勉強会主催の みなみ です。
『幸福優位 7つの法則』を通して、心理学の新しい分野である「ポジティブ心理学」とは何か、
ポジティブ感情を高めて幸福になるにはどうすればいいかについて、続けてご紹介しています。
今回はその10回目です。
幸福優位7つの法則 仕事も人生も充実させるハーバード式最新成功理論
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自分の能力を強く信じることで、実際の業績も上がる
『幸福優位 7つの法則』は、ハーバード大学のポジティブ心理学者 ショーン・エイカー氏によって書かれた本です。
エイカー氏のポジティブ心理学の研究によって明らかになったのが、「幸福優位性(ハピネス・アドバンテージ)」です。
人は幸福感を覚えているときにこそ、頭もよく働き、やる気も生じ、結果的にものごとがうまくいく、成功できることがわかりました(幸福が中心にあり、成功はその周りを回っているのです)。
その幸福優位性を活かすための法則を、エイカー氏は7つにまとめて教えられています。
- 幸福優位 7つの法則
- ハピネス・アドバンテージ
- 心のレバレッジ化
- テトリス効果
- 再起力
- ゾロ・サークル
- 20秒ルール
- ソーシャルへの投資
前回は、2番目の法則「心のレバレッジ化」の中の、仕事・能力へのマインドセットについてお話ししました。
自分の能力を強く信じ、「自分は目標を達成できる」「この困難も乗り越えられる」と思うことで、“自己充足的予言(期待を持つことで、その期待を実現させるような行動が増え、期待が実現すること)”の作用によって、実際に業績が上がることがわかっています。
その自分の能力を信じることは、あらかじめ備わっている特性ではなく、自分でコントロールすることが可能です。
具体的には、難しい仕事や困難に向かうとき、失敗する理由ではなく、<成功する理由>に注目すること-自分の強みを意識する、過去に成し遂げたことを思い出す、これまで取り組んできた準備を振り返る-で、普段どおり、あるいはそれ以上のパフォーマンスを発揮でき、最高の結果につながるのです。
前回の詳細記事はこちら
今回は、自己成長に関する2つのマインドセットをご紹介していきます。
「固定したマインドセット」と「成長のマインドセット」
自分のいま持ちうる能力を信じることで力を十分に発揮でき、仕事の業績も上がることを前回はお話ししました。
このいま持っている能力を信じること以上に重要であるといわれているのが、「自分の能力はいまよりさらに向上できる」と信じること、「自己成長はいくらでも可能だ」と信じることだと言われています。
この成長とマインドセットについて研究しているのが、スタンフォード大学の心理学者 キャロル・デュエック氏です。
デュエック氏は、人は「固定したマインドセット」を持つ者と、「成長のマインドセット」を持つ者に分かれる、といわれています。
「固定したマインドセット」とは、自分の能力はもともと決まっている、というものです(「硬直マインドセット」ともいわれています)。
「成長のマインドセット」は、努力によって自分の基本的な能力は伸ばせる、という考えです(「しなやかマインドセット」とも言い換えられています)。
「固定したマインドセット」の人々は成長の機会を逃してしまい、常に劣った成績しか出すことができないのに対して、
「成長のマインドセット」の人は常に能力が向上していく、ということが実証されているのです。
固定したマインドセット | 成長のマインドセット | |
考え方 | 自分の能力はもともと決まっている | 努力によって自分の基本的な能力は伸ばせる |
物事の結果 | 成長の機会を逃してしまい、常に劣った成績しか出すことができない | 常に能力が向上していく |
デュエック氏と同僚が共同で起こった研究で、マインドセットが学業にいかに影響を与えているかがわかります。
それは、中学1年生373人を対象にしたものです。
はじめに、それらの学生に「固定」と「成長」のどちらのマインドセットを持っているかを調べるテストを行いました。
その後、子供たちの学業成績を2年間にわたって追跡したのです。
この調査によって、子供たちのマインドセットが数学の成績に大きな影響を及ぼしていたことがわかりました。
「固定したマインドセット」の子供たちの平均点はほとんど変化しなかったのに対し、「成長のマインドセット」の子供たちは平均点が上昇の軌道を描いていたのです。
「成長のマインドセット」が成功をもたらす理由
ではなぜ「成長のマインドセット」を持つことで学業成績や仕事の業績が上がっていくのでしょうか?
これも先に紹介した「自己充足的予言」と関わりがあります。
努力によって能力が伸ばせる、困難な出来事も乗り越えられると信じている人は、一生懸命に努力し、思うような結果が得られない時期が長引いても無力感に屈しません。
一見、できそうにないことでも、自分の能力を伸ばせる機会と捉え、果敢にチャレンジしていくのです。
これについて香港大学で行われたデュエック氏の研究が紹介されていました。
香港大学では、授業も教科書も試験もすべてが英語でされています。ゆえに英語がよくできることが、よい成績につながります。しかし入学当初、多くの学生は英語が堪能ではありません。
英語が習熟できる機会は学生にとって望ましいものといえるでしょう。
その中、調査チームは、入学した学生に「学校側が、英語力向上が必要な学生のための補修コースを実施したら、参加しますか?」と質問しました。
次に、一人ひとりの学生について、「自分の知的能力は決まっているものか、あるいは変えられると考えているか」を尋ね、そのマインドセットを調べたのです。
その結果、「成長のマインドセット」を持っているとわかった学生はみな、英語の補習コースに「喜んで参加する」と答えたのに対して、
「固定したマインドセット」の学生のほとんどは「見送る」と答えていました。
「成長のマインドセット」を持つ人は、成績をよくするための行動を次々に取ろうとするゆえ、実際に能力が向上し、学業でも仕事でも、好成績を収めることができるのですね。
反対に「固定したマインドセット」を持つ人は、自分のできることには限りがあると思っているため、失敗しそうなことは回避し、手っ取り早くできそうなことばかりを選びがちになります。
しかしそれでは能力を伸ばす機会を逸してしまい、マインドセットの通り、能力が固定化してしまうのですね。
では、この「成長のマインドセット」を持ち、難しい問題、大きな目標に対して、あきらめることなく努力を続け、能力を伸ばし、それらのことを達成するためには、具体的にどのようなことを心がければいいのでしょうか。
次回はそのことをご紹介していきます。
まとめ
- 自分の持っている能力を信じること以上に大切なのが「自分の能力はいまよりさらに向上できる」と信じることです。そのような考えは「成長のマインドセット」、反対に「自分の能力はもともと決まっていて、たいして伸ばすことができない」という考えは「固定したマインドセット」といわれています
- 「成長のマインドセット」を持つ人は、自分の能力を伸ばせる機会を積極的に求め、思うような結果が得られなくても無力感に屈せずに一生懸命努力するので、実際に能力が向上し、ポジティブな変化が起こります。反対に「固定したマインドセット」の人は成長の機会を逸し、本当に能力が固定化してしまうのです
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