勉強会主催の みなみ です。
今回のワークショップには初めての方3名を含む、5名の方にご参加いただきました。
今回は小・中学校で先生をされている方や、社長さんなど、普段はなかなかお話しする機会の少ない職種の方とお話しでき、学ばせていただくことも多かったと感じます^^
ワークショップ中にも深く考えさせられるご質問もいただき、より刺激をいただくことができました。
今回の学びを、今後にもぜひ活かしていきたいと思います。
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感情は行動の原因ではない?アドラー心理学からみる、感情のメカニズム
今日のテーマは、
「アドラー心理学に学ぶ 対人関係を円滑にする“横の関係”の築き方」
についてでした。
アドラー心理学では、対人関係のあり方を「縦の関係」と「横の関係」とに分け、「横の関係」を築いてこそ、相手に対してネガティブな感情を抱くことなく、対人関係を良いものにすることができる、といわれています。
ではどうすれば横の関係を築くことができるのか? そのメソッドを順にご紹介しています。
前回は、そもそも感情とはどういうものかについてお話ししました。
前回の記事はこちら
感情について、アドラー心理学のパイオニアでもあり、精神科医の野田俊作さんは
感情というのは、行動の原因ではなくて、目的を達成するための手段なんです。
(『劣等感と人間関係 (アドラー心理学を語る3)』より引用)
といわれています。
ふつうは、「こんなことやってはいけないとわかっていたけれど、感情を抑えることができずにやってしまった」と思われるでしょう。
しかしアドラー心理学では、感情というのはその行動の原因ではなく、目的を達成するための手段、目的を達成するためにつくり出しているもの、と言われているのですね。
これはどういうことかについて、前回ご紹介したのとは違った例を取り上げ、お話しします。
大声で怒鳴ったのは怒りの感情のせいではない?アドラー心理学の見解とは
「感情は行動の原因ではなく、目的を達成するための手段」ということについて、『嫌われる勇気』の中にわかりやすく解説している例があります。
『嫌われる勇気』は、哲人と青年との対話形式でアドラー心理学について解説をされている、アドラーブームの火付け役となったベストセラーですね。
その例は、青年が喫茶店でコーヒーを注文したときの話です。
その際に店員さんが、注文したコーヒーを誤って青年にこぼしてしまったのです!
すると青年はキレて、店員さんに罵声を浴びせた、ということがありました。
みなさんにも、故意ではなかったとして店員さんに失礼な対応を受け、思わず怒鳴ったしまった、そういうご経験があるかもしれません。
その出来事について、青年はこう語っています。
これはどう考えても「原因」ありきの行動でしょう?
だって、あまりに突発的な出来事でしたからね。
考えるよりも先に声が出てしまったのです。
(『嫌われる勇気』より引用)
青年の主張は、共感できる方がほとんどだと思います。感情が先にあって、それが抑えきれなくなって大声を上げてしまった、ということですね。
ところが哲人はそれに対して、こう言われています。
あなたは「怒りに駆られて、大声を出した」のではない。
ひとえに「大声を出すために、怒った」のです。
つまり、大声を出すという目的をかなえるために、怒りの感情をつくりあげたのです。
(『嫌われる勇気』より引用)
大声を出すために怒ったのであり、そのために怒りの感情がつくられた。この発言に青年は驚き、とても認めようとはしませんでしたが、
「目的を達成するための手段として、感情をつくり上げている」
これがアドラー心理学の見解(目的論といわれます)なのですね。
「相手を支配したい、好きなようにしたい」という目的が先にあり、それを達成するための手段として感情をつくり出している、
感情的になれば、相手を従えやすいですし、「感情的になっていたから仕方なかったんだ」と言い訳もできる、ということなのです。
怒りの感情を露わにした後で、「あのときの自分は自分ではなかった」という人がいますが、あのときの自分の感情・行動も自分の意思でつくり出していた、ということなのですね。
なかなか受け入れ難い考え方かもしれませんが、この目的論にもとづけば、「相手を支配したい、好きなようにしたい」という目的を変えれば、そもそも感情的になる必要はなく、ネガティブな感情で苦しまなくてもよくなる、ともいえるのです。
次回は、怒りの感情が沸き起こるもう1つの側面をお話ししていきます。
まとめ
- アドラー心理学では対人関係のあり方に「縦の関係」「横の関係」があると教えられています。横の関係を築いてこそ、感情で相手を押さえつける必要はなくなり、対人は良好になり得ます
- アドラー心理学で感情は、行動の原因ではなく、目的を達成するための手段といわれています。感情を抑えられずにやったのではなく、相手を支配するために感情をつくり出したと教えられるのです
- 『嫌われる勇気』では感情に関して、「怒りに駆られて、大声を出した」のではなく、「大声を出すという目的をかなえるために、怒りの感情をつくりあげた」と説明されています。感情的なほうが相手を従えやすくて便利だから、そのために感情を生み出しているのです
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引用した書籍
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