勉強会主催の みなみ です。
今回の勉強会には初めての方3名を含む、4名の方にご参加いただきました!
初めてお会いする方のほうが多かったですが、みなさん好意的に接してくださり、お話しやすかったです^^ お心遣いに感謝します。
今回は、論理療法を使った“自分を受け容れる方法”についてご紹介しました。
なかでも、非合理な自己理想を持たずに、
- できているところ
- よかったところ
に目を向けることが大事(=加点方式)、とお話ししたことが、特に参考になったと言っていただきました(詳細は今後のレポートでご紹介していきます)。
日常で実践され、悩みの解消や生きやすさの実現の一助になれば嬉しく思います。
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自分を根本から変えられるメソッド「論理療法」
今回の勉強会は、
ブッダと心理学から学ぶ「認知のゆがみ、思い込みを正す“論理療法”」
についてでした。
このテーマの勉強会では、『現実は厳しい。でも幸せにはなれる』という本の内容をメインにしてお話ししています。
こちらは、心理療法家 アルバート・エリス氏によって書かれた「論理療法」の解説本です。
エリス氏の生み出した論理療法は、今日の心理療法の中心的役割を担っている「認知行動療法」の礎として知られ、アメリカでは現在も高い評価を得ています(日本ではまだ一般に知れ渡ってはいない、と翻訳者の齊藤勇氏は言われています)。
この論理療法は、落ち込んだときや悩んでいるときに、自分一人でも立ち直ることができるメソッドとして紹介されています。
さらに、一時的に苦しみを癒すだけでなく、悩みの引き金となる自分の考えを根本から変え、動揺しにくい自分をつくることもできる療法であるとも言われているのです。
その論理療法について、前回は基本概念である「互いに影響し合っている5つの領域」についてお話ししました。
前回の記事はこちら
互いに影響し合う5つ領域とは、以下のものです。
- 思考
- 気分(感情)
- 行動
- 身体
- 環境
これらは、独立したものではなく、互いに影響を与え合っています。ゆえに、起こっている問題を解決したいと思ったとき、この5つの領域を考慮することが必要になるのですね。
たとえば、
「自分にはどういう考えがあるのか?(=思考)」
「どんな気持ちだったのか?(=感情)」
「どんなことを言ったのか、どんなことをしたのか?(=行動)」
「相手はどんな人で、どういう状況だったのか?(=環境)」
を考え、それらがどう影響し合っているのかを知ることで、有効な解決策が見えてくるのです。
論理療法で特に重視されているのが「思考」の領域です。
非合理的な思考(イラショナル・ビリーフ)が不健全な感情、自滅的な行為を引き起こす。
そのため、非合理的な思考をコントロールし、合理的な思考(ラショナル・ビリーフ)ができるようになれば、感情を健全なものにし、建設的な行動を取れるようになる、と教えられています。
この思考と感情、行動との関係をわかりやすく教えているのが、論理療法の基盤である「ABC法」です。
今回から、ABC法の全体像をご紹介していきます。
論理療法の基盤「ABC法」とは?-健全な感情は建設的な行動に結びつく
「ABC法」は、エリス氏が提唱した、認知・思考・感情の仕組みのことです。
その前提となるのが、私たちは目標に向かって行動をしている、ということです。
人によってどんな目標かは異なりますが、たとえば
「プロジェクトを成功させたい」
「好きな人と一緒になりたい」
などのような目標を持たれ、その達成に向かって行動されているでしょう。
「自分にはそんな明確な目標はない」という人でも、「安全に暮らしたい」「穏やかに過ごしたい」などの目標は必ずありますよね。
その目標に向かっているときに遭遇するのがAであり、AによってもたらされるのがCです。
Aとは「Adversity」のことで、「目標達成を阻む出来事・逆境」を指します。
Cは「Consequence」のことで、Aによってもたらされた結果、つまり「感情や行動」のことです。
仮に、「プロジェクトを成功させたい」という目標を持った人が仕事で失敗したとしたら、それだけプロジェクトの進みに遅れが生じ、その失敗が重大なものであれば、プロジェクトの成功自体が危うくなるでしょう。
その場合、「仕事での失敗」がAに当たりますね。
あるいは、「好きな人と一緒になりたい」と目標を持った人が、その好きな人との関係が悪化したり、失恋してしまったりすることもあるでしょう。
その場合は、「失恋した」がAになりますね。
健全な情緒的Cは、建設的な行動につながる
そしてこのAによってもたらされる感情や行動がCです。
実はこのCは、大きく2つに分かれます。
1つは「健全な情緒的C」、もう1つが「不健全な情緒的C」です。
健全は情緒的Cとは、「がっかりする、残念に思う」という感情です。仕事で失敗したり、失恋をしたりすれば、当然がっかりし、残念に思うでしょう。
しかし、健全は情緒的Cは「建設的な行動」へとつながります。
仕事での失敗は残念なことですが、まだ取り返すことも可能な場合もあるはずです。プロジェクトそのものの失敗へとつながった場合は、さすがにショックが非常に大きいと思いますが、それでも会社をクビになることまではない。
そう思えれば、「今回の失敗を教訓にして、次回のプロジェクトの成功に結びつけよう」と、前を向けますね。
失恋の場合も同様です。失恋はとても悲しく、がっくりときますが、その人と一緒になることが自分のすべてではないはずです。別の、より素敵な人との巡り会いの可能性も十分にあるでしょう。
そう考えると、「新たな人間関係をつくろう」と、努力することができますね。
このように、健全な情緒的Cは建設的な行動へとつながり、それによってより良い結果を手にすることもできます。
問題は、もう1つの「不健全な情緒的C」が起きたときです。不健全な情緒的Cは建設的な行動ではなく、自滅的な行動へとつながってしまうのです。
不健全な情緒的C、また自滅的な行為とはどのようなものなのでしょうか。次回、詳しくお話しします。
まとめ
- 心理療法家 アルバート・エリス氏が提唱した心理療法が「論理療法」です。それは悩み・苦しみに対して、自分一人で立ち直れるメソッドであり、ひいては悩みの元にある自分の考えを変え、動揺しにくい自分をつくることもできるといわれています
- 心理的な問題の解決には、互いに影響し合っている5つの領域(思考・感情・行動・身体・環境)を考慮する必要があります。このうち、論理療法で特に重視されるのは「思考」です。論理療法では、非合理的な思考が不健全な感情・自滅的な行為を生み出す、ゆえに合理的な思考ができれば、感情・行動を健全にできる、と教えられています
- 論理療法の基盤となるのが「ABC法」です。目標に向かうときに遭遇するのが「Adversity-目標達成を阻む出来事・逆境」であり、Aによって「Consequence-感情や行動」がもたらされます。Cには2つあり、「健全な情緒的C-残念だ、がっかりだ」は建設的な行動、「不健全な情緒的C」は自滅的な行動につながります
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