仏教に学ぶ 苦しみ・悩みを解決する3ステップ-ブッダの心理学2

お釈迦様とは、「仏」という最高の悟りを開いた人であり、その悟りの境地を教えられたのが仏教であること、

仏教の観点からいえば、私達の人生は「人生は苦なり」といわれること、

「人生は苦なり」を知ることは、明るい未来に向かっての第一歩になり得ることを、前回はお話ししました。

前回の記事はこちら

お釈迦様はどんな人?仏教はどんな教え?仏教の基礎を解説します-ブッダの心理学1
仏教を説いた人といえば、お釈迦様(=ブッダ)ですね。 お釈迦様は紀元前5世紀ごろに活躍したインドの人です。 お釈迦様とはそもそもどんな人なのか? 仏教は何を教え...

ではお釈迦様は、苦しみの人生をどうすれば幸せな人生にできると教えているのか。
それを3ステップにしてご紹介していきます。

以下が、悩み・苦しみの解決の3ステップです。

  1. 「人生はドゥッカ」を認める
  2. 仏教のベース「因果応報」
  3. 六度万行(六波羅蜜)の実践

この記事では、1の「『人生はドゥッカ』を認める」についてお話ししていきます。

記事の内容を動画でもご紹介しています

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「人生はドゥッカ」を認める

「人生はドゥッカ」とは、人生苦なり、ということでしたね。

仕事でも人間関係でも、なかなか思い通りにならないことばかりです。

悩みがほとんどなくて好調なときもありますが、その状態がずっと続いていくわけではありませんよね。
些細なことが原因で幸せが崩れ去ってしまうことも珍しくありません。

人生には常に苦しみがついてまわり、離れ切れないことをお釈迦様は「人生はドゥッカ」といわれているのです。

そう言われると、

「人生苦なりなら、もう何をやっても無駄なのではないか。あきらめるしかない」
「人生苦なりなんて考えないほうが、よほど幸せなんじゃないか」

と思われるかもしれません。

しかしそうではなく、まず苦しみを認めることが、苦しみを和らげ、その苦しみを解決することにつながります。

ブッダの考え方について書かれたベストセラー『反応しない練習』には、以下のように書かれています。

ブッダの考え方の特色は、 「人生には悩み・問題がつきものなのだ」という現実を、最初に受け入れてしまうところにあります

私たちが日々感じている満たされなさ、生きづらさ、憂鬱といった思いを「ある」と認めてしまうこと。

そのいさぎよさ、合理性が、仏教の特徴です。

(『反応しない練習』草薙龍瞬著 より引用)

あきらめたり、誤魔化したりするのではなく、「人生に悩み・問題はつきもの」と現実を受け入れてしまう。それが、悩み・問題の解決の出発点なのですね。

悩み・問題が「ある」と認めると、ではその問題の原因は何か、と考えるようになりますそしてその正しい原因を突き止め、そこを改善すれば、悩み・問題は根本的に解決しますね

病気でいえば、病気を受け入れることで、病気の原因を知ろうとし、その原因を取り除くための治療に専念することができます。

あきらめたり、本当は病気を抱えているのに誤魔化そうとしたりすれば、一時的には楽になっても、病気はますます悪化して、やがては取り返しのつかない状況になりますね。

「人生はドゥッカ」を誤魔化そうとしても、やがてはその大きな壁にぶつかることになります

誤魔化さずに、まず受け入れる。そのようしてこそ悩み・問題の解決が始まるのです。

本当はわかっていない「諸行無常」という真理

諸行無常」という言葉を聞いたことはあるでしょうか。

平家物語の冒頭に

祇園精舎の鐘の声 諸行無常の響きあり

とあり、学生時代にその文を覚えた、という方もいるかもしれません。

ホリエモンこと実業家の堀江貴文さんも代表作『ゼロ』の中で「諸行無常」について触れられています。

諸行無常の諸行とは「すべてのもの」、
無常は常が無い、続かない、常に変化していく、ということです。

つまり諸行無常とは、すべてのものは常が無く、続かない常に変化している。ずっと変わらないものなどない、という意味です。

これを聞いて、そんなこと当たり前だよ、と思う方がほとんどでしょう。

ところがこの諸行無常を本当にわかっている人というのは、そうはいません。

もし諸行無常ということが本当にわかったなら、たとえ自分の大切にしているものが壊れたり、なくなったりしても、焦ったり、ショックを受けたりすることはないはずです。

いくら大切にしていようが無常であり、いつなくなってもおかしくないからですね。

しかし、仮に財布がなくなっていることに気付いたならどうでしょうか?

「諸行無常なんて、当たり前だよ」と言っていた人でも、いざ財布の無いことに気づけば、焦ったり、結局、見つからなかったとしたら落ち込んだりするのではないでしょうか。誰かに八つ当たりする人もいるかもしれません。

反対に、諸行無常を本当に受け入れている人なら、状況の変化に対して必要以上に落ち込んだり、他人を恨んだりすることもないでしょう

堀江貴文さんは諸行無常を受け入れていたからこそ、変化を恐れなかったからこそ、立ち直ることができた、ということを語っています。

このように、「人生苦なり」「諸行無常」という真理を受け入れることが、明るい未来への第一歩になり得るのですね

これが悩み・問題解決の1ステップ目です。

次回は2ステップ目、「仏教のベース『因果応報』」についてご紹介します。

まとめ

  • 苦しみ・悩みを解決するには、まず「人生には悩み・問題がつきものだ」と認めること、受け入れることです。受け入れることで、ではその悩み・問題の原因は何かに目が向き、解決のために動くようになります
  • すべてのものは常が無く、続かないことを「諸行無常」といわれます。諸行無常を本当に受け入れられれば、必要以上に落ち込んだり、他人を恨んだりすることはなくなります

引用した書籍

反応しない練習 あらゆる悩みが消えていくブッダの超・合理的な「考え方」

続きの記事はこちら

「因果応報」の本当の意味とは?仏教に学ぶ 悩み解決の3ステップ-ブッダの心理学3
仏教を説かれたお釈迦様は、悟りを開かれた後「人生は苦なり」と言われました。 お釈迦様が言われた通り、思い通りにならないことばかりで、悩み・問題がつきないのが人生...

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この記事を書いた人
南 雄一郎

2011年 金沢大学工学部 卒業

大学では機械工学を専攻するなか、悩み解消のヒントや生きる指針を教える仏教に強い関心を持ち、仏教講演会に多数参加しました。

また大学卒業後は仏教と親和性のある心理学にも興味を持ち、独学で学びました。

現在は東京都内でライターをしながら、対人関係の悩みを解消し、自立した生き方の実現を目的とした 仏教×心理学のワークショップを開催しています。

自主開催のワークショップは累計750回以上。

2018年 新潟県キャリアセンター様主催 キャリアコンサルタント フォローアップセミナーにて講師をつとめました。

NPC法人HMC協会 認定心理カウンセラー(セルフ資格) 。

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