仏教で説かれる「三毒」について続けてお話ししています。
三毒とは、108あるといわれる煩悩の中でも、特に私たち人間を苦しめる3つの煩悩のことです。
それは
- 貪欲(とんよく:限りのない欲の心)
- 瞋恚(しんい:怒りの心)
- 愚痴(嫉妬心や恨みの心)
でした。
煩悩はなくすことができないため、これら三毒も残念ながら、なくすことはできません。
しかし適切な対処法を知ることで、三毒の苦しみ・悩みを最小限にとどめ、より快適に生きていくことができます。
前回はその対処法の1つとして、「すべて“因果応報”と受け止める」ことを紹介しました。
前回の記事はこちら

今回は、因果応報とも関連の深い「縁」について詳しく紹介します。
記事の内容を動画でもご紹介しています
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三毒への対処法②「縁」に注目する
すべての結果は因縁によって生じる
前回の記事でご紹介した「因果応報」とは、
「結果には、それに応じた原因が必ずある」
また
「原因に応じた結果が、必ず報いる」ということでした。
自分にとって不都合な結果がやってきたとしたら、その原因は必ず自分にあるのであり、人のせいにしていては解決しない。むしろ相手を苦しめ、自分をも苦しめることになります。
この「因果応報」がわかると、愚痴の心を抑えることができるのですね。
ただ、実は、結果をもたらすものは原因(=因)だけではないと仏教で説かれています。
因と「縁」とが結びついて、はじめて結果が生じるのです。
このことをお経には
一切法は因縁生なり(万物は因と縁が結びついて生じる)
と書かれています。
「因縁」と聞くと、「因縁をつけられる」とか「因縁の相手」など、良くない関係のように使われていますが、仏教本来の意味は「因」と「縁」であり、悪い結果だけでなく善い結果にも因縁がある、ということです。
「因」は直接的な原因であり、結果の元です。しかし「因」だけでは結果は生じず、「縁(=間接的な原因)」の助けが必要なのですね。
具体的にいえば、
作物を結果とすると、因にあたるのは種です。種がなければ作物は絶対にできませんね。
しかし種だけでも作物とはなりません。土や水、日光など、成長するための環境が必要です。
それら因を助ける働きがあるものすべてが縁にあたります。
このように、まず、結果は必ず因と縁が結びついて生じることを知っていただきたいと思います。
縁を選ぶ大切さ-目標は風邪のように伝染する-
その上で重要なのは、結果を変えたい、改善したいと思ったならば、因に注目するのはもちろんですが、縁にも注目をすべき、ということです。
思うような善い結果が得られないときは、因(自分の行い)を改善した上で、縁(環境)にも目を向けていくべきですね。
例でいうと、試験で好成績を取るには、勉強へのモチベーションを上げたり勉強の仕方を改善したりすることがまず大切ですが、さらに「どこで勉強するか」という環境も整えるべきですね。
極端な話ですが、ゲームや漫画など、娯楽用品に囲まれた部屋で勉強していては、やがて気が散って集中できなくなってしまうでしょう。
反対に図書館や塾の学習室に行けば、静かで勉強に集中しやすいですし、周りで一生懸命勉強している人の姿を見れば刺激を受けて、モチベーションもよりアップするでしょう。
私たち人間は、欲の心によって引っ張られます。
欲の心いっぱいの私は放っておくと、欲のままに行動し、本当に時間をかけるべき大切なことに時間を使えなくなってしまいます。
だからこそ「縁」に注目し、善い行いができるような環境を選び、そこに身を置くべきです。
社会心理学では「目標は風邪のように伝染する」と教えられています。同じ志を持ち、目標達成に向かって努力している人を見ると、自分自身のやる気も上がるといわれます。
欲に振り回されないためにも、自分が最大限、力を発揮できるような環境や人との付き合いを選んでいきたいですね。
次回は、因についての3つ目の対処法をご紹介します。
まとめ
- 仏教では、因と縁とが結びついてすべての結果が生じる、と教えられています。結果が生じるには、直接的な原因(=因)だけでなく、間接的な原因(=縁)も必要なのです
- 結果を変えるには、因を変えるのは前提として、縁にも注目すべきです。欲の心に引っ張られ、欲のままに行動してしまう環境を避け、善い行いがやりやすい環境を見つけ、そこに身を置くことで、欲に振り回さずに行動できるようになります
続きの記事はこちら

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