勉強会主催の みなみ です。
ポジティブ心理学について解説された『幸せがずっと続く12の行動習慣』を通して、
- どうすれば幸福感が長続きするのか
- 長期的な幸福感を実現させる行動習慣とはどんなものか
をご紹介しています。
こちらの本は、ソニア・リュボミアスキー心理学教授(カルフォルニア大学リバーサイド校)によって書かれました。
リュボミアスキー教授は、ポジティブ心理学(幸福学)の研究で最も注目されている人物の一人といわれています。
リュボミアスキー教授らの、最も幸福な人たちが持っている行動習慣の調査によって、幸福感が持続する12の行動習慣が明らかになっています。
このうちの、特に実行しやすい6つの行動習慣を、このブロクでは詳しくご紹介しています。
- 感謝の気持ちを表す
- 楽観的になる
- 考えすぎない、他人と比較しない
- 親切にする
- ストレスや悩みへの対抗策を練る
- 内面的なものを大切にする
前回は5番目の行動習慣「ストレスや悩みへの対抗策を練る」についてお話ししました。
生きていれば、ストレスや苦しみ、悩みを避けることはできません。しかしそれらの困難をどう考え、どのように行動するかによって、苦しみは和らぎ、ストレスの多い中でも幸福感を得ることはできるのです。
そのストレスや苦しみへの対処法は「コーピング」と呼ばれています。
前回の記事では、大きなストレス体験にも有効とされる2つのコーピング法、
- 「書く」というプロセスを大切にする
- 悲観的な考えに反論する
をご紹介しました。
書くことは、「苦しみのなかに意味や解決策を見出だせる」「内側の重荷を外側に降ろして悩みを相対化できる」など、確実な効果がありつつ比較的簡単にできるため、特に有用なコーピングといえるでしょう。
今回は、6番目の行動習慣「内面的なものを大切にする」についてお話ししていきます。
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幸せが続く行動習慣⑥ 内面的なものを大切にする
内面的なものを大切するとは、宗教の信仰心を持つことを指します。
信仰心を持つことの恩恵について、リュボミアスキー教授はこう言われています。
トラウマとなる出来事を経験をしたあと、信仰心のある人のほうが信仰心をもたない人よりも回復状態がよく、健康で幸福を感じることが、進歩しつつある心理学によって裏づけられています。
(『幸せがずっと続く12の行動習慣』より引用)
悲嘆や挫折、苦悩という経験に対して、信仰心を持っているかどうかは、その後の健康や幸福と関係があるのだとわかります。
ほかの研究からも、信仰をもたない人と比べて、宗教活動を行う人のほうがさまざまな疾患をもちながらも長生きし、一般的に健康であることがわかっているといわれています。
例として、心臓病の大がかりな手術を受けた人が信仰から力や慰めを受けると、半年後の生存率がほぼ3倍になった、という調査結果が出ているのです。
このようなことを聞くと、「信仰している対象に、なにか病気を治すような、長生きさせる力があるとでもいうのか」といぶかる方もいると思います。
信仰している対象がもたらす、いわゆる「ご利益」というものは抜きにして、科学的な観点から信仰心自体が幸福や健康に好影響を与える理由がありますので、その理由をぜひ知っていただきたいと思います。
宗教的なものが心身の健康に恩恵をもたらす理由
①共通点の多い人が1つにまとまる
信仰心が心身の健康に恵みをもたらす理由の1つが、共通点の多い人が1つにまとまることです。
リュボミアスキー教授はこういわれています
信仰の厚い人が信仰をもたない人よりも幸せなのは、信仰によって同じような精神の持ち主や思いやりのある人との交流が生まれるという事実とおそらく関係がありそうです。
(『幸せがずっと続く12の行動習慣』より引用)
同じ信仰心を持つことで共通点ができ、それによってより相手を思いやる、豊かなコミュニケーションができるため、それによて健康状態や幸福感に良い影響が出るのですね。
共通点を持つことで、「この人を助けたい、喜んでもらいたい」という気持ちが高まることを「共通のアイデンティティの活性化」といわれています。
より深い共通点を持てば、より深いところで心の通った交流が生まれるのです。
②「すべてのことには目的がある」と感じられる
信仰心を持つことが恩恵もたらす理由の2つ目が、「すべてのことには目的がある」と感じられることです。
信仰は、日常的に感じるストレスや悩み、またトラウマ的な出来事に対しても「これは私の人生にとって価値のあること」と意味を見出す力になリ得ます。
意味を見出すことができれば、苦しみや悩みも相対化され、活力を取り戻すことができ、困難も力強く乗り越えることができるのです。
世界三大宗教の1つに挙げられる仏教には、まさに私たち人間には果たすべき大事な使命があること、人生の目的があることが教えられています。
その言葉が
天上天下 唯我独尊
です。
こちらはよく誤解されている言葉です。唯我独尊を「私一人、最も尊い、偉い」という独善的な意味で捉えている方が多いと思います。
しかし決してこれは、そのような傲慢な意味で言われたのではありません。
「我」というのは「私一人」ではなく「我々人間」ということ、
「独尊」とは「たった1つの尊い使命」ということです。
ゆえに「天上天下 唯我独尊」とは、「大宇宙で、我々人間だけが果たすことのできる、たった1つの尊い使命、大事な目的がある」と宣言された言葉なのです。
その大事な使命がわかれば、たとえ苦しみ、悩み、トラウマ的な出来事に遭ったとしても、それを乗り越える意味も見出だせて、生きる力を得ることができるのですね。
苦境や挫折を味わっても、そこに意味を見出すことができるようになる仏教の教えも、ぜひ学んでいただければと思います。
ブッダの心理学の記事はこちら
以上が、幸福感が継続する6つの行動習慣でした。
全部を一度に習慣化しようとしてもなかなか身につかず、また無理に続けようと思って面倒だと感じると、幸福感は減少してしまいます。
反対に1つでも習慣化できれば、幸福感は着実に上昇していくでしょう。
楽しく自然に感じられ、価値があると思えるものをまず1つ実践して、身につけていただければと思います。
まとめ
- 6つ目の行動習慣が「内面的なものを大切にする」、信仰心を持つことでした。信仰心を持つことで、幸福や健康がもたらされることがわかっています
- 内面的なものを大切にすることでなぜ幸福感や健康状態が良好になるのか、その理由が2つ、挙げられています
- 共通点の多い人が1つにまとまる(共通点があると、より強く思いやりを持つことができます)
- 「すべてのことには目的がある」と感じられる
- 仏教では、人間には“これ1つ果たすべき大事な使命がある”と教えられています。その言葉が「天上天下 唯我独尊」です。人生の目的がわかれば、日常的なストレス、トラウマ的な出来事にも意味を見出しやすくなります
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