ワークショップ主催の みなみ です。
ベストセラー書『自分の価値を最大にする ハーバードの心理学講義』を通して、幸福度を高める主体的な生き方をご紹介しています。
今回は7回目です。
スポンサーリンク
「運命は自分でコントロールできる」自己解決型のデメリットとは?
『ハーバードの心理学講義』は、ハーバード大学のブライアン・R・リトル教授によって書かれた、「パーソナリティ心理学」についての本です。
「パーソナリティ心理学」は、
- 私達のパーソナリティ(=性格)はどのような因子から分類されるか
- パーソナリティの形成に影響を与えているものとは何か
- パーソナリティと幸福度(=ウェルビーイング)とはどのような関係があるのか
を解明している、比較的新しい 心理学の分野です。
前回は、運命についての信念である「自己解決型(運命は自分でコントロールできる、という考え方)」にはさまざまメリットがあり、それが幸福感を上げる一方、致命的なデメリットもあることをお話ししました。
前回の記事はこちら
そのデメリットとは、突如としてコントロール感を奪われてしまったとき、幸福度や健康状態が著しく悪化してしまう、というものです。
※事前に訪問日を知らせていた介護施設入居者への訪問が突然なくなったとき、その入居者は、訪問日を知らされていなかった入居者に比べ、健康や幸福に著しい減少が見られ、死亡率が高まったという結果が出ています
「そんな、突然コントロール感を奪われることなど、ほとんどない」と思われるかもしれませんが、運命への見方を一変させる出来事というのは、誰にでも十分に起こり得ます。
実際にリトル教授にもまったく予想していなかったことが起こり、人生観が訂正させられたのです。
今回はそれについて詳しく見ていきます。
リトル教授の人生観を揺るがした、非日常的体験とは?
コントロール感を失うほどの出来事。
もちろん、できれば経験したくはないですし、生じてほしくないのですが、残念ながらどんな人にも起こる可能性があります。
たとえば、
- 事故で子どもを亡くす
- 信頼していた人から裏切られる
- 離婚
- 自然災害が降りかかる
などがあります。
これらの大きな壁にぶつかったとき、無力さに襲われ落胆し、立ち直るにはかなりの時間を要することでしょう。ショックが大きく、元の状態まで立ち直れるかもわかりません。
実は著者のリトル教授にも、これまでの運命への考え方を大きく揺るがす出来事が起きました。
なんとリトル教授のもとに“脅迫状”が届いたのです。
それは
「クリスマスに義理の兄からリボルバーをもらった。あんたのビーズのような小さな両目の間に銃弾を打ち込んでやる」
というものでした。
リトル教授は、はじめは冗談だと思い、むしろ「ビーズのような目」と揶揄されたことのほうが気になったほどでしたが、脅迫状にあったクリスマスが近づくにつれて疑心暗鬼に陥り、恐れの感情で苦しまれるようになったのです。
不幸中の幸いで、予告時期になってもリトル教授が襲われることはありませんでした。
しかしリトル教授がこの事件から受けた衝撃は非常に大きなものであり、それをこのように語っています。
この事件をきっかけにして、私のコントロール感覚は、断固した自己解決型のものから、偶発性や複雑性を含んだものに変化しました。
つまり私は、事前にボタンがダミーでないかどうかを慎重にチェックすることを学んだのです。
(『ハーバードの心理学講義』より引用)
それまでの自己解決型のみの信念から、
自己解決型がベースにありながらも、そのコントロール感を絶対だとは思わない。事前にボタンがダミーであるかどうかをチェックする、コントロール感を失う事態も想定する、という考え方に変わったのです。
最悪の事態への想定が、いざというときに落ち着きを与える
「命は自分で変えられる」と思うこと、運命へのコントロール感を持つことは、目標を達成したり、ストレスをうまく抑制したりすることには非常に有効です。
しかしリトル教授が体験から語られたように、最悪の事態を想定し、備えをしておくことで、コントロール感を突如して奪う出来事が起きたときにも落ち着いて対処ができるようになります。
反対にこれが抜けていると、心が折られ、身体の健康にさえ害が及んでしまう可能性があるのですね。人生そのものにとっての致命傷にもなりかねません。
では自己解決型のデメリットを克服するには、具体的にどうすればいいのでしょうか?
それについて、仏教の観点から次回、詳しくお話ししていきます。
まとめ
- 運命についての信念である「自己解決型(運命は自分でコントロールできる、という考え)」にはさまざまなメリットがある一方、突如としてコントロール感が奪われてしまったとき、幸福度や健康状態が急激に悪化する、というデメリットがあります
- パーソナリティ心理学者のブライアン・リトル教授も、脅迫状が届いたことで、コントロール感が著しく無くなり、運命の信念の訂正をせざるを得なくなりました
- 自己解決型をベースとしながらも、最悪の事態、コントロール感が失われる事態を想定することで、どのような出来事も冷静に対処することが可能になります
続きの記事はこちら
スポンサーリンク