勉強会主催の みなみ です。
ポジティブ心理学について解説された『幸せがずっと続く12の行動習慣』を通して、
- どうすれば幸福感が長続きするのか
- 長期的な幸福感を実現させる行動習慣とはどんなものか
をご紹介しています。
こちらの本は、カルフォニア大学リバーサイド校の心理学教授 ソニア・リュボミアスキー氏(ポジティブ心理学の研究で最も注目されている人物の一人)によって書かれました。
リュボミアスキー教授らの、最も幸福な人たちの持つ行動習慣の調査によって、幸福感が継続する12の行動習慣が明らかになっています。
このうちの、特に実行しやすい6つの行動習慣を、このブロクでは詳しくご紹介しています。
- 感謝の気持ちを表す
- 楽観的になる
- 考えすぎない、他人と比較しない
- 親切にする
- ストレスや悩みへの対抗策を練る
- 内面的なものを大切にする
前回は2番目の行動習慣「楽観的になる」についてお話ししました。
前回の記事はこちら
「最高の自分像」を書き出すことで、コントロール感(自己効力感)を得ることでき、それがポジティブな気分をつくることや幸福感の高まり、さらには免疫機能の向上にもつながることが研究でわかっています。
そこから目標を小目標に分けてステップ化することで、さらに自己効力感を高められることや、
また悲観的な考え方(バリア思考といわれます)に反論する癖をつけることで、楽観性を失うのを防げることなどもご紹介しました。
今回は、3番目の行動習慣「考えすぎない、他人と比較しない」についてお話ししていきます。
スポンサーリンク
幸せが続く行動習慣③ 考えすぎない、他人と比較しない
考えすぎること(反芻思考)の悪影響
幸福感を高めるために重要なことの1つが、ネガティブな考えに沈み込まないことです。
認知行動療法では、感情は、思考から生み出されると教えられています(思考が感情に影響される、ということもあります)。
悲観的な思考にとらわれると、気持ちも暗く、沈んだものになってしまうのですね。
そんなネガティブな考えを何度も繰り返してしまうことを反芻(はんすう)思考といわれます。
たとえば、
「なぜ私はこんなに不幸なの?」
「この仕事をこのままずっと続けていたら、私はどうなるのだろう? 先のことを考えると不安でたまらない」
などの後ろ向きな考えにとらわれ、「こんなことを考え続けていては、落ち込むだけ。別のことを考えよう」と考えを切り替えようとするものの、
「ああ、どう考えても私の人生は不幸だ」
「やっぱりこの先、不安だ」
などの考えにまた流されてしまう、これが反芻思考なのですね。
このように反芻思考によって考えすぎてしまうと、
- 悲しみがひどくなる
- 意欲が低下し、集中力や自発性が妨げられる
などの悪影響がもたらされます。
悲観的に考えるほど、実は大したことのない問題も大きく見えてきてしまい、悲嘆や恐れ、不安が高まり、身動きが取れなくなり、抑うつ的な気分に陥ってしまうのですね。
反芻思考はうつ病の原因とも見なされています。ぜひ回避したいものです。
「社会的比較」が生じさせる負の感情
この反芻思考を生み出すきっかけの1つが、他人との比較です。
他人と比較することは「社会的比較」といわれています。
社会的比較には
- 上向きの比較
- 下向きの比較
の2つがあります。
上向きの比較
上向きの比較は、自分よりも優れている人との比較です。
たとえば「彼女のほうがやせている」と、自分よりもよいプロポーションの人との比較です。
この上向きの比較は、「私はあの人と比べてダメな人間だ」という劣等感や苦悩を生じさせてしまいます。
下向きの比較
下向きの比較は、自分よりも劣っている人との比較です。
たとえば「彼は解雇された」と、自分よりも能力の低い人との比較です。
