもいい存在」であれば、悲しい気持ちになるでしょう。

どんな人も、人から必要とされたい、大切にされたい、と思うのではないでしょうか。

このように、所属感が人間の根源的な欲求といわれると「確かにそうだな」と実感されると思います。
ただ、所属感が人間の根源的な欲求といわれるのには、明確な理由があるのです。

それは、人間の赤ちゃんと、他の動物の生まれたての子供の決定的な違いを知ることで見えてきます。

人間の赤ちゃんと、他の動物の生まれたての子供(たとえば、生まれたての子犬)との決定的な違いとは何でしょうか?

人間の赤ちゃんと、他の動物の赤ちゃんとの決定的な違い

人間の小さな赤ちゃんと他の動物の生まれたての子供との違いについて、アドラー心理学のパイオニアである野田俊作さんはこのように語っています。

人間の赤ちゃんは早産なんです

本当は、二〇か月ぐらいお腹の中にいて産まれてきてくれると、普通の動物並みなんです。

そしたらお母さんも楽ですよ。

(『アドラー心理学を語る3 劣等感と人間関係』野田俊作著 より引用)

他の動物の子供、たとえば子犬などは、生まれてからほどなくして自分の力で立てるようになります。

対して人間の赤ちゃんは早産であり、立つことはできません。それどころかしばらく経たないとハイハイさえもできませんね。

このような違いがあることで、以下のような意識の違いも生まれてくると野田さんは語っています。

ものすごい早産で産まれてくるものだから、親が完全に保護してやらないと生きていけない。

一日放ったらかしていたら死にますね。

そこで小さい赤ちゃんは、人に保護を受けないと生きていけないんだと、ものすごく小さいときから感じ、何とかして他の人とつながりを持っておかないと大変だというように思うんです

その結果、生まれながらに持っている生存の本能より、人とつながりを持つ本能「所属の本能」のほうが強くなっている。

(『アドラー心理学を語る3 劣等感と人間関係』野田俊作著 より引用)

小さい赤ちゃんは放ったらかされてしまったら、生きていくことはできません。
他の動物以上に保護されないと生きていけないので、他の人とつながりが絶たれることをより恐れ、つながりを持つことへの強い意識が生まれます。

よって「生存の本能」より「所属の本能」のほうが強くなるので、所属感が人間の根源的な欲求であるといえるのですね

このように「所属の本能」が強くなることは生きていく上で不可欠なのですが、それによる弊害も出てくるのです。

その弊害とは何か。次回、お話ししていきます。

まとめ

  • 「人から認められたい、ほめられたい」という承認欲求と適切に向き合うときに知っておきたいのが、人間の根源的な欲求とは何か、ということです
  • アドラー心理学では、人間の根源的な欲求は「所属感」と教えられています。所属感とは、共同体の中で「私はここにいてもいいんだ」と思えることです
  • 所属感が根源的な欲求といわれるのは、人は生まれたとき、親に保護してもらわなければ生きていけないため、周りとつながっておかないと大変だと思うようになり、「生存の本能」より「所属の本能」のほうが強くなったからなのです

続きの記事はこちら

4/26(木)レポート 強くなり過ぎた“所属の本能”の弊害-アドラー心理学に学ぶ 承認欲求との向き合い方2
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引用した書籍

劣等感と人間関係 (アドラー心理学を語る3)

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この記事を書いた人
南 雄一郎

2011年 金沢大学工学部 卒業

大学では機械工学を専攻するなか、悩み解消のヒントや生きる指針を教える仏教に強い関心を持ち、仏教講演会に多数参加しました。

また大学卒業後は仏教と親和性のある心理学にも興味を持ち、独学で学びました。

現在は東京都内でライターをしながら、対人関係の悩みを解消し、自立した生き方の実現を目的とした 仏教×心理学のワークショップを開催しています。

自主開催のワークショップは累計750回以上。

2018年 新潟県キャリアセンター様主催 キャリアコンサルタント フォローアップセミナーにて講師をつとめました。

NPC法人HMC協会 認定心理カウンセラー(セルフ資格) 。

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