勉強会主催の みなみ です。
今回のワークショップには初めての方5名を含む、10名の方にご参加いただきました。
初めての方も多く来られて新たな交流の時間を多く持つこともできて、よかったです^^
ワークショップ終了後も質問をいただき、お答えすることで自分の理解もより深められて、良い機会をいただけました。
ある参加者の方からは「心理学と仏教に共通点があることに驚きました」とご感想をいただき、仏教への関心も持たれたことを嬉しく思いました(^^)
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言いたいことがあっても言えない理由とは?
今回は、
ブッダとアドラー心理学に学ぶ「即実践的 悩みの解決法」
というテーマでお話ししました。
このテーマのワークショップでは、アドラー心理学について書かれた『人生を変える勇気』の内容を参考にしてお話ししています。
人生を変える勇気 – 踏み出せない時のアドラー心理学 (中公新書ラクレ)
著者は、発売から6年で累計200万部発刊された『嫌われる勇気』で知られる岸見一郎さんです。
『人生を変える勇気』には、老若男女から寄せられた具体的な悩みについて、アドラー心理学の観点からどのように考え、行動すればいいかが紹介されています。
続けてお話ししているのが、20代の男性からの、職場の上司との関係についての悩みです。
男性はこのように言われています。
仕事そのものは楽しいし、やりがいがあるのに、上司との関係がうまくいっていません。
朝、目覚めた時から憂鬱で、またあの上司に叱責されるのかと思うと、職場に向かう足取りが重くなってしまいます。
上司との関係がうまくいっておらず、それは朝から憂鬱で、職場に向かう足取りが重くなるほど。
仕事をやめるべきか、
続けていくなら上司とは今後、どのように接していけば悩まずに済むか、ということが聞かれたいのだと思います。
みなさんなら、どのように答えられるでしょうか?
岸見さんは、職場では「誰が」言っているかでなく、「何を」言っているのかが優先されるべきといわれています。
たとえ上司が言ったことであっても誤りであるならば、それには反論すべきであり、権威を振りかざして部下を恐れさせるという上司の「屈折した承認欲求」を満たすいわれはないのですね。
しかしいざ反論しようとすると、「そんな反論なんてとてもできない」と思われるかもしれません。
前回は、反論しようと思って心にブレーキをかけてしまうメカニズムをお話ししました。
前回の記事はこちら
反論したくても、できないと思い込んでしまう…。反論できないのはなぜなのでしょうか。
それについて岸見さんは、
「もしも部下が上司の間違いを指摘しないとすれば、後に仕事がうまくいかなかった時に上司のせいにして自分の責任を免れたいからです」
と言及されています。
仕事がうまくいかなかったときに、「上司のせいでこうなった、上司の通りにしたからうまくいかなかった」と言いたいから、言い訳ができるから、反論をしないのですね。
けれど、言い訳したい、人のせいにしたいと思っていては、たとえその上司がいなくなっても、あるいは別の職場に行ったとしても、また「やっぱりうまくいかなかったのはこれのせいだ」と別のことを言い訳にしてしまうでしょう。
では責任を引き受け、反論する勇気を持つにはどうすればいいのでしょうか?
責任を引き受け“反論する勇気”を持つ方法-結末を予測する
責任を引き受けるための方法として「結末の予測」があります。
これはカウンセリングの手法として使われていますが、自分への勇気づけとしても非常に有効です。
結末の予測は「いままでやってきたことを続けると、どうなるのかを検討すること」です。
結末を予測することで、「このままの状態では良くない。これは行動を起こさなくては!」と勇気を持つことができるのですね。
この男性の場合でいえば、「反論をしなければこの先どうなるのか?」と行く末を考えると、
- 理不尽な目に遭い続けて、憂鬱な朝を迎え続ける
- 上司を恨み続ける、そのために時間が使われる
などの未来が予測されますね。
そうなると「このまま憂鬱な朝を迎え続けるのは避けたい。上司を恨むことに時間を使うなんて、いやだ」と思い、反論してその結果を引き受ける勇気が湧いてくるでしょう。
これは反論するかどうかに限らず、やらねばならないのに先延ばししていることに取り組んだり、やめたいと思っているのにやめられない行動を回避したりすることに役立ちます。
ぜひ日常で使ってみてください。
「結末の予測」をより細かくした手法として「10-10-10(テン・テン・テン)」というものもあります(アメリカのジャーナリスト スージー・ウェルチ氏が提唱)。
「10-10-10」とは、
- この選択をしたら10分後に自分はどう変わるのか
- この決断をしたら10か月後に後悔しないかどうか
- この道に進んだら10年後に自分は幸せになっているかどうか
を考えなさい、というものです。
このように未来を想像することで、より適切な判断、選択、行動ができるようになるのですね。
上手に反論するには?
また、実際に反論するときには、
- 相手の事情を考える
- 自分の事情、感情を話す
- 何をしてほしいか(してほしくないか)、明確に伝える
- 反論を聞いてくれたことに感謝する
というポイントを押さえることで、上手に反論することができます。
一方的に相手を責めたり、自己弁護したりしていては対人関係にマイナスになります。
相手の事情を考慮した上で、「私には〇〇という事情があって、✕✕はできません。今回は、△△してもらえないでしょうか」と伝えてみるのがおすすめです。
責任を引き受け、反論をする勇気を持つことのほかに、もう1つ、対人関係を改善するための大切な視点があります。
次回はその点についてお話ししていきます。
まとめ
- 反論をしないのは、責任を回避したいから、うまくいかなかったときに言い訳ができるからです
- 反論をする勇気を持つには、“結末を予測する”ことです。そうすると「このままではいけない、何かを変えよう」とする勇気が持てます
- 上手に反論するには、一方的に相手を責めるのではなく、相手の事情に配慮し、自分の感情・考えを伝え、はっきりと要求することです
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