11/4(月・祝)レポート 他人の人生を生きることの問題点は?他人の評価は“あてにならない”という実態-アドラー心理学に学ぶ“嫌われる勇気”を発揮する方法3

勉強会主催の南です。

今回の勉強会には、初めての方3名を含む、9名の方にご参加いただきました。

今日は久しぶりの午前中の開催であり、来られる方がいるか不安でしたが(^^;) 前日に続いて多くの方にご参加いただき、嬉しく思います^^

心理学に関心がある、という方のみならず、

「言いたいことがなかなか言えず、対人関係で悩んでいる」
「人の目を気にしてしまいがち」

と、今回のテーマである「嫌われる勇気」をぜひ持ちたいと思ってご参加される方もいました。

勉強会の内容が少しでも日常で役立ち、悩みの解決の一助になれば幸いに思います。

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なぜ他人の評価を気にしてしまうのか?根底にあるのは“所属の本能”

今回のテーマは
ブッダとアドラー心理学に学ぶ「“嫌われる勇気”を発揮する方法
についてでした。

“嫌われる勇気”は、アドラー心理学のベストセラー書のタイトルですね。

嫌われる勇気―――自己啓発の源流「アドラー」の教え

発売から5年以上経ちますが、今現在も売れ続け、翻訳も進み、世界で見れば発行部数500万部を超えているそうです。

なぜここほど注目され、読まれている方が多いかといえば、それだけ他人の目が気になり、対人関係に悩んでいる人が多いからだと感じます。

対人関係でもっと自由になりたい、そのための勇気がほしいというニーズとまさに合致したのですね。

では具体的にどうすれば嫌われる勇気を発揮して、対人関係で自由になることができるのでしょうか?

ワークショップでは、以下の3つのステップにして、そのための方法をご紹介しています。

  1. 他人の評価を気にしてしまう理由を知る
  2. 他人の評価のために生きる問題点を知る
  3. 勇気を持つ具体的な方法を知る

前回の記事では、1つ目のステップ「他人の評価を気にしてしまう理由を知る」についてお話ししました。

前回の記事はこちら

6/6(木)レポート なぜ他人の評価を気にしてしまうのか?“人間の根源的な欲求”からわかるその理由-アドラー心理学に学ぶ“嫌われる勇気”を発揮する方法2
勉強会主催の南です。 今回の勉強会には、初めての方5名を含む、9名の方にご参加いただきました。 平日夜の開催ながら、初めての方にも多く来ていただき、非常に嬉しく...

アドラー心理学では、人間の根源的な欲求は「所属感」であると教えられています。所属感とは、「共同体のなかで、『私はここにいてもいいんだ』と思えること」を指します。

確かに「ここにいてもいいんだ」と思えれば安心でき、心地よさを感じますね。

ただ、なぜそれが“根源的な”欲求とまでいわれるのでしょう?

それは、人間は生まれたばかりのころは1人で生きることができず、周りに養ってもらわねばなりません。放っておかれたら、1日たりとも生きていけない。
生きるには、周りに自分の存在をアピールして、注目してもらい、周囲とのつながりを得ておく必要があります。

