6/8(土)レポート 成功するのは与える人?奪う人?共同体感覚の高低と成功との関係-アドラー心理学にみる 健康なパーソナリティ4

勉強会主催の みなみ です。

梅雨の季節となり、蒸し暑さが増して、不安定な天候となっていますね。季節の変わり目であり、体調に気をつけていきたいです。

今回の勉強会には、初めての方お1人を含む、4名の方にご参加いただきました!

積極的に動画で心理学を学ばれている方や、多様な従業員のマネジメントに携わっている方などにご参加いただき、学びやご経験もシェアいただいていて、私自身も勉強になりました(^^)

実生活を踏まえることで、心理学の学びもより重要に思えて、生かしやすくなるとも思い、このような共有の場の有効性が改めて知らされる会となりました。

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アドラー心理学から知る、パーソナリティの4つの領域

今回の勉強会のテーマは、
ブッダとアドラー心理学から学ぶ「対人関係を良好にする”健康なパーソナリテ­ィ”
についてでした。

今回のテーマのキーワードが「パーソナリティ」です。パーソナリティというと、どんな意味で理解されているでしょうか?

パーソナリティは、一般的には「性格」や「個性」と言われますね。ただ、性格というと、生まれつきのもので変わらないもの、というイメージも強いと思います。

しかしアドラー心理学の前提となるのが、性格は「認知行動パターン」と言われ、人それぞれ独自のパターンがあること、そしてそれは固定的なものではなく、変えることができるということです。

パーソナリティは人それぞれ独自であること、後天的に変えることもできることをぜひ知っていただきたいと思います。

そのパーソナリティは、健康なパーソナリティと未熟なパーソナリティの、大きく2つに分かれます。

健康なパーソナリティの人は他者と良好な関係を構築できる一方、未熟なパーソナリティの人は他者と何らかの問題、トラブルを抱えてしまうのです。

では何を基準にしてパーソナリティを健康か未熟か分けるかというと、「共同体感覚の高低」(上記の図の縦軸)と「活動的か、非活動的か」(上記の図の横軸)です。

前回は、それぞれの領域でのパーソナリティについて簡単にお話しました。

前回の記事はこちら

4/4(木)レポート あなたはどの領域?共同体感覚で分かれる4つのパーソナリティ-アドラー心理学にみる 健康なパーソナリティ3
勉強会主催の みなみ です。今回の勉強会には、初めての方3名を含む、8名の方にご参加いただきました!平日の開催ながら、多くの方にご参加いただき、とても嬉しく思い...

共同体感覚が高くて活動的な領域(右上)は「社会的に有用な人」、

共同体感覚が高くて非活動的な領域(左上)は、そういう人はいない(共同体感覚の高い人は、相手の役に立つよう適した努力をするようになるため、必然的に活動的になります)、

共同体感覚が低くて活動的な領域(右下)は「支配する人」、

共同体感覚が低くて非活動的な領域(左下)は「弱さをアピールする人」と「逃げる人」でした。

今回は、それぞれのパーソナリティの特徴を詳しく見ていきます。

活動的だが、方向は真逆の2つのパーソナリティ

まず、表の右側、同じ活動的なものの、共同体感覚は真逆である「社会的に有用な人」と「支配する人」の特徴についてです。

①社会的に有用な人

共同体感覚が高く活動的な人は、社会的に有用な人です。

共同体感覚とは、ひと言でいうと、「他者の関心事に関心がある」ことです。

相手のニーズは何か、相手がどんなことに困っているのかを知ろうとし、相手のニーズを満たす努力をし、実際に貢献できる人ですね。

このような人はまさに社会的に有用な人であり、その人自身にも大きな成功がもたらされます。

ペンシルベニア大学ウォートン校の心理学教授 アダム・グラント氏はそれについてこう言われています。

ギバー(他者貢献している人)が好意と信頼を築き上げるのには時間がかかるが、最後には、成功へと導いてくれる評判と人間関係をつくることができるのだ。

他者貢献の活動によって素晴らしい評判と人間関係がつくられ、それが他者貢献している人自身の成功を強力に後押ししてくれるのです。

そこで気になるのは、「自分がもっと認められたい、利益を得たい」という思いにとらわれずに、なぜそのように他者貢献の活動ができるのか、ということです。

それは、自己受容ができているからでしょう。

自己受容とは、自分をありのままに受け入れることです。
ありのまま自分を受け入れることで、やがては自己評価も高まり、自分のことが好きになっていき、自己成長もしていけます。

