勉強会主催の みなみ です。
『運のいい人の法則』を通して、偶然ではない、運のいい人に共通する法則、幸運を実現する仕組みについてご紹介しています。
今回はその11回目です。
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不安をやわらげ、チャンスに気づきやすくなる方法
『運のいい人の法則』は、ハートフォードシャー大学の心理学教授 リチャード・ワイズマン博士による、「運」の科学的研究について書かれたものです。
ワイズマン博士の、運のいい人・悪い人 数百人を対象にしたインタビュー・実験によって、運のいい人に共通する4つの法則があることが発見されました。
運のいい人は法則に従って考えて行動し、チャンスが演出され、チャンスに気づきやすくなり、幸運を実現させているのです。
ゆえに、この法則を正しく理解して実践すれば、誰でも巡り合わせをよくすることができます。
その運のいい人の法則が、以下の4つです。
- チャンスを最大限に広げる
- 虫の知らせを聞き逃さない
- 幸運を期待する
- 不運を幸運に変える
前回までは、1つ目の「チャンスを最大限に広げる」についてお話ししてきました。
運を鍛える方法をご紹介した、前回の記事はこちら

運のいい人、悪い人の違いをひと言でいえば、「性格」です。特に外向性・神経症的傾向・開放性のスコアが、運のいい人・悪い人で大きく差がついていることがわかっています。
運のいい人は外向的ゆえに出会う人の数が多く、対人関係を大事にしているためにネットワークがどんどん広がること、
神経症的傾向が低いゆえにチャンスに気づきやすいこと、
開放的であるために新しい経験を喜んで受け入れ、チャンレンジを重ね、偶然のチャンスに出会える可能性が高まることをお話ししてきました。
今回からは、法則の2番目「虫の知らせを聞き逃さない」をお話ししていきます。
運のいい人は虫の知らせ(=直感)を信じて、正しい決断をしている
「虫の知らせ」とは、何のことだと思いますか?
これは、悪いことが起こりそうな予感、いわゆる“直感”のことですね。
運のいい人は「直感と本能を信じる」傾向にあり、それによって正しい決断をしているのです。
反対に運の悪い人が、
- 仕事上の決断で失敗する
- 信用してはいけない相手を信じてしまう
- 株を買った途端に市場が暴落する
- 頼りの上司はあえなく失脚する
という不運に見舞われて苦しむのは、直感を信じず、その結果として誤った決断をしているからなのです。
ワイズマン博士は、それを裏づける調査をされています。
運のいい人・悪い人に分けて、重要な決断で“直感”を頼る人の割合を調べられました。
重要な決断とはたとえば、
- 会ったばかりの人が理想のパートナーなのか、信じてはいけないペテン師なのか?
- 仕事上でのリスクの高い決断は、吉と出るのか大失敗に終わるのか?
というものです。
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理想のパートナーなのか、信じてはいけないペテン師か | リスク高い決断は、吉と出るのか、大失敗するのか |
すると、
- 経済上の決断
- キャリアの選択
- 仕事の決断
- 対人関係
の、いずれの重要な決断も、運のいい人のほうが直感に頼る人の割合が高いことが明らかになりました(特にキャリアの選択では、運の悪い人で直感に頼る人の割合が約6割に対して、運のいい人で直感を信じる人の割合は8割以上でした)。
この調査から、重要な決断を下すとき、運のいい人は運の悪い人にくらべて、はるかに直感を信じているといえるのですね。
では、運のいい人の直感がとりわけ正確で信頼できるのはなぜなのでしょうか。何か不思議な力が働いているのでしょうか。
なぜ運のいい人は直感を信じてうまくいく?“無意識”の働きがもたらす、直感の正確さ
直感を信じるときに力が働いているのは確かですが、それは不思議なものではなく、現代の心理学ではその作用が認められている「無意識」による力です。
私達が何か選択・決断をするときに、意識の外の要因(=無意識)にしばしば動かされている、とワイズマン博士はいわれています。
たとえば、
- なぜその仕事を選んだのか?