ゆえに人間は「周りとつながっていたい。見捨てられたなら大変だ」という所属の本能が、生存の本能より強くなった。ゆえに所属感を根源的な欲求といわれているのですね。

所属の本能と、生存の本能の関係

この所属感が満たされないと精神的に不安定になるので、私たちは「他人から嫌われたくない」と思い、他人からの承認を望み、他人のことを気にして生きるようになるのです。

それは「他人の人生を生きる」ということであり、他人志向の生き方ですね。

この他人の人生を生きる、他人の評価のために生きることには問題点があると指摘されています。

その問題点とは何でしょうか?
今回は、2つ目のステップ「他人の評価のために生きる問題点を知る」についてお話ししていきます。

他人の評価のために生きることの問題点は?他人の評価は“あてにならない”という実態

他人の評価のために生きることの問題点として、「他人の評価は絶対的なのか?」ということが挙げられます。

絶対的な他人の評価は、ありませんね。他人の評価は、その時々の都合で変化してしまうものです。

アニメのキャラクターにもなった、室町時代の禅僧・一休宗純は

今日ほめて 明日悪く言う 人の口 泣くも笑うも ウソの世の中

と、他人の評価の実態をズバリと突いています。

今日ほめられても、都合が変われば明日には悪く言われる、それが人の口(他人の評価)であるから、他人の評価に一喜一憂するのは浅はかだと言っているのですね。

いくら好感度の高かった人でも、不祥事が発覚すれば、たちまち周囲からバッシングを受けて、評価が地に落ちてしまいます。
いかに他人の評価は一貫しておらず、信頼できないものかがわかりますね。

もし他人の評価を自己評価として捉えていれば、自己評価も不安定になり、精神的に苦しくなってしまうでしょう

「こんなふうに評価されているから、私はダメな人間だ」
「あの人にこんなことを言われたから、もう何もする気が起きない」
(あるいは逆のパターンとして)「周りからよい人間だと認められているのだから、期待に応えなくてはならない。何としても成功させなければならない」
「もし失敗でもしようものなら、失望されて、見捨てられるかもしれない」

と精神的に苦しい状態が続いて、心理的な障害をも抱えかねないのですね。

他人の評価のために生きることの問題点

これが、他人の評価にために生きることの問題点なのです。

他人志向の生き方は、相手に依存している生き方であり、他人の評価を必要以上に気にし、自分の思いも告げることができず、それは生きづらい人生となってしまうでしょう。

 

この他人志向とは反対の生き方が、内面志向の生き方です。
内面志向とは、心が内面に向いているということであり、他人に価値を決められるのではなく、自分で自分の価値を決めている状態のことです。

依存的な生き方に対して、自立した生き方ともいえます。この自立した生き方こそ、アドラー心理学の目標とされているのです。

では、内面志向の生き方、自立を実現させるにはどうすればいいのでしょうか。

それについては次回、お話ししていきます。

まとめ

  • 他者の評価に過敏にならず、嫌われる勇気を発揮して生きていくにはどうすればいいのか。そのための方法を、以下の3つのステップにして紹介しています
    1. 他人の評価を気にしてしまう理由を知る
    2. 他人の評価のために生きる問題点を知る
    3. 勇気を持つ具体的な方法を知る
  • 人間は生まれた時の過程で、「周囲とのつながりを得たい、見捨てられたら大変だ」という所属の本能が生存の本能より強くなったため、所属感(自分はここにいてもいいんだ、と安心したい)が根源的な欲求になった、といわれています
  • 私達の多くは所属感を得ようと、他者から承認、評価を与えられようとします。しかし他者からの評価はその時々の相手の都合で変化し、一貫してしていません。ゆえに他人の評価を自己評価として捉えると、自己評価も不安定になり、生きづらくなってしまうのです
  • 他人のために生きる他人志向の生き方は相手に依存した生き方であり、やがては精神的に苦しくなるのに対して、内面志向の生き方は、自分で自分の価値を決定する自立した生き方です

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この記事を書いた人
南 雄一郎

2011年 金沢大学工学部 卒業

大学では機械工学を専攻するなか、悩み解消のヒントや生きる指針を教える仏教に強い関心を持ち、仏教講演会に多数参加しました。

また大学卒業後は仏教と親和性のある心理学にも興味を持ち、独学で学びました。

現在は東京都内でライターをしながら、対人関係の悩みを解消し、自立した生き方の実現を目的とした 仏教×心理学のワークショップを開催しています。

自主開催のワークショップは累計850回以上。

2018年 新潟県キャリアセンター様主催 キャリアコンサルタント フォローアップセミナーにて講師をつとめました。

NPC法人HMC協会 認定心理カウンセラー(セルフ資格) 。

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