勉強会主催の みなみ です。
『自己評価メソッド』を通して、不安や恐れなどの生きづらさを解消するにはどうすればいいのか、そのための自己評価の高め方について、続けてご紹介しています。
今回はその30回目です。
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人から受け入れられない恐怖・不安が自己評価に与える影響
『自己評価メソッド』は、フランスで人気の精神科医 クリストフ・アンドレ氏によって書かれました。
こちらの記事では、『自己評価メソッド』で紹介されている、自己評価をよくする方法を以下の4つのパートに分けてお話ししています。
- 自分を受け入れる
- 自分との関係を改善する
- 他人との関係を改善する
- 行動の仕方を改善する
前回は、「他人との関係を改善する」パートの中の、「人から受け入れられない“恐怖”がもたらす問題」についてお話ししました。
人はもともと 集団から離れて生活することができなかったため、集団から排斥されることを避けるための警報システム(人から受け入れられないことに対して感じる恐怖や不安)が備わりました。
この警報システムは私達が生き延びるためには不可欠なのものでしたが、警報システムが過剰に作用し、本当は人に受け入れられているのに、受け入れられていないと思い込むことがあります。
そうなれば自己評価は傷つき、下がってしまいます。生きづらさを感じてしまうのです。
自己評価に問題のある人は特に警報システムが過剰反応し、不安を感じやすいことがわかっています。
人から受け入れられていないという思い込みを持つと、他人の言動を悪い方向へ受け取ってしまいます(これを「関係妄想」といいます)。
関係妄想によって相手の言動を「相手から嫌われている。相手に受け入れられていない」証拠だと見なせば、その人との接触を避けるようになり、本当に受け入れられない状況をつくり出してしまうこともあるのです。
しかし「人から受け入れられていない」という思いは誤り、あるいは行き過ぎた考えの場合が多く、本当はそこまで受け入れられていないわけでもなく、まして本当に嫌われているケースは少ないです。
それを実際に証明した実験と、そこから名付けられた心理効果も教えられています。
今回はその実験内容と、そこから得られた心理効果「スポットライト効果」についてお話ししていきます。
前回の詳細はこちら
他人の視線・評価を気にしてしまう理由<スポットライト効果>とは?
自分が受け入れられていないと不安になることで、相手の言動を悪くとり、その相手と距離を置いて、ますます関係を悪化させてしまう…。
これが関係妄想がもたらす悪循環です。
しかし先でお話ししたように、「自分は相手にうとまれている」と思ったからといって、本当に相手がそう思っているとは限りません。
むしろ、警報システムが誤作動にしての思い、自分の勝手な思い込みである場合も多い、といわれています。
例として、フォーマルな集まりに、少しカジュアルな服装で参加した場合のことが紹介されていました。
ある程度フォーマルな集まりに、平服で参加してしまった場合、<自己評価のもろい人>はそれが気になり、
「こんな服装をしていたら、みんなから注目され、礼儀知らずな人間だと思われ、もうこの次からは呼んでもらえなくなるに違いない」
と思ってしまうかもしれません。
けれど、実際にそこまでのことを思われることもなければ、その次から招待されなくなることもないでしょう。
それどころか、あなたが平服で参加したこと自体、覚えていない人が多いものなのです。
それでも私達が他人の視線を必要以上に気にしてしまうのは、<スポットライト効果>が働くから、といわれています。
スポットライト効果とは、人は実際よりも「自分が注目を浴びている」と思ってしまうことをいわれます。
<スポットライト効果>に関する実験
スポットライト効果に関して、1998年、アメリカで行われた実験が紹介されていました。
その実験では、まず、被験者に少し引け目を感じるような服(この実験では、一世を風靡したものの、今では落ち目になっている歌手の顔をプリントしたTシャツ)を着てもらいました。
次に、その被験者に、ほかの人達が大勢いる部屋に入ってもらうのですが、その前に、どれくらいの人がTシャツの顔に気づくかを予想してもらいました。
そして、あとで実際に部屋にいる人達に、
いちばん最後に入ってきた人のTシャツに誰の顔がプリントされていたか?
を思い出してもらう、というものです。
すると、Tシャツを着た被験者のほうは、少なくとも50%の人はTシャツの顔に気づくだろう、と予想しました。
ところが、部屋にいた人たちにあとで尋ねてみると、Tシャツの顔に気づいた人は予想の半分の25%であり、しかも「そういえば、〇〇(歌手の名前)の顔だった気がする…」と、ぼんやり思い出しただけだったとわかったのです。
<スポットライト効果>に気づけば、受け入れられない恐怖・不安は和らぐ
この実験から、
自分が思っているよりも、他人は自分に注目していないこと、
自分が思っているよりも、他人は自分に厳しい視線を向けてはいないこと、
同時に、実際よりも私達は「自分が注目を浴びている」と思い込んでいること(=スポットライト効果)がわかりますね。
このことは、この実験に限らず、ほかの多くの研究によっても証明されている、といわれています。
自分にスポットライト効果が働いていること、「自分は注目され、厳しい視線にさらされている」のは思い込みであることに気づき、外からの視線は自分が思っているよりはるかに好意的なものであるとわかれば、人から受け入れられていないという不安や恐怖は和らいでいくでしょう。
次回は、スポットライト効果も踏まえた、“人から受け入れられない恐怖”と戦う実践法をご紹介していきます。
まとめ
- 自己評価に問題のある人ほど「自分は相手にうとまれている」と思いがちですが、実際にはそこまでのことは思われておらず、それほど他人は自分に注目していないのです
- 私達が「まわりの人は(実際よりも)自分に注目をしている」という思い込みを持つことは<スポットライト効果>といわれています。この効果によって私達は、人から受け入れられない不安を感じやすいのです
- スポットライト効果に気づき、外からの視線は自分が思っているより厳しくはなく、むしろ好意的なものであるとわかれば、他人の評価への不安、恐怖を和らげることができます
続きの記事はこちら
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