ワークショップ主催の みなみ です。
ベストセラー『やってのける』(ハイディ・グラント・ハルバーソン コロンビア大学心理学博士 著)を参考にさせていただき、「目標達成のアプローチ法」について少しずつご紹介しています。
いかに途中で投げ出すことなく、目標達成に向かえるのか。一緒に学んでいきましょう。
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目標に対する2つのマインドセットと「習得型」の利点
目標についての考え方(=マインドセット)には、大きく2種類あります。
1つが「証明型」、もう1つが「習得型」のマインドセットです。
「証明型」の人は、比較的簡単なことをしていて波に乗っているときは、高いパフォーマンスを発揮できるという利点があります。その反面、難関に直面すると落ち込みやすく、あきらめやすいというデメリットがあります。
対して「習得型」は自己成長や他者貢献に焦点を当てているため、困難にぶつかっても落ち込みにくく、モチベーションが維持しやすい。また過程から楽しみを見出だせるという利点があるのです。
さらに前回は、「習得型」の人は自律的な支援を求めるので自己成長しやすく、目標達成に近づきやすいことをお話ししました。
前回の記事はこちら
今回は、習得型の4つ目の特長である「幸福感を得やすい」を掘り下げてお話しします。
人間の基本的な3つの欲求とは?
なぜ習得型のマインドセットの人は幸福感を得やすいといえるのでしょうか?
それは、人間の基本的な欲求は何か、を考えるとわかってきます。
アメリカの心理学者であるエドワード・デシ氏は、人間の基本的な欲求を
- 関係性
- 有能感
- 自律性
の3つであると提唱しました(これは「自己決定理論」といい、有力な説だといわれています)。
それぞれどんな欲求なのか、見ていきましょう。
①関係性
他者と深く結びつき、互いに尊重し合う関係を築きたいという欲求のことです。
②有能感
周囲への影響力を持ちたい。そのために知性や能力、技術を得たいという欲求です。
③自律性
自らの行動を選びたい、主体的に対象に関わりたいという欲求のことをいいます。
以上の3つの欲求が満たされているかどうかで、幸福感が決まるのです。
他者と良い関係で結びついていて、かつ他者へ貢献できる能力や技術も持っており、さらに自らの意思で動いているときに、大きな幸福感が得られる、ということですね。
では、どんな目標を持てば、これらの3つの欲求が満たされ、幸福感を得やすいのでしょうか?
基本的欲求を満たす目標、満たさない目標
基本的な欲求を満たす目標は、
- 個人的な成長ができる(有能感)
- 社会に貢献する(関係性)
- 人を支援する(関係性)
などが挙げられます(自らの意思で動いているのが前提ですね)。
反対に、基本的な欲求を満たさない目標は、
- 有名になる
- 権力を得る
- 自己イメージを飾り立てる
などでしょう。
有名になったり権力を得たりすれば、一時的には満足できたように思いますが、関係性が満たされていないために、心からの満足は得られないのですね。
自己イメージを飾り立てるだけでは、有能感も得られないでしょう。また、相手の出方をうかがう必要もあるため、自律性にも欠けてしまいますね。
そうなると、習得型の人は、他者への貢献や自己成長に意義を感じ、その意義にもとづいた目標を立てるため、幸福感を得やすいといえます。
反対に証明型の人は、自分が周りから認められるかを重視するため、基本的な欲求が満たされにくく、幸福感が得にくいのですね。
これが習得型の4つ目の特長です。
ここまで読んでいただくと、目標を達成し、かつ幸福感を得るうえで「習得型」のマインドセットがいかに有効かが、おわかりになると思います。
もともと習得型のマインドセットを持っている方はそれでいいのですが、証明型のマインドセットの人が「習得型のマインドセットになって、長期的な努力が必要な目標も達成したい」と思ったときにはどうすればいいのでしょうか?
それについて、習得型のマインドセットになるための有効な方法があります。
次回はそのことを詳しくお話ししていきます。
まとめ
- 目標についてのマインドセットには、「証明型」と「習得型」があります。「習得型」は自己成長・他者貢献にフォーカスしているため、モチベーションが維持しやすく、長期的な目標を達成しやすいです
- 習得型の人は、人間の基本的な欲求を満たせる目標を立てるため、幸福感を得やすいという利点もあります。人間の基本的な欲求とは以下の3つです(エドワード・デシ氏が提唱した自己決定理論より)
- 関係性(他者と深く結びつき、尊重し合いたい)
- 有能感(周囲への影響力を持ちたい、そのための力を得たい)
- 自律性(自ら行動を選びたい)
続きの記事はこちら
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