勉強会主催の みなみ です。
最近、暖かくなったと思ったら、今日は冷え込みましたね。冷たい雨も降りましたので、体調にはくれぐれもお気をつけください。
天候不順のなかでしたが、今回のワークショップには初めての方3名を含む、9名の方にご参加いただきました!
今回は「与えることで大きな成功をつかむ人(=ギバー)になるためにどうすればいいのか」というテーマで参加者の方にディスカッションしていただいたり、それに関するご質問をいただいたりしました。
ディスカッションも盛り上がったように感じ、よかったで^^
またご質問をいただいたことで、より深くお話をすることができ、こちらもありがたかったです。
ギバーとしての正しい心がけ、少しでも日常に役立てていただければ幸いに思います。
記事の内容を動画でもご紹介しています
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与える人?奪う人?最も成功している人のタイプとは
今回の勉強会のテーマは、
ブッダと行動心理学から学ぶ「人間の3つのタイプと、GIVEの精神」
についてでした。
このテーマのワークショップでは、『GIVE&TAKE』という本の内容をメインにお話ししています。
GIVE & TAKE 「与える人」こそ成功する時代 (単行本)
この本は、ペンシルベニア大学ウォートン校の教授 アダム・グラント氏によって書かれたものです。
グラント教授は3万人以上を対象に、「与える」行為と社会的な成功との関連を調査・研究されました。
この調査では、人のタイプが3つに分類されています。それはギバー、テイカー、マッチャーです。
ギバーは「受け取る以上に与える人」、
テイカーは「与えるより多く受け取ろうとする人」、
最後のマッチャーは「与えることと受け取ることのバランスを取ろうとする人」のことです。
このなかで、最も成功から遠い位置にいるのはギバーであることがわかりました。
ギバーは営業成績も芳しくなく、学生でいえば学業成績もふるわず、エンジニアなら生産性も低かったのです。
さらに犯罪の被害者になるリスクも2倍という、泣きっ面に蜂のような結果が出てしまいました。
与えることの素晴らしさを心理学実験から証明できることを予想したグラント教授は、その結果に落胆することになります。
しかし話はここで終わりません。
実は最も成功している人たちもまたギバーであることがわかったのです。
高い営業成績を取って会社に利益をもたらしている社員、最高の成績を収めた学生、生産性の最も高いエンジニアはいずれもギバーであったのですね。
なぜ同じギバーであるのに、成功についてこれほどの差が生まれたのでしょうか?
それは、実はギバーに2通りあるからだったのです。
成功から最も離れているのが「自己犠牲型のギバー」、
逆に最も成功しているのが「他者志向性のギバー」であり、同じように受け取るより多くを与えていながら、明確な違いがあったのです。
ではどうすれば自己犠牲的になるのを防ぎ、他者志向性のギバーとなれるのか? その具体的な方法をご紹介しています。
自己犠牲的にならないポイントの1つが、相手のタイプを見極めて、それに応じた適切な対応をする、ということでした。
このことは、仏教で教えられていることとも共通しています。
仏教を説かれたお釈迦様も「施しをするとき(与えるとき)には相手を選びなさい」と教えられている、ということを前回はご紹介しました。
前回の記事はこちら
今回は、施しをすべき相手とはどんな人かをお話ししていきます。
施しをすべき相手とは?仏教で説かれる「三田」
お釈迦様が教えられる施しをすべき相手とは「三田(さんでん)」でした。あるいは福の字を加えて「三福田(さんぷくでん)」ともいわれます。
なぜ田んぼに例えられているのかというと、施しをするほど、それらは巡り巡って自分のもとに素晴らしい結果となって返ってくるから、でしたね。
「情けは人のためならず」ということですが、これはよく誤解されていることわざの1つです。
人に情けをかけること(親切にすること)は、結果としてその人のためにならない、という意味で理解されている方も多いと思います(文化庁の調査では約半数がその意味で理解されていました)。
しかし本来の意味は、人への情け(親切)は、巡り巡って結局は自分のためになる、素晴らしい結果が自分に起こる、ということです。
人が喜ばれる行動をすることで、結果として自分が恵まれることになるのですね。
ただ、誰でも彼でも与えるのではなく、お釈迦様は「三田」に施しをすることを勧められています。
その三田とは、
- 敬田(きょうでん)
- 恩田(おんでん)
- 悲田(ひでん)
です。
①敬田
敬田とは、尊敬できる人、多くの人の喜びや幸せのために施されたものを使う人のことです。
施したものが悪用されれば、せっかくの施しが台無しになってしまいます。
より大きな貢献、幸せに使われるような、知恵のある人に施しをしていきましょう。
②恩田
恩田は、恩を多く受けている、ゆえにその恩に報いるべき人のことです。
仏教では「恩」ということが特に大事なものとして教えられています。
恩は「原“因”を知る“心”」と分けることができますね。
いまの自分があるのは、さまざま人の支えあればこそ。それらの支えなしに一人でこれまで生きてきた、ということはあり得ませんね。
そのように原因を知ることで恩を感じ、「その恩に報いよう。恩ある人が喜ばれるような、幸せな気持ちになられるようなことをしよう」という思いにもなるでしょう。
その恩に報いる行いは、行いをしたその人自身にも素晴らしい結果となって返ってくると教えられています。
このこととは反対に、多くの恩を受けている身でありながら「恩知らず」であってはならない、とも仏教では教えられています。
まして、恩を仇で返すようなことをすれば、その人自身に悪果が起き、苦しむことになるでしょう。
③悲田
悲田は、非常に貧しい人や病気で苦しまれている人、災害に遭われて苦悩されている人など、哀れみを受けるべき人のことです。
被災地に行って支援活動をしたり、義援金を送ったり、身体の不自由な人のお世話をしたりすることもまた、立派な施しとなるのですね。
ぜひ三田への施し、親切を心がけてみてください。実行されるほど、自分自身が喜びで満たされるでしょう。
次回は、自己犠牲型のギバーと他者志向性のギバーの、もう1つの違いをご紹介していきます。
まとめ
- 組織心理学者 アダム・グラント氏は、人間を「ギバー・テイカー・マッチャー」の3タイプに分類されました。このなかで、最も成功しているのも、最も成功から離れているのもギバーだとわかったのです
- ギバーが成功において両極端に分かれるのは、「他者志向性」のギバーと「自己犠牲型」のギバーの2通りがあるからです。最も成功から遠い自己犠牲型のギバーにならないためには、相手のタイプを見極め、それに応じた振る舞いが求められます
- 仏教を説かれたお釈迦様も、与えることを勧められた上で、施しをすべき相手も教えられています。それが三田(三福田)です。三田は以下の3人を指します
- 敬田-尊敬できる人、多くの人の喜びや幸せのために施されたものを使える人
- 恩田-恩を多く受けている、ゆえにその恩に報いるべき人(恩知らずであってはならない、と仏教では戒められています)
- 悲田-哀れみを受けるべき人
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