仏教からわかる、対人関係の悩みの解消法-箱の心理学に学ぶ 人間関係の悩み解決のメソッド8

勉強会主催の みなみ です。

ベストセラー書『自分の小さな「箱」から脱出する方法』を通して、人間関係の悩みを解消するメソッドをご紹介しています。

自分の小さな「箱」から脱出する方法

今回はその8回目です。

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あらゆる人間関係の問題を引き起こす原因とは?

『自分の小さな「箱」から脱出する方法』には、これまでにはなかった新しい視点で、あらゆる人間関係の悩みの原因とその解決方法が紹介されており、全世界で150万部を超えるベストセラーとなりました。

続編や関連本も複数、出されています。

『自分の小さな「箱」から脱出する方法』では、人間関係の悩みの原因は自分が「箱」に入っていることである、といわれています。

「箱」というのは「自己欺瞞」のことであり、心が敵対的な状態のことです。

心が敵対的だと、行為をいくら正そうとしても、心の思いが相手に伝わってしまい、相手からの印象が悪くなってしまいます。

すると相手も箱の中に入ってしまい、相手の心の状態も敵対的となります。
そんな敵対的となった相手に対して、自分はなお敵対的となって…、という悪循環に陥り、関係はズタズタになってしまいます。

※この悪循環を「共謀」といいます。共謀についての詳しい記事はこちら

してほしいことを実はさせないようにしている?“共謀”のメカニズム-箱の心理学に学ぶ 人間関係の悩み解決のメソッド6
勉強会主催の みなみ です。 ベストセラー書『自分の小さな「箱」から脱出する方法』を通して、人間関係の悩みを解消するメソッドをご紹介しています。 自分の小さな「...

ではそんな悪循環を抜け出すためには、箱から脱出するにはどうすればいいのかについて、前回は箱から脱出するための4つの要素をご紹介しました。

前回の記事はこちら

箱から脱出する4つの要素とは?-箱の心理学に学ぶ 人間関係の悩み解決のメソッド7
勉強会主催の みなみ です。 ベストセラー書『自分の小さな「箱」から脱出する方法』を通して、人間関係の悩みを解消するメソッドをご紹介しています。 自分の小さな「...

その4つの要素とは、以下のものです。

  1. 箱の兆候を探す
  2. 箱の外の場所を見つける
  3. 状況を改めて考える
  4. 私がすべきだと感じていることをする

まず自分が箱に入っていること、心が敵対的な状態に気づくこと。
そのために「箱に入ってしまっているな」というサインを知り、それを察知できるようにしておくこと。

そして箱の外に出ている状態を思い出すこと。

その状態で状況を改めて考える、相手の立場にたって考えること。
「相手はどんなことで苦しんでいるのか。自分はどのように相手を責めようとしていたか」を自問すること。

最後に相手のために自分ができることをやり続けること。

これが箱から出るための4つの要素です。

この考え方は、仏教にもよく共通しているところがあります。

今回は仏教の観点からの悩みの解消法についてお話しします。

箱から脱出するために最も重要なこととは?

箱から脱出する要素で最も重要なのは、3つ目の要素「状況を改めて考える」過程で、相手のことをよく知ろうとすることですね

相手の苦しみになっていることは何だろうか?
相手の必要としていることは何だろうか?
相手の言動の裏にはどんな事情があるのだろうか?

と、自分目線を外し、相手の立場にたつことによって、共感し、「相手にできることは何か」を考えられるようになります。

「箱」シリーズの最新作である『管理しない会社がうまくいくワケ』にはこう書かれています。

自分の利を超えて他者に目を向け、 相手が何を必要としているかに気づいたとき、 外向き思考(箱からの脱出)へと変わることができたのだ

他者に目を向けることが、箱からの脱出に不可欠なのですね。

仏教で勧められる「自利利他」と、戒めるべき「我利我利」

仏教でも、「自利利他(じりりた)」の精神を持つことが勧められています。

自利とは自分の利益(=幸せ)、利他は他人の利益(=幸せ)ということです。

他者を幸せにする、他者を喜ばせる(=利他)ことで、それが自分の幸せ、喜び(=自利)となる。これが「自利利他」ということです。

相手に本当に喜んでもらうには、相手のことをよく知らないといけないですね。
相手のニーズが曖昧なままで、その人を本当に喜ばせることはできません。

他者に目を向け、相手の必要としていることを知ることで、その人への貢献へ踏み出すことができます。それがそのまま自分のモチベーションの向上につながり、幸福感を得られるようになるのですね。

この自利利他と真逆の精神が「我利我利(がりがり)」です。

我利我利は、「我が利益、我が利益」ということで、自分の利益のみを優先する心をいいます。
自己中心的な心であり、自分のニーズしか目が向いていない状態ですね。

これでは箱からいっこうに脱出できず、むしろ箱に入っていない人も箱に入れてしまい、共謀の状態を引き起こしてしまいます。
我利我利はよく戒めねばなりません。

仏教では、私達人間の本性は我利我利であり、つねに我利我利の心があり続けると教えられています

だからこそ常に箱のサインに気づき、相手のニーズを知るための努力が大切なのですね

 

次回は、「4つの箱の特徴」についてお話しします。

まとめ

  • あらゆる人間関係の悩みの原因は、自分が箱に入っている(=自己欺瞞・自己正当化の状態に陥っている、心が敵対的な状態になっている)ことだと教えられています。心が敵対的であると、それが相手に伝わり、関係の悪化を招くのです
  • 箱から脱出するには、箱の兆候を探し、箱に入っていると自覚したら、箱の外に出ている状態を思い出す。その状態で改めて相手の立場にたって状況を再考し、相手のために自分ができることをやり続けること、といわれています
  • 箱から脱出する要素で特に大事なのは、相手のことをよく知ろうとすることです。相手の苦しみとは何か、何を必要としているのか、言葉や態度の裏にはどんな事情があるのかを知ることで、共感できるようになります
  • 仏教でも他者に目を向け、相手の必要としていることを知り、相手が喜ぶことをすること(=利他行)が勧められています。それは巡り巡って自分の幸せにもなるのです。これが仏教で大切にされる自利利他の精神です

続きの記事はこちら

問題をもたらす4つの箱|「優越」「当然」の箱の特徴とは?-箱の心理学に学ぶ 人間関係の悩み解決のメソッド9
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引用した書籍

自分の小さな「箱」から脱出する方法 ビジネス篇 管理しない会社がうまくいくワケ

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コンテンツブッダと「箱」の法則
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この記事を書いた人
南 雄一郎

2011年 金沢大学工学部 卒業

大学では機械工学を専攻するなか、悩み解消のヒントや生きる指針を教える仏教に強い関心を持ち、仏教講演会に多数参加しました。

また大学卒業後は仏教と親和性のある心理学にも興味を持ち、独学で学びました。

現在は東京都内でライターをしながら、対人関係の悩みを解消し、自立した生き方の実現を目的とした 仏教×心理学のワークショップを開催しています。

自主開催のワークショップは累計750回以上。

2018年 新潟県キャリアセンター様主催 キャリアコンサルタント フォローアップセミナーにて講師をつとめました。

NPC法人HMC協会 認定心理カウンセラー(セルフ資格) 。

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