勉強会主催の みなみ です。
『ポジティブな人だけがうまくいく“3:1の法則”』を通して、心理学の新しい分野である「ポジティブ心理学」について続けてお話ししています。
今回はその3回目です。
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ポジティブ感情は何に役立つ?脚光を浴びた「拡張-形成理論」
『ポジティブな人だけがうまくいく“3:1の法則”』は、ポジティブ心理学の研究で名高い、ノースカロライナ大学のバーバラ・フレドリクソン教授によって書かれた本です。
この中でフレドリクソン教授は「拡張-形成理論」について述べられています。
この理論は、ポジティブ感情に関する長年の研究者の課題に対して、明確な答えが出されたものであり、注目を浴びました。
幸せに関する他の研究論文に最もよく引用されているほどです。
長年の研究者の課題とは、
「太古の時代からなぜポジティブ感情は受け継がれてきたのか? それはいったい何の役に立っていたか?」
というものです。
それについてフレドリクソン教授は、ポジティブ感情には私達の心と精神を開放し、受容性と創造性を高めてくれる働き(=拡張)と、
精神的・社会的・知的・身体的なリソースを形成するのを促し、私達を成長させてくれる働き(=形成)があると言われたのですね。
これが「拡張-形成理論」であることを、前回は詳しくご紹介しました。
前回の記事はこちら
さまざま恩恵をもたらしてくれるポジティブ感情こそ、ストレスフルな生活を送りがちな私たちが注目すべきものでしょう。
今回は、ポジティブ感情(=ポジティビティ)はどのような感情が当てはまるのか、またポジティビティで注意を払うべきことについてお話ししていきます。
代表的な10のポジティビティとは?
そもそもポジティビティとは、どのような感情なのでしょうか。
それがわからない状態では、注目すべきこともできませんね。
それについてフレドリクソン教授は、代表的なポジティビティを10、挙げられています。
①喜び
物事が期待以上にうまくいっているときに抱く感情です。
職場の仲間がサプライズで誕生日祝いをしてくれたり、予期していなかった賞をもらったり、初対面の人と意気投合したりしたときに喜びを感じますね。
②感謝
与えられた何かについてその価値を感じたときに起こる気持ちです。
仕事仲間が有益なアドバイスをしてくれたり、
忙しいにもかかわらず家族が自分の頼みごとを快く承諾してくれたり、
大雪が降ったときに若者たちが率先して雪かきをしてくれていたり
と、そういった瞬間には感謝が沸き起りますね。
③安らぎ
安全でなじみのある環境に身をおいたときにもたらされるものです。
大仕事を終えてからソファーに横たわったり、天気のいい朝に散歩をしたり、椅子にゆったりと座って紅茶を飲んでいたりするときに味わう気分ですね。
④興味
新しいものごとに関心を抱き、「謎を突き止めたい」と突き動かされる気持ちです。
前の「喜び」や「安らぎ」とは違い、これは集中・努力を要します。
何かのスキルを学べる機会を得たときや、新しい発想を与えてくれそうな本を見つけたときに抱く感情ですね。
⑤希望
ほかのポジティブ感情が、安全で満たされた状態で生じるのに対し、希望は例外です。
状況が非常に悪いとき、ものごとがうまくいかないとき、結果が非常に不確定であるときに生じます。
状況が悪いときであっても、「最悪の事態を恐れながらも、よりよい状況を望む」という感情です。
⑥誇り
自分の努力と能力を投じて何かがうまくできた、学校や職場でよい結果を残したときに感じるのが「誇り」です。
誇りはともすれば「傲慢」となり、ネガティブな結果をもたらしてしまうこともありますが、適度な謙虚さで抑制されていれば、誇りは明らかにポジティブ感情であり、思考を広げてくれます。
⑦愉快
思いもかけないこと(社会学者は「深刻でない社会的不調和」と呼ぶそうです)が起きて、思わず笑ってしまうことがありますね。このときに抱くのが愉快です。
愉快という感情には「社会的なもの(ほかの人へ伝染していく)」、「安全な中で生じる(深刻な状況では笑っていられない)」という2つの特徴があることも言及されています。
⑧鼓舞される感情
人間の素晴らしさと出会ったときに抱く感情です。
スポーツ選手の優雅で完璧なプレーを見たときや、
魂を揺さぶられるような詩を読んだとき、
憧れの人が最高の仕事をしたのを見たとき
など、そのようなときには奮い立つような感情が湧いて、心が熱くなる。それが鼓舞される感情ですね。
鼓舞されることで、自分もなにかいいことをやりたい、成長していきたいという強い気持ちも生まれます。
⑨畏敬
あまりに崇高なものや偉大な人を畏れ敬う感情です。その偉大さに圧倒され、自分自身の小ささを感じて謙虚になります。
例としては、雄大な自然を見たときに、そういう畏敬の念が生じることがありますね。
⑩愛
愛という感情は、「1種類のポジティブ感情ではなく、10のポジティブ感情を含んでその上に位置する感情」とフレドリクソン教授は言われています。
先の9つのポジティブ感情を抱く瞬間は、どの瞬間も愛という言葉で表現することができる、ということですね。
以上が代表的な10のポジティブ感情です。
これらの感情を、みなさんは日常生活でどれだけ抱かれているでしょうか。
相手の親切な行為に価値を感じて感謝したこと、リラックスしたこと、声を上げて笑ったこと、好奇心に駆られて夢中になったこと、素晴らしい人や作品に触れて刺激を受けたこと…。
これらの感情が生まれる意図的な行動を増やしたり、そういう機会を多く設けたりしていくことも大事ですし、
また、いかなる状況であっても、出来事をプラスに解釈し、そこにポジティブ感情を見出していくことも大切ですね。
次回は、フレドリクソン教授の本のタイトルにもある、ポジティビティで知っておくべき重要な「3:1の法則」をご紹介します。
まとめ
- ポジティブ心理学の研究で有名なフレドリクソン教授が提唱したのが「拡張-形成理論」です。これは「ポジティブ感情は何の役に立つか」への答えであり、ポジティブ感情によって私たちの受容性・創造性が高まり、精神的・社会的・知的・身体的なリソースの形成が促されると教えられています
- 代表的なポジティブ感情(=ポジティビティ)としてフレドリクソン教授が挙げられているのが、以下の10のものです
- 喜び-物事が期待以上にうまくいったとき
- 感謝-与えられた何かに価値を感じる
- 安らぎ-安全でなじみのある環境に身をおいたときにもたらされる
- 興味-新しいものごとに関心を抱き、突き動かされる気持ち
- 希望-状況が悪いときでも「最悪の事態を恐れながらも よりよい状況を望む」という感情
- 誇り-自分の努力と能力を投じて何かがうまくできたときに感じる
- 愉快-思いもかけないことが起きて、思わず笑ってしまう
- 鼓舞される感情-人間の素晴らしさと出会ったときに抱く感情
- 畏敬-あまりに崇高なものや偉大な人を畏れ敬う感情
- 愛-10のポジティブ感情を含んでその上に位置する感情
続きの記事はこちら
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