勉強会主催の みなみ です。
ポジティブ心理学について解説された『幸せがずっと続く12の行動習慣』を通して、
- どうすれば幸福感が長続きするのか
- 長期的な幸福感を実現させる行動習慣とはどんなものか
をご紹介しています。
こちらの本は、カルフォニア大学リバーサイド校の心理学教授 ソニア・リュボミアスキー氏によって書かれました。
リュボミアスキー教授は、幸福について研究している心理学の分野(ポジティブ心理学)で最も注目されている人物の一人です。
そのリュボミアスキー教授が知人の心理学者とともに、何千人を対象とした研究にもとづいて「12の行動習慣」に長期的に幸福感を高める効果がある、と実証されました。
その研究結果の詳細が『幸せがずっと続く12の行動習慣』に書かれています。
具体的な行動習慣を知る前に押さえておきたいのが、そもそも幸福感は何によって決まるのか、ということです。
リュボミアスキー教授らの研究によって、幸福を決定する要素は
- 遺伝
- 環境
- 行動
の3つとわかりました。
前回は、3つの要素のうち、遺伝と環境について詳しくお話ししました。
前回の記事はこちら

これら3つの要素に関して、さらに注目すべきはその割合です。
はじめの遺伝によって決まる幸福感の割合は50%といわれています。
体重やコレステロール値と同様に、幸福にも設定値があり、遺伝によって元々の幸福感が高い人もいれば、落ち込みやすい人もいるのです。
一説によると、日本人は、幸福ホルモンの1つであるセロトニンを運ぶ遺伝子「セロトニントランスポーター」が欧米人と比べて少ないため、特に不安を感じやすい民族だそうです。
次の環境による割合は、幸福感の10%しか占めない、といわれています。
環境というのは、たとえば
裕福か貧乏か、
健康か病気を患っているか、
器量がいいか、人並みか、
既婚者か独身か、離婚経験者か、
などによる違いです。
これらの違いは、私たちの経験的には、幸福感の10%を大きく超えるほどの影響があるのではないかと感じます。
なぜわずか10%の影響しかないのでしょうか。
それは人間の能力と関係があるのです。
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環境の、幸福感への影響が少ない理由とは?
環境が変わっても、さほど幸福感が高まらない理由として、「快楽順応」という強力な力が作用しているから、といわれています。
「快楽順応」とは、人間は知覚の変化や生理学的な変化に、驚くほどすばやく慣れることを指します。
人間は周囲の変化にすばやく適応するため、転勤や結婚、転職などによって環境が大きく変化しても、それらがもたらす幸福度の高揚は一時的であり、やがては慣れがきて、幸福感は落ち着いていくのです。
実際に、結婚後に夫婦が前よりも幸福に感じる期間は 2 年、という調査結果も出ているそうです。
結婚してからしばらくは、それだけで幸せを感じられるのですが、なにもしないでいればその高揚感は元の状態に戻ってしまうのですね。
裕福についても、このような結果が出ています。
792人の富裕層を調査した結果、「富があってもより幸せになることはなかった」と半数以上の人が証言しています。
そして資産が1000万ドル以上ある人の3分の1が、「お金は問題を解決するよりも問題をもたらすものだ」と答えたのです。
どれほどの富を持っていたとしても、それは必ずしも長期的な幸福にはつながらず(少なくとも富裕層の半数)、それどころかお金は問題をもたらすとさえ言われているのです。
快楽順応が、いかに強力な作用かがわかります。
ではなぜ快楽順応は生じるのでしょうか。
快楽順応はなぜ生じるのか?-際限なく広がる欲望
それは、人間の願望や欲望は際限なく広がっていくから、といわれています。
たとえば、前に住んでいた家よりも大きな家を買えたとします。家を買えてからしばらくは、以前よりも幸せな気持ちになるでしょう。
しかし時間が経つとそれが当たり前になってきて、隣に自分の家よりも大きな家が建ったり、友人宅を訪問して、自分の家よりも広々したところを目の当たりにしたりすると、いまの自分の家よりももっと大きな家がほしくなるでしょう。
これは家だけでなく、他の財産や、地位や名声でも同じですね。それらが得られた直後は嬉しく、大きな喜びをともないますが、その満足感も長くは続かないのですね。
このように私たちの願望や欲望は無限に広がっていくため、現状に慣れていき、やがては満足感も不満に変わってしまうのだとわかります。
これが、環境が幸福度の10%にしか影響しない理由でした。
幸福感を高める最大の鍵は「日々の意図的な行動」
そして、3つ目の要素の行動が占める割合は40%ですね。
40%という割合をどう見るかは人によると思いますが、リュボミアスキー氏はこの割合は十分に大きいと見なされ、こう言われています。
幸福になるための最大の鍵は、
遺伝子の性質を変えること(不可能ですが)にあるのではなく、
「環境を変えること」(つまり、富や魅力を求めること)にあるのでもなく、
「私たちの日々の意図的な行動」にあるのです。
意図的に変えることができ、幸福感にも大きく影響する日々の行動こそ、幸福になるための最大の鍵といわれているのですね。
そして、幸福感という点で日々の行動を意図していない人ほど、幸福度を高める余地やチャンスがたくさんあるといえます。
さまざまな行動習慣の中でも、最も幸福な人びとの考え方や行動パターンが、リュボミアスキー氏の紹介されている12通りの行動習慣です。
その行動習慣が以下のものです。
- 感謝の気持ちを表す
- 楽観的になる
- 考えすぎない、他人と比較しない
- 親切にする
- 人間関係を育てる
- ストレスや悩みへの対抗策を練る
- 人を許す
- 熱中できる活動を増やす
- 人生の喜びを深く味わう
- 目標達成に全力を尽くす
- 内面的なものを大切にする
- 身体を大切にする-瞑想と運動
次回から、それらの行動習慣について具体的にお話ししていきます(本当は12通りご紹介できればいいのですが、ワークショップでは時間の都合上、さらに絞って6通りの行動習慣をお話ししていますので、その6つを今後、詳しく紹介していきます)。
まとめ
- 私たちの幸福感を決定する要素は、遺伝・環境・行動の3つです。遺伝が占める割合が50%であるのに対して、「裕福か、貧乏か」「健康か、病気がちか」などの環境が占める割合は10%しかありません
- 環境の占める割合が小さいのは、人間は変化に驚くほどすばやく慣れる「快楽順応」によるから、といわれています。快楽順応が生じるのは、人間の欲は際限なく広がっていき、環境による満足感もやがては不満に変わっていくからです
- 遺伝は変えることはできず、環境による満足感は一時的。ゆえに幸福の鍵は、40%の割合がある「意図的な行動」にあるといわれています。リュボミアスキー氏は、最も幸福な人びとの行動習慣から見出した、幸福感を継続させる12通りの行動習慣を紹介されています
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