勉強会主催の みなみ です。
『運のいい人の法則』を通して、偶然ではない、運のいい人に共通する法則、幸運を実現する仕組みについてご紹介しています。
今回はその22回目です。
『運のいい人の法則』は、ハートフォードシャー大学の心理学教授 リチャード・ワイズマン博士によって書かれた、「運の科学的研究」に関する本です。
ワイズマン博士は、運のいい人は本人も気づかないうちに法則に従って幸運を作り出していることを発見しました。
そして、その法則に従って考えて行動すれば、誰でも幸運を実現できる、といわれています。
その運のいい人に共通する法則が、以下の4つです。
- チャンスを最大限に広げる
- 虫の知らせを聞き逃さない
- 幸運を期待する
- 不運を幸運に変える
前回は、4番目の法則「不運を幸運に変える」のポイントの2つ目「運のいい人は、不運な出来事も長い目で見れば最高の結果になると信じている」についてお話ししました。
運のいい人も不運に遭遇することはあります。しかし不運に思える出来事も、運のいい人は「この出来事から、いい結果が生まれる」と解釈します。
そうすることで不運を経験したことによる心の痛手、後悔の気持ちを鎮めて、未来に希望を持ち続けることできます。
未来へのプラスの期待を持てれば、それが前向きな行動を取らせ、実際に幸運が実現するのです。
35歳の社会人大学生 ジョゼフさんは、若いころは社会のルールを破ってばかりいて、やがて オフィスビルへの侵入しようとしたことで警察に逮捕されるまでになってしまいました(ジョゼフさんと一緒にいた仲間二人は警察から逃れました)。
ところがジョゼフさんが刑務所に入っている間、別の犯罪を企てていた二人の仲間はほかの指名手配犯と間違われて警官に銃撃され、一人は亡くなり、もう一人は重傷を負って、生涯、車椅子の生活となったのでした。
これを受けてジョゼフさんは、警察に捕まったことは自分にとって最も幸運な出来事の1つだった、と振り返っています。
ジョゼフさんの経験のように、不幸だと思える出来事から、人生の最高の幸運が生み出されることもあるとわかります。
運のいい人は、これまでのマイナスがプラスへと転じた出来事を思い出し、精神的な苦痛を和らげ、明るい気持ちを持ち続けているのですね。
前回の詳細はこちら
今回は、4つの目の法則のポイントの3つ目「運のいい人は不運にこだわらない」についてお話ししていきます。
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運のいい人に共通する「不運を幸運に変える」法則
ポイント③「運のいい人は不運にこだわらない」
運の悪い人は、自分の身に起こった不運にこだわりがちである、とワイズマン博士はいわれています。
ある男性は
悪いことを考えて眠れなくなる夜も多い。
自分ではどうすることもできないときでも、不安でたまらない。
これほど不運な目に遭っても仕方がないくらい、何か悪いことをしたのだろうか。
と語っています。
夜も眠れなくなるぐらい悪いことを考える、
自分ではどうすることもできないものごとへの心配もおさまらない、
不運がなぜ起きたかわからずじまいで苦しいなど、いかに不運にこだわっているかがわかります。
それに対して、運のいい人は、過去を引きずらずに未来だけを見つめています。
ジョナサンという運のいい男性は、瞑想をうまく使って過去を引きずらないようにしているそうです。このように語っています。
瞑想をすると、人生をより広い目で見つめられる。
心のスイッチが切り替わって、落ち着いていく。穏やかな気分で目を開けると、それまでと違う見方ができるんだ。
自分には状況は変えられないと気づいたら、悩んでも無駄だと思える。
何か行動を起こして状況を変えられるなら、それをすればいい。
このように運のいい人は瞑想などを取り入れて気持ちを落ち着かせ、状況を俯瞰して見つめ、自分の行動でどうにかなる状況とそうでない状況とを区別する。
そして、変えられることには行動し、変えられないことは悩んでも無駄と考え、受け入れる、というプロセスを踏んでいるのですね。
このようなプロセスを踏めば、不運にこだわって悩み続けることなく、気持ちもスッキリし、前向きに行動していけるでしょう。
