習得型のマインドセットになれる“フレーミング”の技術-ブッダと社会心理学に学ぶ 目標達成の効果的なアプローチ法5

ワークショップ主催の みなみ です。

ベストセラー『やってのける』(ハイディ・グラント・ハルバーソン コロンビア大学心理学博士 著)を参考に、途中で挫折せずに目標を達成するにはどうすればいいか、その適切なアプローチ法をご紹介しています。

やってのける~意志力を使わずに自分を動かす~

前回まで、目標達成に対する考え方(=マインドセット)には大きく分けて2つあることと、それぞれの特長をご紹介してきました。

マインドセットの1つ目は「証明型」です。

証明型のマインドセットは、調子の良いときは高いパフォーマンスを発揮できるという特長はあるものの、高い壁に直面してしまうと目標達成をあきらめやすいというデメリットがあります。

対するのは「習得型」のマインドセットです。

習得型は、「自分の価値=自己成長(+他者への貢献感)」という考えが根底にあるため、

「困難に直面しても投げ出さない」
「過程も楽しめる」
「自立のための支援を求める」
「幸福感が得やすい」

という、証明型にはないさまざま特長があります。

ゆえに目標を達成し、幸福感を得るには、「習得型」のマインドセットが有効であるといえるのです。

では、証明型のマインドセットの人が「習得型のマインドセットになりたい」と思ったならどうすればいいのでしょうか?
マインドセットを変えるのは無理なことなのでしょうか?

実はそんなことはなく、『やってのける』にはマインドセットを習得型にするのに有効な方法が紹介されています。
仏教との関わりも交えて、ご紹介していきます。

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「習得型の目標」で、マインドセットを切り替える

習得型の人間になるために有効な方法は、「習得型の目標を持つ」ことです。

証明型の目標は

  • 有名になる
  • 権力を得る
  • 自己イメージを飾り立てる

などがありました。これらを達成すれば一時的に満足ができたように思いますが、基本的な欲求が満たされていないため、継続して幸福感は得ることができません。

また、いったんうまくいかなくなると、投げ出してしまう可能性が高いです。

対して習得型の目標には、

  • 個人的な成長
  • 社会に貢献する
  • 人を支援する

などがあります。

勉強に関する習得型の目標でいえば「〇〇点取って合格しなければ意味がない」ではなく、「これとこれが理解できるようにしよう」、

仕事での習得型の目標なら「〇〇件、成約しなければダメな社員だ」ではなく、「相手を喜ばせることに尽力しよう」など、

自分がどれだけ成長できたか、どれくらい周りへ貢献・支援ができたかに重きを置いているので、困難に直面としたしても、むしろそれを自己成長の機会と捉えて、より一層がんばることができるのです

このように目標そのものを習得型に切り替えることで、目標達成に向けて着実に進むことができるのですね。

しかし自分は習得型の目標でがんばりたいと思っても、周りから証明型の目標を課されることはよくあります。

たとえば、営業の仕事をしている人で、「自分はお客様の満足度を高めることを目標にしたい」と思っていたとします。

けれど上司からは「今月中に、これだけのノルマを達成せよ」といわれると、習得型の目標を設定するのは難しいよう思います。

そんなときはどうすればいいのでしょうか?

証明型の目標を習得型に変える「フレーミング」のスキル

証明型の目標を課せられたときに有効なのが「フレーミング」という技術です。

フレーミングは、「考え方の『フレーム(枠組み)』を変える」ということですね。

先ほどの、営業をノルマを課せられた例でいえば、

「ノルマを達成できなければ、ダメ人間」と考えるのではなく、

これだけのノルマを達成するということは「営業スキルを身につけられる機会だ」「お客さんを支援できる機会だ」と捉えることがフレーミングです。

このように捉えることで、ノルマ達成とは別に、「これだけ自分のスキルを身につけられた」「お客さんのために動けた」と考えて、自分の価値を感じられるようになるでしょう。

そうなれば、ノルマが達成できない時期が続いても、必要以上に自分を追い詰めることもなくなります。

このフレーミングを行ったことで、実際に自分の仕事のスキルも向上させられ、また周りにも貢献できたビジネスマンがいます。

次回はそのビジネスマンのエピソードを詳しくご紹介します。

まとめ

  • 目標達成に関するマインドセットは「証明型」「習得型」の2つに大きく分かれます。習得型は「自分の価値=自己成長+他者への貢献」という考えが根底にあるため、困難に直面しても投げ出しづらく、証明型の人より長期的な目標を達成しやすい、という利点があります
  • 習得型の人間になるために有効なのは「習得型の目標を持つ」ことです。個人的な成長や、社会・人にどれくらい貢献できたかに焦点を置くことで、壁にぶつかってもそれを成長の機会と捉え、一層がんばることができます
  • 証明型の目標を課せられたときは、フレーミング(枠組みを変える)することで、習得型の価値観のまま目標達成に向かえます(例:〇〇件のノルマをこなす→お客さんに貢献できる機会をもらえた)

続きの記事はこちら

“フレーミング”に助けられたビジネスマン-ブッダと社会心理学に学ぶ 目標達成の効果的なアプローチ法6
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コンテンツブッダと社会心理学
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この記事を書いた人
南 雄一郎

2011年 金沢大学工学部 卒業

大学では機械工学を専攻するなか、悩み解消のヒントや生きる指針を教える仏教に強い関心を持ち、仏教講演会に多数参加しました。

また大学卒業後は仏教と親和性のある心理学にも興味を持ち、独学で学びました。

現在は東京都内でライターをしながら、対人関係の悩みを解消し、自立した生き方の実現を目的とした 仏教×心理学のワークショップを開催しています。

自主開催のワークショップは累計750回以上。

2018年 新潟県キャリアセンター様主催 キャリアコンサルタント フォローアップセミナーにて講師をつとめました。

NPC法人HMC協会 認定心理カウンセラー(セルフ資格) 。

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