勉強会主催の みなみ です。
早いもので、今年も残り1カ月となりましたね。来年に少しでも課題を残さないよう、大切に過ごしていきたいと思います。
今回のワークショップには、初めての方1名を含む、8名の方にご参加いただきました^^
今回も多くの方に来ていただき、残り1カ月の良いスタートを切れたと感じます。
今回は、他の心理学をすでに学ばれている方も参加され、その方からお話をお聞きし、私自身も新たな視点を得ることができました。
こうしてお話を聞けるのは良い機会だとも改めて思いました。
※記事の内容を動画でもご紹介しています
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アドラー心理学から知る、正しい「勇気づけ」とは?
今回のテーマは、
ブッダとアドラー心理学から学ぶ「良好な対人関係を築く“勇気づけの方法”」
でした。
アドラー心理学を以前に学んだことがある方ですと、数あるアドラー心理学の言葉のなかでも印象深い言葉の1つが「勇気づけ」ではないでしょうか?
アドラー心理学は別名「勇気の心理学」といわれ、勇気が重要視されています。
それは勇気がなければ、私たちは建設的な行動の選択ができず、精神的に健康でなくなってしまうからです。
裏を返せば、勇気があれば、前向きな行動ができるようになり、精神的に健康に生きていくことができます。
ですからお互いを勇気づけていくことが、幸せに生きていくために大切なのですね。
ではどうすれば正しい勇気づけができるかについて、
上から目線で、こちらが相手の善悪を判断するのは「あなたメッセージ」であり、勇気くじきになってしまうこと、
それとは反対に、相手と同じ目線で、自分の気持ちを伝えるのは「私メッセージ」で、勇気づけになること、
ゆえに「あなたメッセージ」から「私メッセージ」への変換することで相手を勇気づけられること、そのメッセージの変換の仕方を具体的にご紹介しました。
前回の記事はこちら
今回は「私メッセージ」を伝えるときに必要なものを、仏教の観点も含め、お話ししていきます。
勇気づけに必要なものは?感謝や喜びのネタを探す
これまでお話ししてきましたように、目線を同じにし、自分の気持ちを伝えるのが勇気づけになります。
ゆえに「ありがとう」「うれしい」など、感謝や喜びを伝えることが勇気づけになるのです。
その感謝や喜びを伝えるには、そもそも自分は相手からどんなことをしてもらっているかを知らなくてはいけませんね。
何もない状態で、感謝の気持ちや喜びを伝えることはできません。
いわば「ありがとう」や「うれしい」のネタを探しておく必要があるのです。
私たちは相手からしてもらったことも「当たり前」と思い、残念ながら気にも留めないことさえもあります。
しかしそれでは勇気づけることはできませんし、むしろ相手からすれば「感謝の心もないようなこの人とは付き合いたくない」と思わせ、その人にとって嫌な人間になってしまうかもしれません。
「叱ることが勇気づけにならない理由」のなかでご紹介したように、相手にとって嫌な人間になってしまったら、もう勇気づけることはできません。
ゆえに感謝や喜びを伝えることは勇気づけの基本であるとともに、決しておろそかにしてはならないことなのですね。
そのためには相手からしてもらっていることを知ること、「恩」を感じることが大切です。
恩とは「原因を知る心」、親切や他者貢献への第一歩目
仏教の観点からも、恩を知ることは重要であります。
そもそも恩という字は、「原因を知る心」と書きます。
いまの自分がここにいられるというのは「結果」です。その結果にはかならず「原因」がありますね。
「この人にこうしてもらえたから、あの人にお世話になったから、いまの自分があるんだ。こうしてもらえなかったら、いまの自分はない」と原因を知ることで、その人たちからの「恩」を感じられます。
恩を感じることで恵まれていることが改めて知らされ、幸せな気持ちになり、お世話になった人にお返しをしよう、ほかの人達にやさしくしよう、という気持ちになれるのですね。
『大智度論』という仏教の本には「恩」について、
恩を知るは大悲の本なり、 善業を開く初門なり
と書かれています。
「大悲」というのは、「大慈悲」のことです。
「慈悲」という言葉は日常でも耳にされたことがあると思います。親の子供に対する慈悲、慈悲深い人、といわれることがありますね。
慈悲は元々仏教の言葉であり、「抜苦与楽(ばっくよらく)」という意味があります。
「抜苦」は苦しみを抜く、「与楽」は楽しみ(=幸せ)を与えるということです。
ゆえに慈悲というのは、苦しんでいる人の苦しみを抜いて助けたい、楽しみを与えて幸せにしてあげたいという心、そしてその人の幸せを自分の喜びとする心のことです。
そんな素晴らしい心がどこから出てくるかというと、それは恩を知ることが本ですよ、恩を感じて、自分が恵まれていると知るところから慈悲の心が生まれるのです、ということです。
次の文にある「善業」は善い行い(=業)のことであり、親切や他者への貢献のことです。
善業を開く初門、つまり親切や他者貢献をする第一歩目が恩を感じることですよ、といわれているのですね。
相手に親切をすること、貢献すること、勇気づけをしていく上で恩を知ることがいかに大切であるかがわかります。
「やってもらって当たり前」と思ってしまいがちな私たちだからこそ、仏教では恩が重要視されているのですね。
次回は、仏教で徳のある人とはどんな人なのか、また最新の心理学実験の結果からわかる感謝の大切さをお話しします。
まとめ
- 正しく勇気づけるには、相手と同じ目線になって感謝や喜びの気持ちを伝える「私メッセージ」を使うことです。相手の善悪を判断する「あなたメッセージ」は勇気をくじきます
- 何もない状態で「ありがたとう」「うれしい」と伝えることはできません。ゆえに感謝や喜びを伝えるには、そのためのネタを探しておくことが大切です。相手の貢献に対して当たり前と思わず、してもらっていることに「恩」を感じ、感謝しましょう
- 仏教では、恩を知り、それを感じることが大事だと教えられています。恩を知ることで自分自身が幸せな気持ちになり、また恩に報いようという慈悲の心(親切しよう、他者に貢献しようという気持ち)が生まれ、相手への貢献、勇気づけに踏み出せるのです
続きの記事はこちら
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