勉強会主催の みなみ です。
今回は、神奈川の武蔵小杉、さらに平日の開催でしたが、初めての方2名を含む、5名の方にご参加いただきました。お話の機会をいただいて感謝です(^^)
今回のテーマである「レジリエンス」について、強い関心を持たれて参加された方が多かったと感じます。
生きていれば、どうしても逆境や苦境にぶつかり、過度のストレスを抱え、落ち込んでしまうことも少なくありません。
そんなとき、いかにすばやく力強く立ち直れることができるのか。
それを決めるのがレジリエンスであり、レジリエンスを高める方法を知ることは、人生で非常に有用であると改めて感じました。
参加された方と一緒に、私自身もより学びを深めていきたいと思います。
スポンサーリンク
すばやく力強く立ち直れる力「レジリエンス」
今回のテーマは先でもご紹介した、
ブッダと行動心理学から学ぶ「レジリエンス(=折れない心)の鍛え方」
についてでした。
このテーマのワークショップでは、『OPTION B』という本の内容をメインにお話しています。
OPTION B(オプションB) 逆境、レジリエンス、そして喜び
この本は、悲嘆や挫折にぶつかったときに、いかにすばやく力強く立ち直れるかを決める力(=レジリエンス)の重要性、そしてレジリエンスを鍛える方法が紹介されています。
『OPTION B』が書かれるきっかけとなったのは、著者のシェリル・サンドバーグさん(フェイスブックのCOO)が、最愛の夫であるデイブさんを不慮の事故で亡くされてしまったことです。
夫を失った悲しみと、残された二人の子供の将来への不安に押しつぶされるなか、シェリルさんは友人の心理学者であるアダム・グラントさん(ペンシルベニア大学ウォートン校教授)に助けを求めました。
グラント教授の、確かなデータをもとにしたアドバイスを実践し、シェリルさんは悲嘆から立ち直っていったのです。
どのような経緯で悲嘆から立ち直っていかれたのかが『OPTION B』に詳しく綴られています。
レジリエンスを鍛えるポイントは、「3つのP」への対処
悲嘆や挫折から立ち直る上でのキーワードとなるのが、立ち直りを妨げる「3つのP」です。
3つのPとは、
- Personalization(=自責化)
- Pervasiveness(=普遍化)
- Permanence(=永続化)
のことでした。
自分を過度に責める「自責化」、
すべてが悪いと思う「普遍化」、
そして、悪いことはずっと続いてしまうと説明する「永続化」。
この3つによって、立ち直りが妨げられてしまいます。
逆にいえば、この3つのPに適切に対処する方法を身につけることがレジリエンスを高めることになり、苦境からすばやく脱出することになるのですね。
前回は、普遍化への対処法をご紹介しました。
前回の記事はこちら
今回からは、「永続化」への対処法をお話していきます。
立ち直りの最大の壁「永続化」 その3つの対処法
「永続化」は、悪い出来事がこの先もずっと続いていく、と自分に説明をすることでしたね。
3つのPのなかでも、この永続化がいちばん手こずった、とシェリルさんは言われています。
これはシェリルさんに限らず、永続化は私たちに起きやすく、対処も難しいことが、感情予測の研究からわかっています。
感情予測の研究では、「人はネガティブなできごとの影響が、実際より長く続くと予測しがちである」ことが明らかになったそうです。
失恋や仕事の失敗などの影響を、実際よりも長く見積もってしまうのですね。
悪影響が長く続くと予測するほど、ますますネガティブな気持ちとなり、悪い事態はもっと長く続くと思ってしまう…、というように悪循環に陥ってしまいます。
では永続化に対処し、そんな悪循環から抜け出すにはどうすればいいのでしょうか? 3つの対処法をご紹介します。
①禁止ワードを設定する
自責化への対処法として紹介した「禁止ワードの設定」は、永続化への対処としても有効です。
永続化を意識してしまうような言葉を使うのを禁止し、言い換えることで、気持ちを前向きにさせることができます。
永続化のサインとなる言葉とは、
- けっして
- ずっと
というものがあります。これをNGワードにし、一時的な言葉、
- ときどき
- 最近
を使うのです。
たとえば、
「ずっとひどい気分だろう」という言葉は、「ときどきはひどい気分になるだろう」と変換するのですね。
このような言葉遣いをすることで、現状は以前と比べて良くなっていると受け止められ、未来への希望を持つことができます。
②認知行動療法を試す
永続的な解釈に反論する「認知行動療法」も、永続化への対処に有効です。
認知行動療法のやり方としては、
まず、解釈を入れずに状況を書き出します。
その次に、自分の今の思いを言葉にしていきます。
自分の今の思いに永続化のサインが見られたら、そこに反論をします。それによって解釈を改め、気持ちを健全なものに戻すのです。
シェリルさんの場合、夫を亡くし、2人の子供が残されたという状況に対して、
「父親を失った私の子どもたちは、ずっと幸せになれないのではないか?」
という思いを持たれていました。
ここで“ずっと”という永続化のサインが見られます。そこに反論を加えるのですね。
シェリルさんは「親を失っても幸せに生きている子どもたちを、たくさん知っている」という事実を思い出し、反論することで、
「父親を失ってしまったのは本当に悲しいことだけれど、だからといって子どもたちがずっと幸せになれないとは限らない。実際に、幸せになっている子どもたちもたくさんいる」
と、解釈を改めることができました。
このように捉え方・解釈の仕方を変えることで、気持ちも多少は前向きになり、行動も変えていくことができるようになります。
永続化のサインが見られたときは、ぜひ試してみてください。
最後3番目の対処法については次回、詳しくお話しします。
まとめ
- 悲嘆や挫折を経験したとき、そこからいかにすばやく力強く立ち直れるかを決める力がレジリエンスです。立ち直る上で大事なのが、「3つのP(自責化・普遍化・永続化)」への対処法を知り、それを身につけることです
- 対処にいちばん手こずるといわれるのが永続化です。人間はネガティブな出来事の影響が実際より長く続くと予測しがちなため、永続化に陥りやすいとされています。悪い事態が長く続くと思うと、ますますネガティブな気持ちになり、行動を回避してしまいます
- 自責化への対処法として、2つをご紹介しました
- 禁止ワードを設定する-永続化のサインである「けっして・ずっと」は使わず、「ときどき・最近」という言葉を使うようにしましょう
- 認知行動療法を試す-解釈を入れずに状況を書き出し、今の思い・考えを言葉にしていきます。自分の思いに永続化のサインが見られたら、事実を思い出し、反論を加えましょう
続きの記事はこちら
スポンサーリンク