このような比較は、一時的には安心できるように思えますが、「自分もいつかこうなるかもしれない」という恐れや、「人の不幸で安心する私はひどい人だ」という罪悪感を生じさせるのです。
上向きの比較でも下向きの比較でも、社会的比較は苦悩や恐れ、罪悪感などのネガティブな感情と結びつき、幸福感を低下させてしまうとわかりますね。
典型的な不幸な人々は、「同僚の業績や成功を喜ばずに意気消沈し、同僚の失敗や破滅に同情せずに安堵する」といわれています。
反対に最も幸福な人びとは、どう考えているのでしょうか。
「他人の成功から喜びを得ることができ、他人の失敗を目の当たりにしたときは心遣いする」のが、幸福な人の考え方・言動なのですね。
この社会的比較も、考えすぎを引き起こす習慣の1つといわれています。考えすぎることに対処ができれば、頻繁な社会的比較も抑えられるのです。
では「考えすぎ」をやめるにはどうすればいいのでしょうか。3つの方法をご紹介します。
「考えすぎ」をやめる3つの方法
①気をそらすこと-何か別のことを考える
何か別のことを考え、気をそらすことができれば、反芻思考や社会的比較から抜け出すことができます。
ポジティブ心理学の権威であるマーティン・セリグマン博士は、
- 大きな鈴を鳴らす
- 紙に“ストップ”と赤で大きく書いて持ち歩く
- 手首にゴムバンドを巻いておき、パチンとはじく
- 困ったことが起きたときはすぐに書きとめる
などを気をそらす手段として勧められています。
深みにはまりそうなときにすぐに実行できる方法をぜひ1つ選んでおき、実践していただければと思います。
②とにかく1歩を踏み出す
考えすぎる状態から抜け出すには、気をそらすとともに、不安を解消するための行動に踏み出すことも重要です。
行動に踏み出して現状が少しでも改善すれば、ネガティブな思考も和らぎますね。
リュボミアスキー教授は、「ある問題に対する解決策をすべて書き出し、どれか1つを実行する」ことを勧められています。
「ああでもない、こうでもない」と思い悩むのではなく、考えていることを書き出してみましょう。すると思考が整理され、「実際にやってみよう」という気持ちにもなれますね。
書き出したなかのまずは1つを実践し、とにかく1歩、踏み出してみましょう。
③大きな視野で物事をとらえる
いま、このときだけで見れば大きく感じる問題でも、視野を広げれば、相対的に小さく感じられます。
視野を広げる方法として、「1年後にも、これは重要なことだろうか?」と自問自答してみましょう。
「1年という期間で見れば、これはそれほど大した問題ではないな」
「いまはこの人と大きな差がついているように思うけれど、この先を考えれば、まだまだ自分も成長できる」
「この問題が、きっと自分を強くしてくれるはずだ」
と思えれば、考えすぎや社会的比較にもブレーキをかけられるでしょう。
ご紹介した考えすぎや比較をやめる方法のなかで、ぜひやりやすいものから試してみてください。
組み合わせて実践する(まずは気をそらし、次に大きな視野で見て、落ち着きを取り戻す。さらに、状況をより良くする解決策をやってみるなど)と、より効果的であり、幸福感をも取り戻すことができますね。
次回は、4番目の行動習慣「親切にする」について詳しくお話ししていきます。
まとめ
- 考えすぎてしまい、ネガティブな考えを繰り返す反芻思考は、悲しみをひどくし、意欲や集中力の低下をもたらします。また、この反芻思考を生み出すきっかけの1つが他人との比較であり、社会的な比較は苦悩や恐れ、罪悪感と結びつき、幸福感を低下させます
- 考えすぎをやめるのに効果的な方法が、以下の3つです
- 気をそらす(大きな鈴を鳴らしたり、すぐに書きとめたりする)
- とにかく1歩踏み出す(不安を解消するための行動に踏み出す)
- 大きな視野で物事をとらえる(「1年後にも、これは重要なことだろうか?」と自問自答してみる)
続きの記事はこちら
スポンサーリンク