そのような自己受容の土台があることで、他者にも思いやりを持ち、相手を受け入れ、貢献の活動ができるようになるのですね。

自己受容は、健康なパーソナリティを形成する上での重要な要素の1つです。この先、自己受容の具体的な方法についてもご紹介します。

②支配する人

共同体感覚が低くて活動的な人は、「支配する人」です。

支配する人は共同体感覚が低いため、相手に本当に貢献しようとする気持ちはありません。

ギブなしにテイクばかり考えるスタイルであり、相手に貢献しないどころか、他者は自分に奉仕して当然と考えています。
ゆえに、他者からの支援を受けても、感謝の気持ちも示さないのですね。

関心のあることは、他者の関心事ではなく、自分のことばかり。相手を利用して自分に奉仕させることのみに関心があるのです。

このようなライフスタイルは「ゲッター」とも言われています。

支配する人は、取ることばかりを考え、そのための活動を積極的にしているので、成功しそうに見えます。
しかしそれはあくまで一時的、短期的であり、長続きしないのです。

それは、利己的な行為ばかりをすれば、周囲からの信用がどんどん失われていき、やがては仕返しをされたり、周りに人がいなくなり、孤独になってしまうからです。

ミシガン大学の政治学教授 ロバート・アクセルロッド氏はこのように語っています。

利己的な人は、初めは成功しそうに見える。

しかし長い目でみれば、彼らが成功するために必要とする環境そのものを破壊しかねないのだ

支配的な行為は、長期的に見れば、成功する上で欠かせない信頼関係を壊してしまい、やがては周囲の人から相手にされなくなってしまうのですね。

このことから、支配する人は、対人関係でトラブルを引き起こし、他者も自分も苦しむことになる未熟なパーソナリティであるとわかります。

 

次回は、共同体感覚が低く非活動的なパーソナリティの詳細を、お話ししていきます。

まとめ

  • アドラー心理学では、パーソナリティ(=性格、個性)は、健康か未熟かで大きく2つに分けられています。健康か未熟かの基準は、「共同体感覚が高いか低いか」「活動的か非活動的か」です
  • 共同体感覚が高く活動的な人は「社会的に有用な人」です。他者のニーズに関心があり、そのニーズを満たして相手を助けられるように努力する人のことです
  • 他者貢献の活動を大いにしている人は、周囲との信頼関係や評判から、その人自身の成功も後押しされます。社会的に有用な人がそのような貢献の活動ができるのは、それだけ自己受容ができている、自己評価が高いからと考えられます
  • 共同体感覚が低くて活動的な人は、「支配する人」です。他者に貢献しようという気持ちがなく、当然のように支援を求め、それに対しての感謝の気持ちも示しません。そのような利己的な行為をやり続ければ、周囲との関係は破壊され、トラブルが生じて苦しむことになるのです

続きの記事はこちら

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ブッダとアドラー心理学コンテンツレポート
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この記事を書いた人
南 雄一郎

2011年 金沢大学工学部 卒業

大学では機械工学を専攻するなか、悩み解消のヒントや生きる指針を教える仏教に強い関心を持ち、仏教講演会に多数参加しました。

また大学卒業後は仏教と親和性のある心理学にも興味を持ち、独学で学びました。

現在は東京都内でライターをしながら、対人関係の悩みを解消し、自立した生き方の実現を目的とした 仏教×心理学のワークショップを開催しています。

自主開催のワークショップは累計850回以上。

2018年 新潟県キャリアセンター様主催 キャリアコンサルタント フォローアップセミナーにて講師をつとめました。

NPC法人HMC協会 認定心理カウンセラー(セルフ資格) 。

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