また、セスという別の運のいい男性は、
今、思うと、僕が経験してきた不運の大半は、学ぶ機会だった。
自分では大切だと思っていたことがなくなっても、人生はやっていけるという教訓も学んだ。
と話しています。
物事の否定的な面ばかり見るのではなく、肯定的な面に注目し、そこから教訓を得る。そうすれば不運にこだわることなく、教訓をもとに、以前より的確な行動をしていけるのですね。
実際にセスさんは、株の投資での失敗が続いたことを、不運として考えて こだわり続けるのではなく、
「自分の人生にとってお金がどういうものか、あらためて考えることができた。お金がなくても仕事があって、健康で、家族と妻がいるのだから」
と、株投資の失敗を、自分の人生で本当に大切なものに気づけた経験だった、と捉えています。
気分が記憶にも影響を与える? 運の悪い人の気分と記憶の悪循環、運のいい人の気分と記憶の相乗効果
不運にこだわると、気分にも影響を与え、それがさらなる不運へのこだわりを生むことがわかっています。
気分と記憶との関係を調べた実験が紹介されていました。
それは、心理学者のジェームズ・レアード氏を中心とするクラーク大学の研究チームが行った実験です。
まず、被験者に2つの短い文を読んでもらいました。
一方は、マグロ漁で何の罪もないイルカが殺された新聞記事で、
もう一方は、小説家 ウディ・アレン氏が書いた愉快な短編です。
次に、被験者の半分には必ず笑顔になる実験に参加してもらい(鉛筆を横にして上下の歯でかむ、というもの)、
残りの被験者は必ず しかめっ面になる実験に参加してもらいました(鉛筆の先を、歯を使わずに唇だけで挟む)。
すると、笑顔にさせられた人は実際に幸せな気分になり、しかめっ面の人は悲しい気分になりました。
その後で、両方の人たちに、先ほど読んだ文章で覚えていることを書いてもらった、というものです。
どんな結果になったかというと、笑顔の人は、イルカの記事よりもウディ・アレン氏の短編をよく覚えていました。
一方、しかめっ面の人は、ウディ・アレン氏の短編はほとんど思い出せず、イルカの記事をよく覚えていたのです。
このことから、いまの気分が、記憶の内容にまで影響を及ぼしていたと考えられました。
明るい気分で過去を振り返れば、うまくいったことを思い出しやすく、反対に暗い気分で振り返れば、嫌な出来事にこだわりやすいのです。
運の悪い人は、不運にこだわるゆえに気持ちが落ち込み、すると、ますます不運な出来事ばかりを思い出して「やっぱり自分は不運だ」と思い込んで気分が悲しくなる…、という悪循環に陥ってしまいます。
対照的に、運のいい人は、不運な出来事にこだわらず、自分にどうにもできないことは考えるのをやめたり、肯定的な面に注目して教訓としたりします。
すると、気分も前向きになり、悪循環にははまりません。
むしろ前向きな気分が過去の成功体験を思い出させ、「やっぱり自分は幸運だ」と思うことができ、さらに気分がよくなって積極的に行動する、という記憶と気分とが相乗効果をもたらしてくれるのですね。
以上が、ポイントの3つ目でした。
次回は、ポイントの4つ目「運のいい人は積極的に行動して将来の不運を避ける」についてお話ししていきます。
まとめ
- 運の悪い人は、不運にこだわりすぎる傾向にあり、反対に運のいい人は過去を引きずらずに未来だけを見ている、といわれています。運のいい人は自分で変えられないことは悩んでも無駄と考えて それを受け入れる、あるいは不運から教訓を得て、行動をよい方向へと変えています
- 実験により、いまの気分が記憶の内容に影響を与えることがわかっています。明るい気分で過去を振り返れば成功体験を思い出しやすくなり、それとは逆に暗い気分で振り返ると不幸や嫌な出来事が思い浮かびやすくなります
- 運の悪い人は不運にこだわるがゆえに気分が落ち込み、また不運にこだわるという悪循環に陥り、反対に運のいい人は不運を受け入れて こだわりを捨てるゆえ、気持ちが前向きになり、うまくいったことを思い出し、さらにまた気分がよくなるという相乗効果が生まれるのです
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