仏教で悩みを解消する!ブッダのすすめる「利他」の実践-三毒追放10

仏教では「人生は苦なり」と説かれています。人生の本質は苦しみといわれているのです。

なぜ人生が苦に染まってしまうのでしょうか。その原因は「無明(=煩悩)」である、と説かれています。
自らの無明・煩悩で、私たちは苦しんでいるのですね。

それら煩悩の中でも、特に私たちを悩ませ苦しませるものに3つあり、それは「三毒」といわれます。

三毒は、

  1. 貪欲(とんよく、限りのない欲の心
  2. 瞋恚(しんい、怒りの心
  3. 愚痴嫉妬や恨みの心

の3つです。

これらの心と正しく向き合い、過剰な心の動きに対処することで、苦しい人生の中であっても、快適に生きていくことができるのです。

その三毒の対処法について続けてご紹介しています。

前回は「信念」という観点から、三毒に含まれている「名誉欲」への対処法をお話ししました。

前回の記事はこちら

仏教から知る、「他人の評価が気になる…」不安への対処法-三毒追放9
仏教では「人生は苦なり」と説かれています。 生きていれば、もちろん楽しいと思えること、喜びもありますが、人生の荒波もまた次々とやってきます。 長く生...

今回は、仏教でかくあるべき精神と教えられる「利他」ついてお話しします。

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仏教で大事にされる精神「利他」とは?

仏教では、人間の本性は「我利我利(がりがり)」であると教えています。

「我利我利」とは、「我が利益、我が利益」ということで、自分の利益ばかりを優先する心をいいます。
人間の本質は自己中心的で、「自分さえ良ければいい」という思いが根底にあるのですね。

しかし人間がみな我利我利の本性むき出しでは、お互いに奪い合い、傷つけ合って、苦しむことになってしまいます。

だからこそ、お互いが幸せに生きるために「利他」の精神こそ大切であるとも仏教で説かれるのです。

「利他」とは、「他を利する」ということで、他者を喜ばせる他者を幸せにするということです。

「自分さえ良ければいい」という我利我利の本性とは真逆なので、利他の精神を持ち、その通りに行動することは非常に難しいです。

しかし難しいからこそ、利他の活動に踏み出せば、相手も喜び、自分も貢献感を得られて幸せになれるとも教えられています。
それは「自利利他(じりりた、他者を幸せにすることで、自分も幸せになれる)」といわれます。

経営者や心理学者も勧める「利他」の実践

京セラやKDDIの創業者であり、JALの再建でも知られる稲盛和夫さん。

経営者でありながら、一時期出家をされるなど、仏教にも傾倒されていて、ロングセラー『生き方』をはじめ、書籍のなかでもよく仏教の言葉やエピソードを引用されています。

その稲盛さんは仏教の「利他」を特に大事にされています

あるインタビューではこう答えられていました。

常に相手にも利益が得られるように考えること、利他の心、思いやりの心を持って事業を行うことが必要です

経営にも「利他」の心を取り入れるべきと主張されていることがわかりますね。

また、「アドラー心理学」ブームで日本でも有名になった心理学者アルフレッド・アドラーも、他者貢献をすることで幸せになれる、と教えています。

ある神経症で悩む患者から「どうすればこの苦しみから抜け出すことができるでしょうか?」とアドラーが聞かれたとき、

他の人を喜ばせることです

『自分に何ができるだろうか?』『どうすれば他の人に喜んでもらえるだろうか?』と考え、それを行動に移すことです

と答えたといいます。

アドラーもまた、利他の心を持ち、その通りに行動することを勧めているのですね。

三毒に対処するには「利他の行動に集中する」

自分だけを優先させようとすれば、執着心がそれだけ強くなり、自分を邪魔する相手には怒りの心が沸き起こります。

そして、自分の欲が満たせなかったとすれば、それは嫉妬や恨みの心に変わり、いつもまでも残って自らを苦しめることになるでしょう。

たとえば、「自分がいかに認められるか、ほめられるか」ばかりを求めれば、ほめられることに執着し、思うようにほめられないと相手を憎んだり、恨んだりしてしまいます。

さらに自分の承認欲を邪魔するような優れた相手が現れれば、その相手の努力を認めようとせず、猛然と怒りの感情をぶつけてしまうかもしれませんね。

反対に、利他の精神を持ち、相手への貢献に集中すれば、執着心や怒りは抑えられ、愚痴の心に悩まされることも少なくなります

「たとえ思うように認められなかったとして、相手に貢献できていればそれでいい」という精神を持てば、執着心や相手への怒り、嫉妬心、不満などは抑えることができるのです

ただ、欲や怒り、愚痴の心はとても強く、決して無くなることはありません。
ゆえに私たちの本質は我利我利で、利他の精神を持って行動することは難しいです。

だからこそ、利他行を実践すれば、今までに得られなかった貢献感が持てて、これまで以上に相手と良好な関係を築くことができます。

そのような利他の行いに努める人を周囲の人は決して放っておくことはなく、周りの人にとって貴重な存在となれるでしょう。

少しずつでも、思いやりのある行動を取っていきたいですね。

まとめ

  • 人間の本性は我利我利(自分の利益ばかりを優先する)だからこそ、利他(他者を幸せにする)の精神が大切だと仏教では教えられています。他者を喜ばせることで、自分も幸せになれる(=自利利他)のです
  • 稲盛和夫さんも経営に利他の精神を取り入れられたり、アドラー心理学でも他者貢献が勧められたりと、利他の実践は経営や心理学でも重視されています
  • 自分のことを優先すると、それだけ執着心が強くなります。利他の行動に集中すれば、執着心を抑えられ、三毒によりよく対処でき、相手との良好な関係構築につながります

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コンテンツ ブッダの心理学
この記事を書いた人
南 雄一郎

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