勉強会主催の みなみ です。
『ポジティブな人だけがうまくいく“3:1の法則”』を通して、心理学の新しい分野である「ポジティブ心理学」について続けてお話ししています。
今回はその7回目です。
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ポジティブ感情に関する新事実とは?キーワードは「3:1」
『ポジティブな人だけがうまくいく“3:1の法則”』は、ポジティブ心理学における新しい事実がわかりやすく紹介されている本です。
著者のバーバラ・フレドリクソン氏(ノースカロライナ大学 心理学教授)は、ポジティブ心理学の分野で最も注目されている人物の一人です。
フレドリクソン教授と、心理学者 マルシャル・ロサダ氏によって発見されたのがタイトルにある「3:1の法則」です。
3:1というのは、ポジティブ感情とネガティブ感情の比のことで、ポジティブ感情(=ポジティビティ)がネガティブ感情(=ネガティビティ)に対して3を超えるとき、個人でも夫婦でもチームでも、その関係がうまくいき、高いパフォーマンスを発揮できる、というものです。
しかしたいていの人の割合は3を下回っており、パフォーマンスが最大限まで発揮されていないとフレドリクソン教授は指摘されています。
割合を高める方法として、まずネガティビティを減らすための「ABC方式による認知行動療法」が勧められています。
前回は、具体例を通しての認知のメカニズムと、悲観的な思い込みに対処するための方法として「反論」をご紹介しました。
前回の記事はこちら
思い込みに適切に反論をすることで、過剰なネガティビティを排除し、ポジティブな感情を生じさせることもできます。
今回は、適切に反論をするための3つのポイントをお話ししていきます。
反論するときの3つの重要なポイント
反論するといっても、やみくもにやっていては、気持ちを切り替えることは難しいでしょう。
また、思い込みが正しいと感じきってしまい、反論したくても反論できない、ということもあるでしょう。
そうならないための、「反論するときの3つの重要なポイント」があります。
それは
- 証拠はあるか?
- 別の考え方はできるか?
- 思い込みが本当だった場合、それはどんな意味を持つか?
の3つです。
①証拠はあるか?
これは否定的な思い込みに反論する最も効果的な方法といわれています。
「この思い込みの根拠となっている証拠は何か?」と問うてみることです。
ほとんどの思い込みは、確たる証拠もない状態で、余計なことに悩んでしまっています。そこで、その思い込みの証拠を問い、逆に思い込みが間違いであることの証拠を突きつけるのです。
自分が検察官となって被告人に質問をしているのをイメージするのがいい、ともいわれます。
たとえば、試験で、自分が予想していたよりもずっと悪い点を取ってしまったとき、どう思うでしょうか?
「自分はクラスで最低の成績だ…」と思って、落ち込んでしまうかもしれません。
そういうときに、「本当に自分はクラスで最低の成績なのか?」と証拠を問うてみるのです。
すると、その証拠があるどころか、「いや、いや、隣の人はもっとずっと悪い点だったじゃないか」と、思い込みが間違いだという証拠が見つかって、必要以上に自分を責めることはなくなるのです。
②別の考え方はできるか?
別の考え方はできるか、とは、
あらゆる原因を探り、変えることのできる、特定の、自分の責任ではない理由に焦点を当てる、というものです。
悲観的な人は、変えられないことに、その出来事の原因を求めがちです。
先の試験の例でいうと、悪い点数を取ってしまったとき、「私はバカで、何をやってもうまくいかない…」と思ったとします。
自分のことをバカと決めつけてしまっては、「この先 努力して、挽回しよう」という気持ちは沈んでしまいますね。
そこで、変えられることに注目するのです。
たとえば、
- 勉強時間が十分でなかった
- 試験が特別難しかった
- 先生の採点が不公平だった
と思えば、どうでしょうか?
「次はもっと時間を取れば大丈夫」
「今回はたまたまうまくいかなかっただけだ。次はきっとうまくいく」
と思えて、落ち込むことはなくなるのですね。
③思い込みが本当だった場合、それはどんな意味を持つか?
思い込みに反論しようと思っても、それが本当だった、確たる証拠があった、ということもあるでしょう。
そのときには、
「たとえ私の思い込みが本当であるとしても、それがどういう意味があるというのだ」と自分に問うてみるのが効果的です。
「試験の成績が悪かった。クラスの平均点を下回った」というのは、確かに変えられない事実です。
しかしそれがどんな意味を持つのか、問うてみるとどうでしょうか。
それが私がバカだということになるのか?
何もやってもうまくいかないことになるのか?
といえば、そんなことはないですね。
学生生活全体で考えれば、ささいなことでしょう。
これを機に、勉強に本腰を入れたならば、それ以降は成績が伸びていき、むしろ悪い点を取ったからこそ、それが良い教訓となった、と振り返ることができるのではないでしょうか。
思い込みで苦しみそうになったときは、
- 証拠を問うてみる
- 別の考え方を見つける
- そもそもそれはどんな意味があるのかを考える
この3つのうち、やりやすそうなものから反論に取り組んでみてください。
そうすれば、過剰なネガティビティを取り除き、立ち直りやすくなのですね。
次回からは、ポジティビティを高める方法をご紹介していきます。
まとめ
- 個人や夫婦、チームで良好な関係を維持し、高いパフォーマンスを発揮するには、ポジティビティ比が3を上回っていることが大切です。その割合を高めるための方法の1つが過剰なネガティビティを減らすための「ABC方式による認知行動療法」です
- 「ABC方式による認知行動療法」は、悲観的な思い込みに適切に反論することで、ネガティビティを排除させる方法です。反論するときのポイントが以下の3つです
- 証拠はあるか?(思い込みが間違いであるといえる証拠を突きつけます)
- 別の考え方はできるか?(過剰に自分を責めるのではなく、うまくいかなかった別の理由を見つけてみます)
- 思い込みが本当だった場合、それはどんな意味を持つか?(広い視野で状況を確認し、そこから得られる学びに注目してみましょう)
続きの記事はこちら
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