9/27(木)レポート ポジティブ感情は何の役に立つのか?「拡張-形成理論」による明確な答え-ブッダとポジティブ心理学に学ぶ“3:1の法則”1

勉強会主催の みなみ です。

9月の中頃まではまだまだ暑いと感じていましたが、最近、急に冷え込んできましたね。季節の変わり目なので、体調には特に気をつけていきたいです。

周りでは調子を悪くされている方も増えてきましたが、今回のワークショップには初めての方1名を含む、6名の方にご参加いただきました。
みなさん予定通り参加されて、よかったです。

今回はワークショップのテーマは、初めてお話しする「3:1の法則」についてでした。

それに関連して、「ポジティブ感情は何の役に立つか?」ということについてディスカッションをしました。

なんとなく良いもの、というイメージがあると思いますが、何に役立つか聞かれると、自信をもってこうだ、とはなかなか言えないですよね。

心理学的なアプローチからそれが明らかになっていますので、これからみなさんと理解を深めていきたいと思います。

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ポジティブ心理学にみる、「3:1の法則」とは?

今回のテーマは、
ブッダとポジティブ心理学に学ぶ「人生がうまくいく“3:1の法則”」
についてでした。

「3:1の法則」とはいったい何のことなのか?

それが明らかにされているのが、『ポジティブな人だけがうまくいく”3:1の法則』という本です。

ポジティブな人だけがうまくいく3:1の法則

この本は、ノースカロライナ大学のバーバラ・フレドリクソン心理学教授によって書かれたものです。

3:1というのはポジティブ感情(ポジティビティ)と、ネガティブ感情(ネガティビティ)の理想的な割合を表しています。

この数字から、多くのポジティビティが理想的な人生には必要だ、ということがわかりますね(ではネガティビティは無くしたほうがいいかというと、そうではないのです。3:0ではないですね。その理由も今後、お話ししていきます)。

ではなぜポジティビティは人生にそれほど必要なのでしょうか。何の役に立つのでしょうか。

それについてフレドリクソン教授は「拡張-形成理論」を提唱しています。

「拡張-形成理論」と聞くと難しそうにも思いますが、本ではわかりやすく解説されています。

長年の難題「太古の時代、ポジティブ感情は何の役に立っていたのか?」

発端は、太古の時代、ポジティブ感情は何の役に立っていたのか、という問いです。

太古の時代というと、まだ人類が狩猟や採集を行っていた時代ですね。その時代にポジティブ感情は果たして何に役立っていたのでしょうか。

ネガティブ感情を考えると、その答えはすぐに出ます。

危険が迫ったとき、不安や恐怖などのネガティブ感情が生じることで、すぐに特定の行動を取らせることができます

たとえば、サーベルタイガーに遭遇したとき、恐怖が全身をめぐることで、すぐさま逃走する、という行動を取らせ、生存へとつながります。
生き延びるうえでネガティブ感情は不可欠だったとわかりますね。

ではポジティブ感情はいったい何に役立っていたのでしょうか。

危険な場面でポジティブ感情がネガティブ感情を上回れば、わざと危険を大きくさせる行動を取ってしまい、命が脅かされかねません。生き延びるためにはむしろ不要なのでは?とさえ思いますね。

しかし、いまなおその感情が受け継がれているということは、やはり何か重要な意味を持っているといえます。

この問いへの明確な答えが出せず、長年の研究者の難題となっていたのです。

それに答えを出したのが、フレドリクソン教授の「拡張-形成理論」だったのですね。

ポジティブ感情の重大な働きとは?

ではポジティブ感情にはどんな意味があるのか。フレドリクソン教授はこう語っています。

私の提唱した説は次のような内容です。

ネガティブ感情は、「何ができるか?」と考える思考の範囲を狭くしてしまいますが、ポジティブ感情は、それを広げる働きをする

さまざまな考え方や行動に目を開かせるのです

(『ポジティブな人だけがうまくいく 3 : 1 の法則』より引用)

ポジティブ感情は思考の幅を広げ、今までには思いもつかなかった、考えの及ばなかった思考や行動に目が行き、身につけられるようになる、ということです。

危険に遭遇したときにはもちろんネガティブ感情が必要になります。
しかしいくら太古の時代とはいえ、常に危険と隣り合わせ、とまではならないはずです(現代に比べれば圧倒的に危険ではあるものの)。

そのときにはむしろポジティブ感情があることで、生き延びるための画期的を方法を思いつき、それを身につけることができた、ということなのですね。

 

次回はさらにこの「拡張-形成理論」を掘り下げるとともに、現代を生きる私たちにとって重要なことは何かをお話ししていきます。

まとめ

  • 人生において、さかのぼれば太古の時代において、なぜポジティブ感情(=ポジティビティ)が必要であるかを提唱されたのが、バーバラ・フレドリクソン教授の「拡張-形成理論」です
  • ネガティブな感情は危険が迫ったときにすぐに特定の行動を取らせることで、生存に大きな役割を果たしていたとされます。しかしポジティブ感情がいったい何の役に立つかについては長年の難題となっていました
  • それに対してフレドリクソン教授は、ポジティブ感情には視野や思考の幅を広げて、さまざまな考え・行動に目を開かせるという働きがある、といわれています。ポジティブ感情の作用で生き延びるための画期的な方法が思いつき、それを身につけることで、生存がより可能となったのです

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この記事を書いた人
南 雄一郎

2011年 金沢大学工学部 卒業

大学では機械工学を専攻するなか、悩み解消のヒントや生きる指針を教える仏教に強い関心を持ち、仏教講演会に多数参加しました。

また大学卒業後は仏教と親和性のある心理学にも興味を持ち、独学で学びました。

現在は東京都内でライターをしながら、対人関係の悩みを解消し、自立した生き方の実現を目的とした 仏教×心理学のワークショップを開催しています。

自主開催のワークショップは累計750回以上。

2018年 新潟県キャリアセンター様主催 キャリアコンサルタント フォローアップセミナーにて講師をつとめました。

NPC法人HMC協会 認定心理カウンセラー(セルフ資格) 。

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