- なぜそのパートナーと結婚したのか?
と聞かれれば、なんと答えられるでしょうか。
「それは、この仕事ならうまくいくと思ったから」
「この人となら幸せになれると思ったから」
と答えられると思います。
しかしその仕事をして本当にうまくいくかはわかりませんし(会社の業績が著しく傾くこともあれば、厳しい上司に嫌気が指すかもしれません)、
そのパートナーと幸せな結婚生活を送れるという保証もありません(夫が暴力的で、DVで苦しむ可能性も否定はできませんね)。
そんな不確定要素が多すぎるなか、何を根拠に私達は決断をしているのでしょうか。
これについて、哲学では「蓋然性(がいぜんせい)の収斂(しゅうれん)」という言葉が用いられます。
蓋然とは、「おそらくそうだろう」「たぶんそう考えられる」というものです(これの反対は「必然」です)。
収斂は、「一つにまとまる、まとめる」ことを指します。
つまり私たちは、「おそらくうまくいくだろう」「きっとこれはいい方向にいくだろう」と、蓋然性を収斂し、その重なりの度合いで正しさを判断し、決断しているのです。
「この人と結婚すべかどうか」の選択でいえば、この人と結婚すれば100%幸せになれるという証明は不可能です。
ゆえに「この人はこういう性格だから、こう言ってくれているから、この人にはこういう信頼できる面があるから、きっとうまくいく」という、蓋然性の重なり具合で判断しているのですね(その反対に、「こう言っていたから、こういう面があるから、きっとうまくいかない」と判断することもあります)。
その蓋然性の有無の判断は、無意識によるところが大きいです。ゆえに決断の大部分は、実は無意識の働きから成るのですね。
私達が何か決断をしようとしたときには瞬時に蓋然性の重なり具合が判断され、心の奥底から
「これは間違いなくいい」
「何かがおかしい、やめたほうがいい」
という感覚が、“直感”として表れるといえるのです。
この心の声(虫の知らせ)に耳を傾ける人もいれば、自己否定を続ける人もいます。
直感による判断が正しい理由
では直感による判断は正しいのかというと、はるかに正しい場合が多い、といわれています。
それは直感(=無意識の判断が表面化したもの)は、それまでの経験の集積にもとづくものだからです。
特に人生経験の豊富な人の直感は、いろいろな人の行動パターンが無意識に刷り込まれている分、かなり信憑性が高いといえるでしょう。
ワイズマン博士はこう説明されています。
特定のタイプの人は特定の振る舞いをするもので、私達は無意識のうちにそのパターンを見きわめている。
そして、目の前の状況が正しい、あるいは間違っていると感じたとき、本能が警告のベルを鳴らすのだ。
私が行ったインタビューでも、運のいい人の直感や本能は、くり返しいい結果につながることが多かった。
それに対し、運の悪い人は直感に目をつぶり、自分の決断に後悔しがちだった。
このように、直感・本能のベルは、これまでの経験の積み重ねによる蓋然性の収斂(無意識の作用)であり、十分に信用に値するもの、これに従ったほうがいい結果につながる場合が多いのですね。
では、直感を信じたことで、どのような良い結果、良い巡り合わせがもたらされるのか。
また、直感による判断の正確さを高めるにはどうすればいいのでしょうか。
次回はそのことについてお話ししていきます。
まとめ
- ワイズマン博士の調査によって、運のいい人は運の悪い人にくらべて、はるかに直感を信じていることがわかりました。運のいい人は直感を信じ、的確な判断をしているのです
- 直感がとりわけ正確である理由は、直感は、無意識が働き、それまでの経験の集積にもとづく蓋然性の収斂によるものだからです。特に人生経験が豊富な人の直感はかなり信憑性が高いといえるでしょう。運のいい人はこの直感に従って行動するため、よい結果につながる場合が多いのです
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